本屋論として書かれ始めたものなので「本屋本」ではありますが、書いている最中に少しずつその本質が変わっていった感じがあり、個人的には「みんなのための本屋論」という文言がしっくりくるものになりました。本(屋)には社会を変える力がある、と信じる/信じたいみなさんに届くことを願っています。
とりあえず、今日のところは以上です。たぶんほかに言うべきこと知らせるべきことがたくさんあるはずなんですが出てこないので、思い出したらまた書きます。『ユートピアとしての本屋 暗闇のなかの確かな場所』(大月書店)、4月下旬刊行予定です。
【お知らせ】
『#結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』のクラウドファンディングを開始致します。開催期間は「3/31(金)23時」まで。目標金額は「500,000円」です。クィアな作品を必要としている方に無料で届けられるよう、ご支援どうぞ宜しくお願い致します。
https://readyfor.jp/projects/queersf2023
あわせてアンソロジーの表紙ラフも公開されました。ファッションSFウェブジンでもご協力くださったクィアなイラストレーターmorikaさんが再びfabulousな表紙を手掛けてくださっております!
本企画を通して、わたしたちはここにいるよ、ということを少しでも分かち合えたら嬉しいです。
EEAaO(エブエブ)はもともと「ADHD傾向のある主人公の気が逸れると並行宇宙に跳べる」というアイディアだったそうです。
はたしてこのアイディアを真っ当に実現できるだろうかと、ADHDについて調べ始めたDaniel Kwanが自分も当てはまることに気づき、病院で診断され、服薬を始めた経緯があります。
Kwanはこの映画で自分のカタルシス体験を作品で表現できただけでなく、他の人が自分の経験を語るきっかけになれたのを喜んでもいるそうです。(最近診断を受けた人や自らの傾向を疑っている人が、本作を観たときにあたかも自分の脳内で起こっていることみたい!と思った事例をちらほら聞いたらしい)
Kwanはまた、女性のADHDが見逃されてきた件にも言及しています。
https://www.salon.com/2022/04/17/everything-everywhere-all-at-once-daniels-adhd/
Electric Literatureに3月7日付で「出版業界では生きるのに必要なだけも稼げない」という記事が載っていて、それを読んで思い出したのでした。
https://electricliterature.com/i-never-made-a-living-wage-when-i-worked-in-publishing/?mc_cid=ea2913434a&mc_eid=714e07d488
昨年、米国の出版社ハーパーズで大規模ストライキが起こって、たくさんの著者も支持を表明していました。
https://www.theguardian.com/us-news/2022/nov/10/harpercollins-union-strike-publishing
今日は、グーグル日本の労働組合結成の話(https://news.yahoo.co.jp/articles/37a515933580174aee03a86e4ea4d73784cfb1ac )と、北米でレイオフされてビザ猶予期間中に幸い転職できた日本人女性(MBA持ち)の体験談(https://note.com/kaori_yamaguchi/n/nbb464c144408 )が流れてきました。
兼業文筆歴14年目(数年中断期間あり)ですが、雑誌はまったく原稿料が上がらないですし、その値段で書いていること自体が専業をなりたたせなくしている加担行為なのでは?というのはずっと悩んでいることですね。
近い時期に活動し始めた英語圏のSFライターも、兼業者はおおむねやめてしまう。
たとえば、カナダのAidan Moherは2007年からSF&ファンタジー小説の書評を書き、ブログA Dribble of Inkでヒューゴー賞ファンジン部門を獲りました。
しかしその後、Moherは小説関係は単価が安すぎるためゲーム関係にのみライティングの守備範囲をしぼると公言します。
彼は昨年、日本のRPGについての単著を出しました。
https://aidanmoher.com/bibliography/
英国の医療ライターNiall Harrisonは、2000年代からSF・ファンタジー評論家として活動し、2010-2017年には国際SFF誌Strange Horizonsの編集長を務めましたが、その後、文芸活動を休止しました。
しかし今年5年ぶりにノンフィクションの書評を寄稿し、英国のSFイベントでもゲストをやるようなので復活するのかも。
昨夜はみんな大好きPhoebe Bridgersのライブに行きました。素晴らしかった。なんというか神がかっていて、上り調子のアーティストの輝きを目の当たりにした感じ。そりゃみんな彼女とコラボしたくなるよね。物語を感じさせるアートワークも抜群にセンスがいい。Phoebeの才能に惹かれてやはり才能ある人たちが集まるのだろうけれど、ライブの終わりにバンドメンバーだけでなくスタッフの名前も紹介していたのが印象的でした。
会場では普段わたしが行くようなライブとは違ってティーンエイジャーのグループが目につき、Phoebeが英語圏の若い子たちのロールモデルになっているのを感じました。わたしだって生まれ変わるなら彼女のようなミュージシャンになってみたいと思うくらいだものね。Boygeniousも来日したらいいな。
ところで先週行ったWet Legも(こちらも最高でした。オープニングアクトのChangcieもよかった)、Phoebeも、後半みんなでギャーーーーーとスクリームするシーンがありました。わたしは黙ってたけど。
大木芙沙子さんの『27番目の月』、とてもよかった。提供者のまめまめしさよ! 恩田陸さんの短編に、冷凍みかんが溶けたら……というお話があったのを思い出しました。提供者にわたしのようなズボラがいたら怖い怖い。
https://virtualgorillaplus.com/stories/nijunanabanmenotsuki/
英米文学翻訳者です。訳書/トム・リン『ミン・スーが犯した幾千もの罪』(集英社文庫)カリン・スローター『偽りの眼』(ハーパーBOOKS) ウィリアム・ボイル『わたしたちに手を出すな』(文春文庫)など。