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"今も、たとえば、あの納戸にあった花見道具を、テレビの横において、僕はふと考える。長いことかかって少しずつ改良され美しい知恵がいっぱいにもりこまれ今もなおその美しさが胸をうつこの道具を生み出したあの時代と、四、五年たてばガタが来て、そうでなくても毎年新型が出て、古くなっていくテレビを生み出したこの時代と、一体どちらがすぐれているのだろうか、と。"
小松左京『小松左京セレクション1 日本』「御先祖様万歳」

今日は小松左京の誕生日らしいので。

"知り合いの数より、付き合った本のほうが多いなんて、
ぼくのどこかがおかしいか、本がニンゲンより親しみやすいかだ。
本は出し惜しみをしない。本は手持ちを曝してくれる。
ぼくは、本から貰った衣装と道具と言葉遣いとスタイルで
その本に暗示された遊びに熱中すればいいだけだ。"
松岡正剛『本から本へ 千夜千冊エディション』

"山東京伝は「所詮、戯作本は貸本屋を通してお客へ渡るもの、個人の蔵書として書架に置かれることはない。つまりお客は一時の慰みものとして読み捨てる。だから書く方も、自分の慰めにこれを書くべきで、決して本業としてはいけない」とおっしゃって、タバコ入れ屋を開業なすった。"
井上ひさし『戯作者銘々伝』

"(...)印刷機は十六世紀の都市部の発展の原動力になったという。印刷機が導入された都市では、商売の指南をする本がどしどし印刷されて普及し、外国為替で取引する方法だとか、利子率をどう決めるかとか、利益率をどう計算するかといったノウハウが浸透したからだ。その結果、人々はさまざまな取引のスキルを身につけた。"
カール・B・フレイ『テクノロジーの世界経済史』

"地球上の光合成によって1年で合成される糖質をすべて使って角砂糖にすると、30京個にも達する。それらを積み重ねると、地球から冥王星にまで達する。"
『大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学』

"世間ではもの静かに話すひとを思慮があるといい、早口に話すひとを思慮がないというが(...)道理に合わない。早口で話そうがゆっくり話そうが、そのひとのふるまいと前後や首尾が合い、ゆるみのない武功があり、また一言一句に非難の余地がない者こそ思慮ある武士である。"
佐藤正英訳『甲陽軍鑑』

最初に買った岩波文庫って何だっただろう、と考えていた。たぶんこの2冊のいずれかだと思うのだけど……。高校卒業以降に買ったのは確実。中高生の頃はろくに読書してなかったものね。

"運命の歩みは空の銀河に似ている。銀河は多くの小さな星の集合もしくは塊である。小さな星は散在していてよく見えないが、いっしょになって光っている。同様に、多くの小さな、ほとんど見分けが付かないよう徳性が、というよりむしろ能力や習慣があって、それらが人々を幸せにするのである。"
フランシス・ベーコン『ベーコン随想集』

今日はベーコンの誕生日らしいので。

"自分は自由であると信じている人間はかえって、不断に自分の思考や行動を点検したり吟味したりすることを怠りがちになるために、実は自分自身のなかに巣食う偏見からもっとも自由でないことがまれではないのです。"
丸山眞男『日本の思想』

"わたしは想像の世界で暮らしています。
もしかしたら、臆病なので、
頭を隠して世の中の現実を見ないようにしているのかもしれないわね。
でも、それも楽しい生き方ですよ。"
ターシャ・テューダー『思うとおりに歩めばいいのよ』

"当時、ペンを持たずに読書することの方が珍しかった、と言っても過言ではない。そもそもラテン語で「読む」を意味する動詞 legere には、「集める」、さらには「奪い取る」という意味さえあった。要するに、記憶し学ぶに値するものを採取するのが、本来の読書の意味であったのだ。"
桑木野幸司『ルネサンス情報革命の時代』

"自己満足というのは、一種の税金のかからない財産のようなもので、その価値を下げられるのは不快なものだ。"
ジョージ・エリオット『ミドルマーチ』

"社会に存在する諸々の問題は、社会の機能不全であり、社会を退化させる病である。しかし、それは組織、特に企業のマネジメントにとっては挑戦である。機会の源泉である。社会の問題の解決を事業場の機会に転換することによって自らの利益とすることこそ企業の機能であり、企業以外の組織の機能である。"
P.F.ドラッカー『マネジメント』

"どうしてある人間がこのようであり、あるものはこうであり、そしてまた人間の運命というものがどうしてこのように変遷していくのか、人の幸不幸はそもそも誰が決定しているのか、などという思いに誤魔化されないで世界を直視するならば、人間たちの個々の運命、摂理とはおのずから別なるより高次の視点か可能であることに気づくでしょう。それはあとから人々の幻想や必要性が付与した意味、いわば人間たちの与えた意味ではなくて、真実の、この世界そのものが内包していた<意味>なのです。それの中にあって、はじめて世界はより高次の世界の似姿としての姿を明らかにします。"
栗本薫『グインサーガ』37巻

"極上のひとは、一切を自分で考慮して、これならこれからさき最後までも大丈夫と判断のつくひと。
つぎにやはり上出来なのは、よい助言者にしたがうこと。
ところが、自分で判断もしなければ、人から聞いて心に留めることもしないひとは、無用の長物だ。"
ヘシオドス『労働と日々』
dl.ndl.go.jp/pid/2932379/1/26

"あまりに長く旅をしていると、ついには自分の国では異邦人となってしまうように、過去の時代に行われたことにあまり首を突っ込んでばかりいると、今の時代に行われていることに、まるで疎くなってしまうのが普通である。"
デカルト『方法序説』

野崎まど『タイタン』

以前フォロワーさんの感想を見かけて、面白そうと思って読んだら面白かった! AIとロボットにより人類が労働から解放された、ユートピア的なAI管理社会の23世紀。AIの一つが調子を崩しパフォーマンスを低下させた理由とは。仕事と働くことの意味を問い直す小説。

AGIが実用化されれば、人は仕事について向き合わざるを得ない。今後10年以内に、多くの人が切実にその問題に直面するだろう。そういう意味でも読んでおいて損はない小説。ただ、「仕事」と「労働」は分けて考えてほしかったな、と思う。
あと、解説の品田遊氏って誰?と思ったらダ・ヴィンチ・恐山氏なのね。

"現代の知識人は、アマチュアたるべきである。アマチュアというのは、社会の中で思考し憂慮する人間のことである。"
サイード『知識人とは何か』

"歴史のなかには大きな巻物が広げられていて、わたしたちが過去の誤謬と人間の弱さについて学ぶことで、将来の知恵を築く材料を引き出して考察できるようになっているのです。"
エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』

今日はバークの誕生日らしいので。

"そもそも国に哲学がないとは、床の間に掛け軸がないようなもので、その国の品位をおとすものだ。(...) これは暇つぶしの議論のようであって、そうではない。哲学なき国民は何ごとをなすにも深みに欠け、浅薄にならざるを得ないのである。"
中江兆民『一年有半』

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