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最近ちらほらフォローしてくださる方、こっちはほぼ動かしていないサブアカになりますのでご留意ください。

今はビバルディの方のサーバーをメインにしてます。⬇

『三途の川で落しもの』西條奈加 (幻冬舎文庫)

読了。

『とるに足りない細部』アダニーヤ・シブリー 著、山本薫 訳

読了。実際の本を見た瞬間「短いな」と思い、実際ページ数としては大作に入るものでは決してないのだけど、読むのにとても時間がかかってしまった。一行を読み進めるたびに熱波が喉に流れ込むような息苦しさだった。あとがきを読んだあとでは簡単に言いきれないけれど、この閉塞感、どん詰まり感を読むことは現在思いを馳せることに繋がっていると感じます。パレスチナの作家。性加害の描写があります。

『まぬけなこよみ』津村記久子 (朝日文庫)

読了。読んでいて「あれ、なんかこの感じ、なにかの小説で読んだことあるな」と思っていたら同じ章で「これは小説に書いた」と述べられていて、うはは津村記久子の小説じゃん! とにやにやしていました。津村記久子の小説に出てくる人物たちは誰もが(子供も)必ずと言っていいほど疲れているので、エッセイの方がちょっと明るい感すらある。根底は疲れてそうなんだけど……。

この、資金に困っている自治体に金をチラつかせて生命や生活をトレードさせようとするやり方、今はどうしても原発を思い出してしまう。ずっとこうなんだなっていう静かなショックがある。

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「三二年ぐらいから試験的な移民は始まっていたのですが、初期に移民した人々から、満州が「乳と蜜の流れる」土地であるなどという国家の宣伝はまちがいで、厳寒の生活は日本人に向いていないのだとの実情が村の人々に語られはじめ、移民に応募する人々は三八年ぐらいから減ってしまった。そこで、国や県は、ある村が村ぐるみで満州に移民すれば、これこれの特別助成金、別途助成金を、村の道路整備や産業振興のためにあげますよ、という政策を打ちだします。
このような仕組みによる移民を分村移民というのですが、助成金をもらわなければ経営が苦しい村々が、県の移民行政を担当する拓務主事などの熱心な誘いにのせられて分村移民に応じ、結果的に引揚げの過程で多くの犠牲者を出していることがわかっている。ただ、とても見識のあった指導者もいて、その例として大下条村の佐々木忠綱村長の名前が挙げられます。佐々木村長は、助成金で村人の生命に関わる問題を容易に扱おうとする国や県のやり方を批判し、分村移民に反対しました。このような、先の見通しのきく賢明な人物もいたのです。」(p.466)

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『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子 (新潮文庫)

読了。ずいぶん、本当に長い時間をかけて読み切ったのだけど、時間をかけすぎて全然「読めて」いない本です……。期間を空けてもう一度読みたい。
その中でもお渡しでもハッとするような箇所がいくつもある。たとえば満州への開拓移民のところ。

この作品を読んでただ「感動」や「論じる」をして終わるというのは、結局エンタメとしての消費で終わるということだと思っている…………。ネットで検索しただけだけど作中の「ミオチュブラーミオパチー」は男性がなる、という情報しか手に入らなくて、そこが気になった。市川沙央の実際の筋疾患先天性筋ミオパチーとはまた枝分かれの異なる難病……なのかな。

「愛のテープは違法事件」のことも私は全く知らず、検索したけどあまりヒットしなかった。関連書籍を読むしかないのだろうな。
dinf.ne.jp/doc/japanese/access
往復書簡をしていた荒井裕樹の『障害者差別を問い直す』は読もうと思う。

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『ハンチバック』市川沙央 (文藝春秋)

読了。冒頭のショッキングさや性描写が……という話は聞いたりどこぞで見たりしていたけど、私はそれは平気でした。釈迦が田中を「哀れんでいる」のがすごく効いてると感じた。障害者は清廉潔白ではない、という既存のレッテルのようなものを剥がす、そういうのとは別種の感じ。障害者という属性って、哀れまれる、蔑まれる、の受け身側であることが社会の問題として「有り得る」ことを当然とされてきた、ある種その「ジャンル」では特別枠みたいな席だと思うんだけど、その特別さをぶち壊した感じ。蔑み憐れむ側に立つことで同等になる……とはまた違うニュアンスなんだけど…………金に不自由しない、小切手を気軽に切れる「マジョリティさ」があるキャラクターを示してきたのが、なんというかいいな、と思いました。うまく言えないな。

『三体Ⅱ 黒暗森林 上』劉 慈欣(著) // 大森 望(訳)立原 透耶(訳)上原 かおり(訳)泊 功(訳)

読了。「夢の恋人」の流れが進んで行くにつれて宇宙猫みたいな顔面になってしまった。いきなり手を取られて「は? なんだこいつ」と思わないというのはどうなんだ。危機感は覚えたりしないのか。夢の恋人役(そういう目で見られるとわかっていて連れてくる)というのはやばいのでは? 人身売買に似たものを感じませんか????????
などと思いつつ読了しました。次巻が楽しみです。

ここに収録してある作家・作品だけで判断できるものではないけども、すくなくともここに収録されているものでは韓国の作家の作品はかなり枠から自由だな、という印象を受けます。自分の心にあるものをできるだけ損なわないように表したい、という願望に真摯なのだな、と感じた。

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パク・ソルメが入っていたので睡魔を覚悟していたんだけど、いやいやいや、『もう死んでいる十二人の女たちと』収録の話よりもとっても「とっつきやすい」語り口だった。というかとてもよかった。山も落ちもないのだけど、読んでいてゆらゆら水に揺れているような……ふと泣きたくなるような感覚がふわっと水位を上げてくるような、そういう短編だった。

