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"どうしてある人間がこのようであり、あるものはこうであり、そしてまた人間の運命というものがどうしてこのように変遷していくのか、人の幸不幸はそもそも誰が決定しているのか、などという思いに誤魔化されないで世界を直視するならば、人間たちの個々の運命、摂理とはおのずから別なるより高次の視点か可能であることに気づくでしょう。それはあとから人々の幻想や必要性が付与した意味、いわば人間たちの与えた意味ではなくて、真実の、この世界そのものが内包していた<意味>なのです。それの中にあって、はじめて世界はより高次の世界の似姿としての姿を明らかにします。"
栗本薫『グインサーガ』37巻

"極上のひとは、一切を自分で考慮して、これならこれからさき最後までも大丈夫と判断のつくひと。
つぎにやはり上出来なのは、よい助言者にしたがうこと。
ところが、自分で判断もしなければ、人から聞いて心に留めることもしないひとは、無用の長物だ。"
ヘシオドス『労働と日々』
dl.ndl.go.jp/pid/2932379/1/26

"あまりに長く旅をしていると、ついには自分の国では異邦人となってしまうように、過去の時代に行われたことにあまり首を突っ込んでばかりいると、今の時代に行われていることに、まるで疎くなってしまうのが普通である。"
デカルト『方法序説』

野崎まど『タイタン』

以前フォロワーさんの感想を見かけて、面白そうと思って読んだら面白かった! AIとロボットにより人類が労働から解放された、ユートピア的なAI管理社会の23世紀。AIの一つが調子を崩しパフォーマンスを低下させた理由とは。仕事と働くことの意味を問い直す小説。

AGIが実用化されれば、人は仕事について向き合わざるを得ない。今後10年以内に、多くの人が切実にその問題に直面するだろう。そういう意味でも読んでおいて損はない小説。ただ、「仕事」と「労働」は分けて考えてほしかったな、と思う。
あと、解説の品田遊氏って誰?と思ったらダ・ヴィンチ・恐山氏なのね。

"現代の知識人は、アマチュアたるべきである。アマチュアというのは、社会の中で思考し憂慮する人間のことである。"
サイード『知識人とは何か』

"歴史のなかには大きな巻物が広げられていて、わたしたちが過去の誤謬と人間の弱さについて学ぶことで、将来の知恵を築く材料を引き出して考察できるようになっているのです。"
エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』

今日はバークの誕生日らしいので。

"そもそも国に哲学がないとは、床の間に掛け軸がないようなもので、その国の品位をおとすものだ。(...) これは暇つぶしの議論のようであって、そうではない。哲学なき国民は何ごとをなすにも深みに欠け、浅薄にならざるを得ないのである。"
中江兆民『一年有半』

"なされるべきことを考えることが成功の秘訣である。これを考えないならばいかに有能であろうとも成果を上げることはできない。"
P.F.ドラッカー『経営者の条件』

"私は人類というものから世界の貴族階級を作ろうとした。制限されることのない、自由な、至高の人たちを造ろうとした。それは人間以上であってもいい。"
カレル・チャペック『ロボット』

今日はチャペックの誕生日らしいので。上記の箇所は私がAIに抱いてる思いに近いなあ。

"数学を使って何かに役立てようという意志は背景に退いて、目をこらして「数」や「図形」の織りなす世界を「よく見よう」とする静かな情熱が、ギリシア数学を貫いている。そういえば「定理」という言葉も、もともとは「よく見る」という意味のギリシア語から来ているのである。"
森田真生『数学する身体』

"人間性と真摯さは、それ自体では何事もなしえない。しかしそれらがなければ、ほかのあらゆるものを破壊する。したがって、人間性と真摯さに関わる欠陥は、単に仕事上の能力や強みに対する制約であるにとどまらず、それ自体が人を失格にするという唯一の弱みである。"
P.F.ドラッカー『経営者の条件』

