本日までの進捗:3846文字。スケッチやメモ含めた全体では6000字強。
今書いている二次創作の主人公が頬紅売りの男なので、昨夜にわかに「そう言えば頬紅ってどう作るの?」と思い立って調べ始めた(そんなことは書く前に調べなさい)。まず、困った時の「天工開物」を開くと何やら紅花餅から紅色を作る手順が書いてあり、さらにぐぐったら表参道に紅ミュージアムという紅と化粧の歴史についての企業博物館があることがわかったので、仕事帰りに見てきた。2部屋の小さい展示だけど予想以上の充実度で、帰宅して「天工開物」を再読して「わかる…わかるぞ…!」とムスカになっている。当然と言えば当然かもだが、中国と日本で基本的なところは同じ材料と手順で作っているのだな。
https://www.isehanhonten.co.jp/museum/
【唐突な水都語り】
水都百景録の同性愛黙殺と異性愛偏重については思うところもあるけれども、当時の社会的・思想的状況を踏まえると、異性愛については、現代的な「対等な男女の関係」を導入するだけで現代のプレイヤーの納得感と当時の家父長制への批判と当時の思想潮流の変化(馮夢龍の「山歌」とか)の説明が3つながら可能になるのに対し、当時の(特に男同士の)同性愛は権力勾配を前提としたものなので、現代の価値観にとって違和感のない内実の同性愛を導入するには、歴史的な家父長制に関する部分のそれなりの改変が必要で、しかし封建的な家父長制への批判があのゲームの根幹にあるので、なかなか作り方が難しいのかもしれないなというのが現時点での認識。そのうちちゃんと書きたい。
なお、探検ストーリーというか董其昌回りの「19世紀かよ」なヘテロロマンチック・ラブ・イデオロギーは、多分、水都の董其昌というキャラに付随するバグというかギャグなので、とりあえず薄目でやり過ごして欲しい。蘇州府と杭州府の探検ストーリーは男女の恋愛をフックにしつつも、それにとどまらない話になってるので。個人的には、史実でのクズofクズ男・董其昌をしれっと恋愛ゲームのプリンスみたく造形しちゃった解釈センスはある意味天才だなと思っている。
本日までの進捗:文章が続いているところが3533文字。左がver.04。右がver.06。語りの場の設定があまりに恣意的なのではないかと悩んで設計図を引き直して、方向性は間違ってなさそうと確信を得られた。多分、自分ががんばれば完成させられるはず…
ちなみにこれ↓の件なので、仕方ないなとは思うものの、ものは言いようなので発言した鄭和さんは女人国の女王に剥かれて大変な目に遭うがいいという気持ち。
https://x.com/muye_sanyue/status/1715946662877872319?s=20
それはそれとして、ヘロドトスものの文芸作品だと、おすすめは中島敦の「狐憑」かな。「山月記」読んだ後ぐらいに学期末に国語の時間が1時間余って先生が選んで読ませてくれた作品。大好きだしすごく影響を受けたので、先生には感謝している。(それを言うなら、「木乃伊」と「文字禍」もヘロドトスものかな…?)
https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/618_14528.html
あとは佐藤哲也先生の「サラミス」これは超絶面白いので読めとしか。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07572FB1F?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_C3DWBMTSEY5DE55CGX58
他にどんなのがあるかしらん。割と視界が狭めなのでおすすめあったら読みたい。
「創作する人のための歴史叙述と歴史創作」の第4回が古典古代回だったので、ふと思い出して『ギリシア哲学者列伝』のアリストテレスの章を確認しようと思ったら、古代ギリシアローマ棚が大雪崩を起こしていて、えらい目にあった。
確認したかったのは、ある人から罵られていると聞いたアリストテレスが言ったという「わたしがその場にいないのなら、鞭で打たせたっていいんだよ」という言葉。大昔に読んだ時、アリストテレスのこういうところ好きだなと思ったのだけど、今思うと、この発言も他の発言も、アテナイで異邦人だったことによる処世術というか韜晦みたいなものだったのかもしれない。収録されている噂話、相当くそみそなこと言われているし…
(正直、アリストテレス先生のことは著作の語り口からしか知らないのだが(内容は理解できない)、淡々と論じているようで時々辛辣なことをさらっと混ぜてきたりするのが実に良いです。個人的にはソクラテスやプラトンより断然好き)
本日までの進捗:1,008文字。
