私の感受性の一番強い時に刺さったまま忘れられないのが『十四歳のエンゲージ』のルーと多恵子なんだけど、この組み合わせは弥恵と弘隆、クエスとハサウェイにもつながっていく。家庭の愛情に飢えた子と、家庭に恵まれた〝いい子〟。前者は自分の孤独を自力で埋め合わせる術を身につけて生きてきたので、人を惹きつける魅力があるのだけど、近づいてみると振り回されて後者の手には負えない。前者が他人も自分も傷つけるのは、どうしようもなく助けを求めてもがいているからで、後者は助けたいと思うけど、経験も少ない子供には何もできない。