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『小説版 韓国・フェミニズム・日本』(河出書房新社)

「離婚の妖精」チョ・ナムジュ著、小山内園子/すんみ=訳

「桑原さんの赤色」松田青子 著

「追憶虫」デュナ 著、斎藤真理子=訳

「韓国人の女の子」西加奈子 著

「京都、ファサード」ハン・ガン 著、斎藤真理子=訳

「ゲンちゃんのこと」深緑野分 著

「あなたの能力を見せてください」イ・ラン 著、斎藤真理子=訳

「卵男」小山田浩子 著

「デウス・エクス・マキナ」パク・ミンギュ 著、斎藤真理子=訳

「名前を忘れた人のこと」高山羽根子 著

「水泳する人」パク・ソルメ 著、斎藤真理子=訳

「モミチョアヨ」星野智幸 著

読了。

『まともな家の子供はいない』津村記久子 (筑摩書房)

読了。あ~~~~~~つら~~~~~~~~~~………………。「まともな家の子供はいない」「サバイブ」の二本立て。中学生が主人公の小説だけど、津村作品の大人が主人公の小説と同じくらい日々に怒りを持っているし、子どもだからこそその怒りに付き合う方法が少なすぎて虚無感を育てている感じがする。行く場所がない、好きにできるお金もない、家と学校と塾しか基盤がない、交友関係もそこにしかない、そして家にはいたくない。居場所がない。居場所を求めて図書館に行くが図書館も席は奪い合いである。そしてそういう子供たちも「普通の子」なんだよね。シューアイスでキャッキャしたり。「サバイブ」、虐待やいじめを受けている子どもは出てこないけど、このタイトルはとてもしっくりくると思う。どうか生き延びてほしい。

『薬屋のひとりごと 14』日向夏 (ヒーロー文庫)

読了。

『わたしは、わたし』ジャクリーン・ウッドソン/作
さくまゆみこ/訳
吉實恵/装画

読了。ヤングアダルトコーナーにある字の大きい本です。児童書が好きなので(別にたくさん読んでいるわけではないが)定期的にひょいひょいと手に取っています。思春期のこどもに向けられた本たちはいつもやさしい。
タイトルからアイデンティティの内容なのかなと思っていたら、『証人保護プログラム』が話の中心にあるものだった。日本での出版は2010年。BLMが「最近のアクション」ではないことを改めて思い知る。証人保護プログラムのことはほぼ知らないと言ってよかったのだけど、「これが“保護”なのか……」とやりきれない思いになった。

物語としては主人公の年齢に等身大のものであって、アメリカでの人種差別や制度の問題ではなく、存在を奪われたその先で「自分」と付き合っていく過程を描くものだった。姉の姿勢が本当に綱渡りのように切迫していて胸が苦しい。主人公よりも年齢が上なぶん、見えるものが多かったのだと思う。フィクションだとは知りつつも、未来を願ってしまった。

『三体』劉 慈欣 (著), 立原 透耶 (監修), 大森 望 (翻訳), 光吉 さくら (翻訳), ワン チャイ (翻訳)

とりあえず一巻を読了。うわ~~~~~~~~もう全然わっかんないけどおもしろ~~~~~い!!! 正直サイエンスの部分は一ミリも意味が分からないので「みんなあたまがいいなあ」「すごいことがおこっているのだなあ」とぱやぱや思いながら目を滑らせてるくらいのノリなんですが、うーん面白いですね。ワンミャオ! がんばれ!!

「歩くこと」が自己との対話であること、それは過去との対話でもあり、他者の言葉への傾聴であること。都合のいい「許し」がないこともとてもよかった。
映画がとてもよく、原作があることを他の方から知ってぜひと読んだけども、原作が素晴らしいと共に「映画の構成もすばらしいな」ということをひしひしと思いました。文庫で約500ページある本なので当然削るところが出てくるんだけど、画のつなぎ方がとてもうまかったんだなとわかる。
それはそれとして、原作ラストが「笑い」で締められているのはすごくよかったです。生きていくのだ、という感じがした。

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『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』レイチェル・ジョイス 亀井よしこ/訳

読了。すばらしかった。

『うどん陣営の受難』津村記久子 (U-NEXT)

読了。タイトルでなんじゃそりゃ、と思ったが津村記久子なのでよくわからんまま読む。内容としては「社内政治」の話らしいのだが、オフィスがあるような会社に勤めたことのない私は「政治の話じゃん…………」と思って読んでいた。ガチで社内に「陣営」とかあんの??? こわ…………。

それはそれとして、草の根とはなんなのか、とか、「大義」のために個としての尊厳が蔑ろにされがちなこと、とか、陣営に分かれていてもひとりひとりを見てみれば人格が(当然)あるのだとか、投票を棄権するっていうのはどういうことかとか、どっちを選んでも最悪なときにどうすればいいのかとか、気持ちがボロボロで「誰かに決めてもらいたい」ときってあるよね〜……!! とか、そういうひとを否定しないこととか、こんな薄い本なのにかなりぎゅっと詰まってんな……と都知事選を思い出しながら読みました。選挙が終わっても日々は続くのだ。

『ワーカーズ・ダイジェスト』津村記久子 (集英社)

読了。おもしろかった〜!! 32歳、物語では「結婚に焦る」「仕事がノってきた」のどちらかで描かれがちな気がするけど、どちらでもなく、圧倒的に多いであろう「仕事に疲れている中年」を描いているのさすがだなあと思いました。朝の最初のアラームで起きられず結局その8分後のスヌーズで起きる、本当はこの時間に起きたい、8分あればもうすこし豊かな朝を過ごせるはずなのに……その「八分に夢を見すぎだと自分でも思う」というのがあまりにもリアルで笑う。

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