🎞去年見逃し映画チャレンジ第3弾「窓ぎわのトットちゃん」をようやく見て来ました。
冒頭の提灯行列の掴みでぐっと引き込まれ(まだ太平洋戦争は始まっていないので、中国戦線の勝利とか?)、後は言葉では全く説明しなくても場面の経過で全てわかるように描いている演出と観客への信頼がすばらしかった。
あと、今風の価値観や観客の共感を得るような改変を加えず、見ていて思わずどん引くような、当時としては相当に上澄みの、文化資本の高い「いいお家のお嬢さん」の目に映る世界をひたすら再構成する覚悟も特筆すべきかも。そしてそれを可能にするために、スタッフロールの「ポリオの会」はじめとする協力者とともに考証もしっかりやっているらしいのも。あの「豊かさ」(実際に金銭的に裕福かは別として)の描写があるから、素晴らしいトモエ学園に通える特権性が際立ち、観客の居心地の悪さ(そうではない人たちが沢山いるのだろうという気づき)を引き出せていたと思う。
とにかく良かったし、良い作品を浴びると元気になるので、だいぶ元気になりました。良かったです。
映画「トム・オブ・フィンランド」、多分制作も配給も観客も青少年にこそ見て欲しいと思っているのにR18指定になった経緯は、今読める記事だとこのあたりがまとまっているかしらん。当初は、2箇所にごくちょろっと性器が写ってるだけでR18ですらなく「区分対象外」(=映倫は知らぬ存ぜぬ扱いなので一般の映画館では実質上映不可)の通知をされていたとか、ほんとどこが「表現の自由」の国なのかという感じ。記事中で映倫の人が配給の人に言う「あなた方が問題提起して世論を変えてくれ」という発言、中国の検閲官のロジックと同じだし。(彼らも「我々は別に検閲したくないが世論が許さないので」が建前らしいので)
>これが18歳は見ちゃダメ?成人映画に区分された映画『トム・オブ・フィンランド』について考える(水上賢治)
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8c8bed07e6cc9ecf78e0ecf36fba1829d3274f43
こないだ書いていた二次創作、書いているうちにドメ・カルコスキ監督の「トム・オブ・フィンランド」を思い出して、描き終わったら見直そうと楽しみにしていたのに配信が無くてくずおれている。同性愛が犯罪だった時代からゲイアートを描き続けたフィンランド人のイラストレーター、トム・オブ・フィンランド(本名トウコ・ラクソネン)の伝記映画。端正で地味で、燻んだ色合いと寒そうな風景が美しく、しょぼくれた感じのおっさんが限りなく魅力的な、良い北欧映画なのです。全般に抑制されていて、性愛描写も全然大したことないのに、何故かR18なのだけど。
https://www.magichour.co.jp/tomoffinland/
中国本土ではこの1月12日に公開の不思凡監督作「大雨」の主題歌。どう見てもちびっ子のパパ無事でない…
東京アニメアワードフェスティバル2024の長編部門にノミネートされているので、3月には池袋のどこかで見られる筈。
https://weibo.com/7751245549/4986761275510501
🎞️「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」と「首」を見ました。
★ゲ謎(褒めてないです)
きわめてロジカルな映画だな(観客の不穏感を煽るウェットな演出含め)とは思ったものの、映画としての絵力が私には全く感じられず、ちょっと期待外れだった。戦前の帝国主義や戦争との連続性を描いているという感想を読んでいたけど、作中ではかなりの部分セリフで説明されてしまうので、そこを!演出で描け!と思ってしまった。加えて、村の中では加害者も被害者も既に「人間」ではなくなっているので全滅上等みたいな、心というか魂のない作りも受け付けられなかった。多分「人間」のままだと残酷すぎるというエンタメ的配慮とは思うのだが、今、イスラエルがガザでやってることを考える時、ゲ謎のそういう処理に私は同意したくないと思った。
★首
見ている間は「今でもホモソな職場で日常的にやってるようなクソな足舐め競争(一時期そういう職場に居てクソほど見た)をえんえん見せられましても」と最悪な気分で時計を見ていたが、見終わったら結構爽快な気分なので、良い映画だったのだと思う。同性愛描写は思ってたのよりはだいぶ控えめだったけど、ドライでテンポの良い残酷描写は性に合うので、そこは楽しく見られたし、スタッフロールに「造園」とか出るような大作邦画としてその両方をやったのは成果では。
【お知らせ】
📚この秋〜冬の即売会イベント参加用に特設webページを作っていたのですが、その全コンテンツが(全てのイベント参加が終わった後になって)ようやく完成したので、しばらく公開しておきます。
水都百景録の同人誌通頒情報、直近の二次創作へのリンクなどがあります。
📘「天灯」
水都百景録の二次創作小説です。約13,000字。
亡くなった住民と去って行った住民をめぐる中秋の灯会の夜の鄭和と頬紅売りの男との対話。史実の明末の同性愛と女性装にまつわるあれこれを踏まえた歴史創作寄りの作品です。帰省から戻って、くるっぷに参考文献を追記したので改めて…
https://crepu.net/post/5014729
で、できた…!バタリ
結局13000字強、バージョンは14まで行きました。水都の二次創作でいうと「東風」「山賊」あたりと同じくらいの手数。そりゃ終わらないはずだ。
今帰省中で本が手元にないので、参考文献は年明けてから改めて。
天灯>
https://crepu.net/post/5014729
【お知らせ】明日12/30(土)のコミケ103@東京ビッグサイト❄️東ピ56b❄️で参加します。東5ホールです。
📚中国明代の江南が舞台のまちづくりゲーム「水都百景録」の二次創作小説集を2冊持っていきます。既刊かつ年末の慌ただしい時期ですが、会場で見かけましたらよろしくどうぞ〜⛄️
メモ:呉存存『中国近世の性愛』の第4章第2節(明代中後期の同性愛文学)に紹介のある『石点頭』という作品、「首龍子猶が序を付している」と訳されているの、「冒頭に龍子猶が序を付している」とかであるべきでは? 龍子猶は馮夢龍のことでしょ? とぐぐったら、東大の鴎外文庫のページに行き当たり、鴎外も読んでたの?!と言うのと、「墨憨主人評」って馮夢龍、序だけじゃなくて評も書いてるじゃん???と言うのと。(まさか作品自体も自分で書いたんじゃないだろうな)
これまで馮夢龍の同性愛関連の言及はあまり読めていなかったので色々言及があって嬉しい。他に引用されている小説も当時の状況を知る参考になりそうだから、読んでみたい…が読めないので、まずは論文探してみる。
不思凡監督の「大雨(邦題:ストーム)」、来春のTAAF長編アニメーション部門にノミネートされてる!
来年3月に池袋で見られるよ!(大歓喜)
https://animefestival.jp/ja/post/17969/
今『中国近世の性愛』という本を読んでいるのですが、明末に刊行された美麗グラフィックの春画集に潘安が受の同性愛場面があるらしく、明末の文人連中に好き勝手二次創作されたのは、女人国の女王に押し倒されて服を剥かれた鄭和さんだけじゃなかったんだな…という顔をしている。
https://www.amazon.co.jp/dp/4791762002?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_ADQG27NF22A7K4K510KA
マキノヤヨイです。創作集団こるびたるの中のひと(もしくは外のひと)。ここは、主に創作活動のゼミ発表的な使われ方をしている場です。