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『世界文化小史』
H.G.ウェルズ著、角川文庫 1971年3月発行

この「小史」も「世界文化史大系」も国会図書館デジタルコレクションで複数の翻訳がタダで読めるのだけど、やはり手元に置いておきたいということで。ただしもう絶版になってるので古書で入手。宇宙の誕生から現代までの通史をビッグヒストリーとしてまとめた本が今も毎年のように出版されているのは、それだけ人気が高いジャンルなのだろう。原著は1922年発行で、大著「世界文化史大系」の後に書かれたのだけど、ダイジェスト版というわけではなく、より一般の人が一気に通して、興味を持って読めるように書かれている(とウェルズも前書きに記している)。ただ1970年代の文庫本なので活字が細かいのよね。もっとゆったりしたハードカバーで読みたいから、どこかが新装版とか出さないかなと思ってるけど、さすがに無理だろうなー。

『神秘学概論』
ルドルフ・シュタイナー著、高橋巌訳、ちくま学芸文庫 1998年1月発行

ずいぶん前に買った後まだ読んでなかった。神秘学については体系的に知っているわけではないので、教養として読んでおこう、と思って買ったような気がする。人智学ではなく神秘学を手に取ったのは、当時はグルジェフの影響下にあったからかもしれない。科学的なパラダイムが圧倒的に支配する現代こそ、こういうのを読む意味がある気がする。

『アーサー王物語』
ジェイムズ・ノウルズ著、金原瑞人編訳、偕成社文庫 2000年7月発行

子どもの頃に読んだことがなく、教養としてひととおり知っておきたいということで、子ども向きと思われるこの本を手に取った(よく見ると「子どもとおとなのための」と書いてあった)。なるほど、古典だなあ。いろんな元ネタがここにある。「ペンドラゴン」もここからきていたのか。

『グイン・サーガ 2 豹頭の仮面』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1979年10月発行

スタフォロス砦を脱出し、ケス河を越えてノスフェラスへ足を踏み入れるグイン一行とヴァラキアのイシュトヴァーン。それをアムネリス皇女率いる一万五千のモンゴール軍が追う。敵方の魔道士が登場するものの占い師と大差ない。と思ってたら、アムネリスは「占術師」とも呼んでいるのね。架空の世界にもかかわらず、神話と大自然の圧倒的な存在感が迫ってくる。

『グイン・サーガ 1 豹頭の仮面』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1983年1月改訂版発行

もう一度グイン・サーガを通して読みたいと思う。50巻くらいまでは何度も読んでるけど、それ以降は1~2回しか読んでなかった気がする。ともあれ最初から読んでみる。1巻は実に正統派ヒロイックファンタジー。剣と魔法の世界。ただし魔法(魔道)は物語のバックボーンとして大切な役割はあるものの、まだ前面には出てこない。それにしても、日頃ネット小説やラノベに浸っていると、この硬派な世界観と文章に圧倒される。刊行から45年を経て少しも古びていない。

"漢方薬は一般的に即効性がないものの、根本的な体質改善を促し、長い目で見ると病気の治癒や健康の維持に役立つ。同様に、人文学は人間形成ないし人間性の陶冶に一役買い、実生活を営む上で必須の思考力・判断力・想像力を培うのではないだろうか。"
――安酸敏眞『人文学概論』

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"「神はいる。それを信ずるものの心の中にいる。神というのがおかしければ、摂理とでも運命とでもよべばいい。(...) おれは、生死の境目で何回も《彼》を見たよ」"
――栗本薫『レダ』

このブライ船長のセリフ、ふと思い出して、どこに書いてあったっけ?と探し回ってしまった。3巻でした。

"――それは僕のはじめて持った友人だった、といっていい。僕はたしかに人間を好きでなかったし、人間も僕を好きでなかった。僕の愛しているのは冷徹な論理と偉大な歴史、そしてもう死んでしまった人々の偉大な思想だった。友人のいないことで悩まされたことは一度もなかったが、クラスメートと話すと必ずまずいものを食べたような心地になった。"
――栗本薫『伊集院大介の私生活』

"インフォメーションとは、それがいかに発見されるかにかかわらず、知りうるすべてを指す。これに対し、インテリジェンスとは、政策決定者の需要(ニーズ)として明確にされたものまたはそのような需要と理解されたものに合致するインフォメーションであり、当該需要に応えるため、収集され、処理され、絞り込まれたインフォメーションである。"
――マーク・M・ローエンタール『インテリジェンス』

