山本直樹『定本レッド』の最終巻(4巻)読了。陰惨且つ悲惨な結末は分かっているのにぐいぐい引き込まれる。ついでに本棚から大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍』(文藝春秋、1996)と安彦良和『革命とサブカル』(言視舎、2018)もパラパラ見てしまう。
安彦良和さんは元連合赤軍の青砥幹夫と植垣康博と元々知り合いで、対談しているのだが、永田洋子の『十六の墓標』をリライトしてまとめたのは実は植垣氏というのが明らかにされていて(pp.130-2)、びっくりする。
以前、「閉塞空間での狂気」ということで、連合赤軍とオウム真理教がくらべられたりもしたが、ともに「真面目すぎた」が故の暴走だよな。オウムの場合は、あるアメリカ人の研究者が言ったように「この世を救うために、この世を滅ぼしてやる Destroying the world to save it」(ロバート・リフトン)という世界だけど。
同調圧力、検閲といえば……
戦前の検閲って出版前でなく出版後に行われるものだったそうです。現代中国など見ているとてっきり出版前だと思っていたのですが、出版後の方が、印刷代がぱーになり、回収費用もバカにならないから損失が大きいからとのこと。そうすると出版社が事前にそれを避けようとして自己検閲が始まるんですって。
今日複数届いた詐欺メール。文面が今まで見たことがないもので、ちょっと面白かったので記録としてコピペ。
「実際に直接あなたにお会いせず、あなたのメールアドレスを見つけるのは、とても困難でしたが、あなたの部長よりも私の役職は上であるため、変な噂や憶測が飛び交うのを避ける必要があったことを、ご了承ください。
すぐに大がかりな組織再編と人事異動があるでしょう。はっきり言って、私はあなたの上司とは不仲です。
なので、私が持つあなたの上司の信用を傷つけるような情報は、あなたにとって有益となるでしょう。
正直、私のビットコインアカウントに情報に対する謝礼金を送ってくださっても構いません。
勿論、その代償としてきちんとしたお返しは、人事異動に関してさせていただくつもりです。
これから、素晴らしい関係をあなたと築き、共に大きく出世できることを願います。」
マジで、これに引っかかる人っているの、と思うが、いるからやってるんだろうな。ちなみに、大学教員の僕は「上司」というのはおりません(敢えて言えば学科長、学部長、学長、理事長だが、皆さん尊敬できる人です、多分(笑))。
この件について、言及するつもりはなかったのだが、一言だけ。
上野千鶴子先生の「お相手」が色川大吉先生というのは数年前から僕は知っていて、今更騒ぐようなことではないし、そもそもあの報道はプライヴァシー侵害とも思っているが、あれは高齢の色川先生を介護するには「法律婚の妻という立場」が必要だった、ということじゃないの?
要するに妻という立場があれば、全ての扉(介護、保険、遺産相続etc.)が開かれる(逆に言えば、事実婚とかゲイカップルのパートナーとかは排除される)日本の現行の法制度に問題があると思っています。
なんか、アンチフェミの連中が変に「喜んでいる」ので、つい余計なことを書きました。
「公金チューチュー」って言うけど、むしろ国が子ども食堂だのフードストレージだの、民間有志の貧困対策にフリーライドして「チューチュー」してる状態じゃん。
今日は休日の京都の街中にふらっと出かけた。観光客もすっかり戻っていますね。
高島屋京都店で開催されている、陶芸家の加藤泰一さんの個展にお邪魔する。加藤さんは毎年この時期に、この百貨店で個展を開かれる。数年前にファンになってから、毎年出掛けている(今年は2月28日まで)。
今日は青磁のマグカップと、コッテリと釉薬が乗っかったぐい呑をチョイス。こんな器を買ったからには、当然日本酒が飲みたくなるわけで、最近イオンモール京都から街中に移転した「浅野日本酒店」に初めて行き、島根県安来市にある吉田酒造の「月山純米吟醸」というのを買ってきて、家で早速いただく(こんな名前だったから最初は山形のお酒かと思ったら、島根でびっくり)。初めて試した銘柄だが、フルーティで良いね、これ。
この前、Twitterで少しバズったので(このマストドンでも多くの反応をいただきました)、インタビューを受けました。「伝統の創造」という、もはや通説になっていることに少し触れただけでまあまあ大きな反響を呼んでしまったことに驚いておりますが(Twitterのフォロワーも数百名増えた)。
https://maidonanews.jp/article/14842857
松本零士先生ご逝去のニュースが。確か石ノ森章太郎先生と生年月日が同じのはず。なので第一報を聞いたとき思ったのは、石ノ森先生が生きていたら、このお年だったのかということ。我々世代は「ヤマト」「999」「ハーロック」と、アニメ化されたものから松本零士作品を遡って知る、というパターンが殆どだった。