"「ひとつだけ云っておこう。何があっても、何をきいても、いったん信ずると決めたら、信じとおすことだ。たとえ、裏切られたのかと思うときでも。そしてこの世で重大なのはただ三つ、真実と、愛と、そして運命だけなのだということを、忘れぬことだ。その中のどれかが自分を裏切るようにみえても、のこる二つをしっかりと信じ、それによっている限り、必ず、もう一つのものも帰ってくるときがくる。」"
栗本薫『グイン・サーガ』21巻

"多忙な人は、みな惨めな状態にある。その中でもとりわけ惨めなのは、他人のためにあくせくと苦労している連中だ。彼らは、他人が眠るのにあわせて眠り、他人が歩くのにあわせて歩く。だれを好いてだれを嫌うかという、なによりも自由であるはずの事柄でさえ、他人のいいなりにならなければならない。"
セネカ『人生の短さについて』

"梢や風、カラスや草花、ネコや魚、ウズラや灌木、これらのことばが言語でないことは当然である。しかしわれわれの耳は言語へと疎外されているから、すべての<ことば>を言語として聞く。そして言語化しえないことばは、きこえない。というふうに感受性と交信能力を自己限定する。"
真木悠介『気流の鳴る音』P.65

"発車のベルが鳴った時、チラと見ると、父は二三度深く頷いた。(みんなわかっている)と、父の顔が言っている。昔の顔だ。死が三、四ヶ月後に来ることを知っていた父はとうとう仮面を脱いだのだ。私は顔中を涙にして泣いた。"
森茉莉『記憶の繪』

※「父」は無論、鴎外のこと。

"「道端で泣いている赤ん坊がいるのを見つけたとしよう。君ならどうする?」
「警察に電話します」。私は大して考えもせず答えた。
 するとリチャードは、オフィスから私を連れ出し、私の肩に手を回して言った。
「君には共感力が必要だな。道で泣いている赤ん坊を見つけたら、抱き上げなきゃ」"
サティア・ナデラ『Hit Refresh』

"われわれの社会が組織社会化しつつある中にあって、いまやあらゆる組織が社会の質に責任をもち、社会的な価値と信条と目的の実現を、本業への制約条件としてではなく正常な活動の主たる目的としなければならなくなった。組織は社会の質の向上を自らの本業と一致させなければならない。"
P.F.ドラッカー『マネジメント』

里中高志『栗本薫と中島梓』

長編小説、短編小説、エッセイ、評論。彼女の作品を片っ端から読んできた。彼女の書くファンタジーも、SFも、時代小説も、探偵小説も、青春小説も、伝奇小説も、文学論も、文化論も、大好きだったし、今もそれは変わらない。この本は読もうかどうしようかと悩んでいたけど、年明けから読むことにする。

ブラム・ストーカー『ドラキュラ』

TLで見かけて興味を持ったので買ってみた。800ページ以上もあるとは!(まだ冒頭しか読んでない) 光文社古典新訳文庫版、脚注がたっぷり入っていて面白い。逆に、脚注がないと序盤は退屈になってしまうのかも。

映画版はジョナサン・ハーカー役のキアヌ・リーブスだけやたら印象に残ってるのだけど、Wikipediaを見ると、ヴァン・ヘルシング教授をアンソニー・ホプキンスが、ミーナとエリザベータをウィノナ・ライダーが演じていて、なかなか豪華な顔ぶれだったんだな、と。20年以上前に見てあまり覚えてないので、配信でもう一度見たい。

>冊数が数えられるうちは積読とは呼べない。分からなくなってからが積読の始まり
twitter.com/kikumaco/status/17

私は「数百冊」くらいのざっくりした数でしか未読本を数えられないので胸を張って積読と言える🤔

なお、ずっと以前に読んだはずで線も引いてあるのだけど内容をさっぱり覚えていない本は未読にカウントした方がいいのだろうか。

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