"(...)日本人は職業を「カタギ」と「ノン・カタギ」に分けるといわれる。そして氏は政治家を「ノン・カタギ」に分類される。確かに、交通違反などで警察につかまったとき「裏からのもみ消し」などは市会議員に頼む。また裏口入学は総理の秘書に頼む。これは「カタギ」の人間に頼めることではない。"
――山本七平『昭和東京ものがたり1』

……これ、真面目なたとえなのかジョークなのか一瞬迷ってしまった。昭和中盤はこれが一般的な認識だったということか。何にせよ、この本、昭和の世界が今とはまるで異なる社会だったことが書かれていて興味深い。

"「人というものは、世の中ですたれそうな芸能を大切に保存して末々までも絶やさぬようにすべきものだ。お前も人がすててかえりみぬようなことに愛情をもち、世のためにそれをのこすよう心がけよ。よいな、人間というものは、そうしたことに自分をささげなければならぬ」"
――『教科書名短篇 人間の情景』より吉村昭『前野良沢』

"日本でも「活字離れ」が問題になっており、電車の中で本を読んでいるインテリに見える学生は「デカンショ」を読んでいないし、「マル・エン全集」も読んでいない。"
――ドナルド・キーン『日本語の美』

そもそもどれも電車の中で読める気がしない。かろうじてショーペンハウエルの随筆は電車内でも読めそうだけど、なんか、著者本人に怒られそう。

"庭づくりは奥が深く、年月を必要とするものです。辛抱強く植物が生長するのを待ち続け、焦らず、弛まず、そして時には楽天的に考えて、大きなダメージに遭い心が打ちひしがれて、焦りを感じても、気持ちを切り換えて心配を払いのけながら、次の手を考えて、希望を忘れずに…。まさに、人生そのもののようでもあります。"
――ケイ山田『庭に生きる』

"進歩した文明とは、困難な問題をかかえた文明にほかならない。だからこそ文明は、進歩すればするほど、それだけ危険な状態になるわけだ。"
――オルテガ『大衆の反逆』

"私は何の予備知識もない人から「法哲学とはどんな学問か?」と質問されたとき「そんなことは一口では言えませんよ」などとはぐらかしたりせず(一口で言えない人は何口かけても言えないことが多い)、とりあえず「法と法学の諸問題を根本的・原理的なレベルにさかのぼって考察する学問です」と答えることにしている。"
――森村進『法哲学講義』

>一口で言えない人は何口かけても言えないことが多い
:t_soudane:

"私にはコンビニの「声」が聞こえて止まらなかった。コンビニがなりたがっている形、お店に必要なこと、それらが私の中に流れ込んでくるのだった。私ではなく、コンビニが喋っているのだった。私はコンビニからの天啓を伝達しているだけなのだった。"
――村田沙耶香『コンビニ人間』

"全く動じる様子のない黒川さんの返事にため息をついてしまうが、私の〈アバター〉は鷹揚に手を差し伸べて話を促した。〈アバター〉ならではの機能、〈感情補正ビヘイビア〉のおかげだ。"
――藤井太洋『Gene Mapper -full build-』

VR空間での無作法な振る舞いやコンプライアンスに反する動作をリアルタイムで補正しアバターの動作を修正してくれる機能拡張、欲しすぎる。こういうのが登場すると、仕事上では生の対人コミュニケーションなんてやってられなくなると思う。

"起きている力をだんだんに失った三人は、一日じゅう寝床の上に横になって、水を取りに行く時だけ這い出して行っては、茶飲み茶碗にわずかに一二杯ずつの水を大事にすすった。その水もやがて尽きる日が来た。"
――野上弥生子『海神丸』

大正時代、実際にあった海難事件をベースにした物語。難破船という極限状態で食糧が尽きたとき、人はどうなるか。

『一度読んだら絶対に忘れない哲学の教科書』ネオ高等遊民著

ネオ高等遊民さん初の単著。哲学入門書にはいろんなアプローチがあるけど、この本はどうかしらね。先入観なしで読んでみます。帯の推薦が読書猿氏・飲茶氏であるあたりにこの本の立ち位置が伺えそう。

"日本における善悪は実のところ、欧米が理解しているようなものとは、天と地ほども異なっていた。価値体系は特異なものであった。仏教でもなければ、儒教でもなかった。それは日本的なものであった。そこに日本の強みも、弱みもあった。"
――ルース・ベネディクト『菊と刀』

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