今手元にあるのは999の原作なのだが、読み返すとSFというよりはおとぎ話のニュアンスが強いと感じた(教訓めいた話も多かったし)。昔から「重力サーベルって何?」「エメラルダスの放浪の理由ってよく分からないな。逃避行じゃないの?」と思うくらいには捻くれていた子供だったが(笑)、それでも雄大な宇宙へのロマンを教えてくれた作品群だったと思う。ご冥福をお祈りします。
経済学者の成田某の「炎上」は自業自得としか言いようもないし、ひろゆきみたいなのと一緒にいるだけで「こいつ、人間的にダメだ」と分かったので、それ以上の関心は持てなかったのだが、ふと宇沢弘文先生のことを思い出した。宇沢先生の弟子で、東大教授の松島斉先生の文で、「私は、 宇沢先生が、「アメリカ政府の要請で、多 くの経済学者が、ベトナム人を殺すのに 必要な費用便益を計算していた」という お話をされた時の「ものすごい形相」を、 一生忘れません。こんな曲学阿世に走る 経済学者に、経済学の危機を感じとられ たのでしょう。」という一節があった。「これだよ、これ」と言いたくもなる。東大の広報誌『淡青』33号(2016年9月)より。
はだしのゲンを私が最初に読んだときはまだ4巻までしかでていなくて、たしか母が生協で共同購入してたときに一緒に買って家にやってきたのだった。あれは強烈だった。屋根の下敷きになるところとか皮膚が垂れ下がるとか、あれは子供のうちに読んでおいたほうがいいのである。
広島の教育委員会が参考図書から外した理由が、「貧しいために路上でちんどんやをして小銭を稼いだり、病気の母を助けるために鯉を盗むなど、現代にそぐわず背景に説明が必要」とか書いてあったが、実のところ、世の中は内戦状態なみに貧しくなっており、なにしろ政府が「子ども食堂」を絶賛推奨する事態なのである。
つまり、説明しなくてもわかる状況なのではないかと思う。現代に追いついていないのは、教育委員会のメンバーたちであろう。 そもそも、「鬼滅の刃」「ワンピース」など荒唐無稽な話を子供は大人よりすんなり理解する。ちんどん屋や鯉を盗む話なんて、背景説明の必要はまったくない。
Twitter上で、岸・安倍家の「家系(世襲)図自慢」を擁護する文脈で「出目(もちろん出自)」という誤字をやらかしたものがいたようだが(検索かけたら結構いた)、これまでも「微(徴)用工」「梵(焚)書」とかたくさんやらかしは見てきたが、要するに「頭が悪い」のに加えて「思い込みが激しい」んだろうな。僕は医者ではないので、例えば失読症かどうかなどの判断はできないのだが。
上に書いた様々な「やらかし」は、「音」ではなく「字面」で間違えているんだよね。元々の単語を知らず、似たような字を拾ってしまうのだろうけど…。そこがすごい。でも、変換ミスではなく、通じない単語を使って日本語そのものを間違える「愛国者」など、誰が信じるものか。
あとついでに言うと、「国籍とか出自がはっきりしない立候補者」とかアホなこと言ってるのがいるが、日本国籍の有無は最初に確認されるに決まってるわ。もっと日本国の制度を信頼してやれ(笑)。
基本的に自分はリベラルだと自負していますが、根底に「体育会系」かつ「長幼の序」が染み付いているのを自覚する時があります。先程、ある原稿を完成させて編集者に送信したのですが、実は締め切りは明後日。でも編者が「恩師(学部から大学院まで一貫して指導していただいた)」なので、これは締め切り破りはできないと頑張ってしまいました。普段はこんな聞き分けのいい子じゃないのに(笑)。
YouTubeなんかで野球やサッカー選手の「昔語り(どれくらいしごかれたか、監督や先輩から理不尽な目に遭ったか)」を見てしまうのも、そこから来ているんだろうな。なるべく自分のこの性向は自覚して、学生にパワハラ、アカハラはしないようにと心がけてはいますが…。
先日、Twitterでもこのマストドンでも言ったことですが、「橿原神宮はいわゆる伝統の創造の典型例」とつぶやいたら結構反響を呼んで、はてブでも色々言われているの気づいた。済みません、その場であけすけなことを言っちゃうくらい性格が悪くて(笑)。でも嘘は言えないよね。良い教育機会と思ったので言ったまで。数十名ほどに説明したので、大声だったのは勘弁してください。
にしても、Twitterより字数が少ないはてブにおいて、匿名で一言居士ってのが多くて失笑。僕の人柄を適当に想像して悪口言ってくれてるのもちらほらいるけど、そんな連中よりはお勉強も(恐らく数倍は)しているし、学生からも慕われている自信はあります(笑)。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/t_kawase/status/1624360289427951617
今朝録画したこれを見た。サコ先生とは一度だけ飲み会で一緒になったことがある。マリの実家にあった「中庭」から広がる思想。僕も大学は誰にも属せず、でもある程度の安心感を供給する居場所であってほしいと思います。大学を特権化しすぎ、との批判は承知の上で申しています。
川瀬貴也。大学教員。宗教学者。専門は日韓近現代宗教史。宗教学、思想史、近代文化史、社会学の周辺をぐるぐるしているつもりです。発言は個人の見解であり、所属とは無関係です。