【再134】ハトとアンテナ
この枝はアンテナというらしい。
私はこの枝の上で鳴くことを毎日の日課にしている。
「今日は初夏らしいいい天気で、外を飛び回っていると多少汗ばむ気候です。羽毛を脱ぎたくなってしまいますが、脱いだら飛ぶこともできないですからね。先日すっかり夏毛に生え変わったばかりなので助かりました」
「ここの所、雨が続いています。土砂降りにはなりませんが、しとしとと長く続く雨というのも体が冷えて困ります。冬毛が恋しいですが、濡れたら重くなりそうでもあります」
私のこのたわいもない日常の話を誰か聴いてくれているだろうか。この「アンテナ」という枝を使って、人間たちは声を送り合っているそうだ。では私の日々のつぶやきも、アンテナがどこかへ届けてくれるのではないだろうか。誰かに届くのなら、こんなに愉快なことはない。想像しただけでくちばしがゆるむ。
「まずはアンテナ、おまえが聴いてくれよ」
私はアンテナを握る足にギュッとちからを込めた。
2020/05/25
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