会場内を何周もして少しイライラしながら新しいエリアへ行っては伏線を回収する感じが、昔のゲームをリアルでやってるみたいだった。バリアフリーどころかバリアしかないのはまあ良くないんだけど、すごくワクワクしたなぁ。迷宮やダンジョンを探索してる感覚。
そして何より目当てで行った公演が素晴らしかった。埼玉県在住のさまざまな職業の6人がパントマイムで働く様子を再現する。それぞれの実体験を誇張し戯画化つつも、働き手の心象風景が浮かび上がってくる。「先生はなんでこの仕事してるんですか?」と聞かれまくるWEBデザインスクール講師が特に良かった。
BT、これはほんとにその通りです。前回、2020年のさいたま国際芸術祭も、地下は暗いし、人の背の高さほどあるロッカーをつなげて真っ暗な迷路のようにした作品(作者名が出てきません。ごめん)もあり、楽しめるひとをかなり選ぶつくりでした。
昭和四十から五十年代に建てられた公共建築物を使っているので、バリアフリー一切なし!くらいの勢いですものね。
とくに今回は、旧市民会館内の部屋を透明なアクリルで斜めに区切り、いったん階を降りて出直しさないと向こうへは辿り着かなかったりして、今自分は何階にいるんだろ?とわからなくなることもしばしばでした。
たぶんわざとではあるんでしょう。現代美術を観るハードルを、わざわざ上げているようにすら感じられます。
昔の写真を見ていて不思議なのは、こどもの持ち物や服の「赤」がぜんぶ同じ赤に見えること。服、リュック、帽子、ヘアゴム、水筒に至るまでおなじ赤。ほんとうに同じだったのか、写真の色表現の限界みたいなもんなのか…
目[mé]がプロデュースしたさいたま国際芸術祭2023に行ってきました。
会場内のすべての物や人がアートか否か、作為か否かわからず、その境界線が崩壊しているのが特徴です。しかも大宮の街中にもその試みが溢れだしています。
また、すでに使用が停止された建築物「さいたま市民会館おおみや」の大ホールや小ホール、その裏側まで空間を使い尽くしているのも特徴。
結果的に、古くて変わった間取りの建物めぐり、リアル謎ときゲーム、解釈と陰謀の境界線、Liminal Spacesといった旬の要素を連想する企画でした。
あとは庭園美術館、フィリップKディック、赤瀬川原平のトマソン、街のヘンなモノ!VOWなどが好きな人も好きでしょうね。
「みる」の境界をかぎりなくあやふやにし、世界の見方を揺すぶって後々まで鑑賞者に影響を与える、大胆なコンセプトだったと思います。
以下にさいたま国際芸術祭2023のサイトを貼っておきますが、参加アーティストにビッグネームがあまりいないし、「これが観れる!」というわかりやすさもないので、かなり地味な印象はあります。でも、アートってどこから?とか、美術館に飾られたらとたんによく見えてしまう、とかいうことを考えたことがある人は、能動的な発見を誘発されて楽しめると思います。
11/22に、わたしもさいたま国際芸術祭2023へ行きました。
前回はたしか2020年で、今回のメイン会場である旧市民会館おおみやのすぐ近くにあった、旧大宮区役所がメイン会場になっていました。旧大宮区役所より、旧市民会館のほうが会場自体は狭めではありましたが、「そのへんの人、なにげなく置いてあるもの」のなかに、わざと見てもらうために存在している「スケーパー」と呼ばれる人・もの・風景が日々変化しながら用意されており、ある意味ではかなり広く観るものがあったといえます。
わたしが見つけたのは、不自然な位置にある片方のスニーカーや、地下の壁に貼り付いている蝉のぬけがら、休憩室の扉を開けっぱなしで談笑している昔っぽい作業着の清掃員さん、虎のあやつり人形を持って外のベンチに無言で座っている人、不思議な位置でだるそうにパイプ椅子に座っている監視員さんなどです。人間のスケーパーは芸術祭が始まる前に公募されていたのですが、スケーパーぽい人たちを見ているうちに、自分も他の鑑賞者からスケーパーとして疑われているのではないか? あるいはこの芸術祭だけでなく世の中すべてがスケーパーで、わたしだけが知らずに人生をやっているのではないか?(映画「トゥルーマン・ショー」だ!)などと想像がたくましくなりました。
ホテルニューアカオでの「ATAMI ART GRANT」の展示は2022年にも開催されていました。
https://note.com/projectatami/n/naecc1ac28586?sub_rt=share_b
BTのホテルニューアカオ、また泊まれるようになってたんだ!
2021年にホテル業務はしていないニューアカオで「ATAMI ART GRANT」っていうアートプログラム(展示)をやっていて、ホテル内を探検するみたいにしていろんな部屋での展示を観てまわったんだけど、ホテル自体の意匠もたくさん写真に撮っちゃうくらいよかった。写真掘りおこしてこよかな。
「ATAMI ART GRANT」の紹介記事
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/24847