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『SF作家はこう考える』収録の近藤銀河「過去に描かれた未来 マイノリティの想像力とSFの想像力」とても良かった。この鋭利な批評が載っていることが、この本全体に緊張感をもたらしていると思う。特に「SFの想像力が失敗し差別に加担する時」という章が、SFが差別的になりうることを明言してて重要。

かくいう自分にとっても他人事ではなくて、同論考の中では私自身がクィア的なSFとして好んでいたヴァーリイの諸作品に内在する差別的な要素が厳しく批判されており、問題点を自覚させられた。(なおこれは、だからその作家をキャンセルすべき、といった短絡的な主張をする文章ではないはず)

Twitter(自称X)のほうでわりと読まれてるので向こうで補足したんですが、この近藤銀河の論考が目指しているのはおそらく「これは差別/これは差別ではない」と作品を腑分けすることではなく、変わり続ける価値観の中で何が差別なのかを検討し続けることではないかと思う。「自分は差別の側にいない」と安心することは、反差別から最も遠い態度かと思います。

本文でも、現在の目からは差別と見なされる作品であっても、「書かれた時代における規範や差別のあり方、文化の状況とともに考えられる」ことで、どのように当時の規範を転覆し、どのように当事者の生に資したのかを考える対象となりうるとし、その上で、これから書かれるSFへの自覚を促している。

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