『SF作家はこう考える』収録の近藤銀河「過去に描かれた未来 マイノリティの想像力とSFの想像力」とても良かった。この鋭利な批評が載っていることが、この本全体に緊張感をもたらしていると思う。特に「SFの想像力が失敗し差別に加担する時」という章が、SFが差別的になりうることを明言してて重要。
かくいう自分にとっても他人事ではなくて、同論考の中では私自身がクィア的なSFとして好んでいたヴァーリイの諸作品に内在する差別的な要素が厳しく批判されており、問題点を自覚させられた。(なおこれは、だからその作家をキャンセルすべき、といった短絡的な主張をする文章ではないはず)
@ramorigami
わかります。ぼくもよくまちがえます。
『アンソロジー 舞台!』では、笹原千波さん「宝石さがし」と雛倉さりえさん「ダンス・デッサン」が深く刺さりました。特に「宝石さがし」の、母娘のどうということのないシーンで心臓を鷲掴みにされてしまって、もう少しで泣きそうに(自分でも理由はよくわからない)。https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488803117
『アンソロジー 舞台!』(近藤史恵・笹原千波・白尾悠・雛倉さりえ・乾ルカ、創元文芸文庫)。舞台をテーマにした本で、元は東京創元社の「紙魚の手帖 vol.10」の特集だったものを書籍化したもの。書籍化されてよかった、これでより多くの人の目に留まる、というか留まって! と願ってしまう一冊。
https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488803117
『嘘つき姫』(坂崎かおる、河出書房新社)。みなが当たり前だと思いつつ、どこか歪な世界に適応して生きている。違和感を抱きつつ、それでも世界や他者を呪うのではなく、なんとか真っ当に生きようとする人々の、慟哭も悲鳴も表立っては描かれない物語が静かに、だが力強く心を打つ。
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031781/
まずはエリック・マコーマック『ミステリウム』(増田まもる訳、創元ライブラリ)。実を言うと本書を読み終えたのはだいぶ前。これは好きな人が沢山いるに違いないと確信したものの、一方でこれから読む人に極力予断を持たずに読んでもらいたいとも思い、途方に暮れてしまっていたのだった。
https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488070885
「カモガワGブックスVol.4」に寄稿した、村上春樹のジャンルフィクションへの言及に着目した論考をブログに公開しました。エリスン、シルヴァーバーグ、ル=グィン、ラヴクラフト、マシスン、ジャック・フィニイ……。英語圏のジャンル小説作家からの影響は、やはり検討するに値するテーマなのかも!?https://air-tale.hateblo.jp/entry/2024/05/10/004930