金曜日から冬至灯会が始まるけれども、それまでに中秋灯会の話を書き上げられる気がしない。というか、まだどう転がっていく話なのかも確信が持てない。少なくとも、当初の見込みとは全然違う方向に行きつつある。(よくある)
こちらにも貼っておきます。京都精華大学で中国アニメの上映会が開催中。
土曜日に大理寺日誌と長安三万里をやると知って、ぐぬぬとなっている。行きたいが…ケホケホがまだ治らぬ…東京でもやってくれるなら見送るけど、最近電影祭息している様子がないからな…
https://www.kyoto-seika.ac.jp/news/2023/1130_2.html
不思凡監督の新作「大雨」の新予告。制作期間中には「子供向け」的雰囲気を醸し出していないでもなかったけれど、これを見る限りは、公平でない世界で人が虫けらのように扱われるいつもの不思凡監督作品っぽいな…
https://weibo.com/7751245549/4976613911167675
ジェンダー論的観点からの中国史の勉強するぞと思って、武田雅哉『楊貴妃になりたかった男たち:<衣服の妖怪>の文化誌』を読み返していたら、「三宝太監西洋記」の鄭和さんが元帥自ら女装して女人国の偵察に行くよと紹介されたので「西洋記」の該当箇所を探して読んだのだが、「あらいい男」と欲情した女王に迫られ、「飲めません」というのに酒を飲まされて酔わされ(桃色に染まる鄭和さんの耳朶)、「私たち、似合いの夫婦になりましょう!!!」と寝台に転がされ、「宦官だから無理」と律儀に断っているのに冠から下着まで順に剥かれ(雪か玉のようと描かれる鄭和さんの肌)、あげく、かくしどころを探られて「あら、あなたの擎天柱はどこ? え、どういうこと???」とブチ切れられる鄭和さんがいて、私はここずっと「自分は一体何の二次創作を読まされているのか…?」という顔をしています。
水都百景録の鄭和さん、(私の中で)史実の人ではなく、「三宝太監西洋記」の中の人では疑惑がずっとあったのだが、やっぱり西洋記の中の人の方だよな、これは…という確信的なものが生まれつつあります。そして突然ぶっ込まれる擎天柱ネタ、「雄獅少年」での私の感動を返して欲しい…
📘『明代異国情報の研究』を読む。(その1)
川越泰博『明代異国情報の研究』の読書メモ。なかなか病み上がらずにゲホゲホしているので、少しずつ。
★第1章:所謂『明実録』稿本と琉球国記事
1985年に出版された『明実録』稿本とされるもの(洪武25年前半分)について、人名地名表記(同音の他漢字を当てているなど)の特徴などから、『明実録』の草稿ではなく、皇帝の日常記録を近侍の史官が記した起居注なのではないかとの仮説を提示。史官が耳で聞いてとりあえず漢字を当てたからの表記揺れでは、とか、朱棣の棣の字も別の漢字を当てていたりするから、永楽期に作られた太祖実録の草稿だったらそんな不敬する訳ない、みたいな着眼点が面白かった。
なお、唐突に自分の関心に惹きつけると、太祖実録は建文帝の時代に一度完成した後、永楽帝の時代に2度作り直されていて、鄭和さんは直近の歴史が改竄されていく時代を生きていたのだなあと。そういう意味で、いかようにも書き換えられてしまう史書ではなく、その場に行かなければ読めない石碑に意義を見出すということは確かにあったかもしれないな…などと。実際、福建とか雲南の鄭和関係石碑が注目されるようになったの20世紀になってからだし。(ここの問題意識は上田信『シナ海域蜃気楼王国の興亡』を引きずっています)
今年も12月になったので、毎年この時期に聴いているイギリスのロックバンド・キンクスのクリスマス・ソング「Father Christmas」を。
小さい頃はサンタを信じてたよ、実際は親父だって知ってたけど、と子供時代を回想する語り手がクリスマスの時期にデパートの前でサンタコスでバイトしていると、うちの親父は失業中なんだよグタグタ言わずに現ナマ寄越せ、と町の不良少年に殴られる話。
"Have yourself a Merry Merry Christmas, have yourself a good time, but remember the kids who got nothing, while you're drinking down your wine."
先週末くらいから、ここひと月ほどの仕事疲れが出てやばい感じだったが、急に寒くなって耐え切れずに風邪っぴきの断崖を滑り落ち――るところで腕一本で何とか踏みとどまっている。いったん風邪を引くとなかなか回復しないので、途中で止まったのはよかったけれども、這い上がるのはそれはそれで大変。首筋温めてツボを押しまくっている。
マキノヤヨイです。創作集団こるびたるの中のひと(もしくは外のひと)。ここは、主に創作活動のゼミ発表的な使われ方をしている場です。