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ペダルを外して調整し、ドライバーで店の床に見えない図を描いて原因を説明してくれたけれどもよくわからなかった(見えないので)。
そのあともういちど試し乗りをするとあんなにしつこかった嫌な音は消えている。「500円」。そんなんでいいんですか、とおどろき支払った。
作業の途中から店の外で外国人男性が高そうな折り畳み自転車といっしょに待っていた。わたしと入れ替わると、タイヤの交換をどうするなどと相談を始めた。もういちどお礼を言って店を離れると、背後で「ヤススギルヨー」と笑い声が聞こえた。
高齢で頑固で親切な自転車屋、もうここにしか行かない。

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自転車をこいでいると両方のペダルからギリギリガリガリと嫌な音がするのが何ヶ月か続いていた。
しばらく前に近所の自転車屋で見てもらったら「寿命」とのことだったのであきらめてそのまま乗り続けていたが、がまんしているうちにみじめな気持になってきてよくない。
もう少し足を伸ばせば頑固で親切な別の自転車屋があると知り、だめもとで行ってみた。当然、行く途中もギリギリガリガリと足に小さな震動が伝わる。

狭くて古いお店の奥から出てきた高齢の店主はわたしの話の途中でペダルをつかみ、回して「音がしない。しない音は直せない」(原文は岡山弁)。チェーンからギアまでじっと見て「音がする理由がない」(同)。
それで切り上げようとするので、いや、待ってくださいよと店の前で自転車に乗ってみせた。2mと進まないうちにギリギリガリガリ。
店主の声が飛ぶ。「そりゃあんた、ペダルだよ!」はじめからそう言っている。

ソフトも持っているので、いちど“後半から観始め、最後までいったら冒頭に戻る”のを試してみたいと思いつつ、禁忌(それをやったら元も子もない)に触れる気がして果たせないままだ。

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レストランの裏でなにか怖いのが来るぞ来るぞ…とわざとらしく大げさに盛り上げたすえに“本当に怖いのが来る”というのは、ド直球過ぎるがゆえに反則じゃないかと毎回思う。慣れることができない。

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イオンシネマで「マルホランド・ドライブ」4Kリストア版をやっていると知り、ありがたやと観に行った。
入口で、どんな映画かすでに知っている人にしか訴求しないチラシが配られていた。

デイミアン・チャゼル監督「ファースト・マン」(2019)のラストで、地球に戻ってきて隔離されている主人公が妻とガラス越しに対面して見つめ合い、見つめ合うばかりかガラスの斜め上のほうに映るふたりの顔の像まで半分重なっているのを観客に見せるシーンを「若干くどいが、まあ、いいところ」と記憶していたんですけど、さきほどはじめてヴェンダースの「パリ、テキサス」(1984)を観たことにより、上述の感想は流れ星となって消え去りました。

“有名な作品をいまさらはじめて観る/読む/聞く”のをためらってはいけない…

髪を切りに行った。店主は最近大阪へ遊びに行ったそうで、「あの万博のマスコットをたくさん見かけたけど、いったいなんなんでしょう。だいたい、青と赤ってセンスがない」と呆れており、「たぶんおそらく、こちらの店先のアレと同じではないでしょうか」とクロスの下からサインポールを指さしたら「業界を代表して謝罪します」とのことだった。

…が、いま調べたらサインポールの起源は動脈・静脈ではなかったし、マスコットの色の由来も動脈・静脈ではなかった(後者の公式サイトへのリンクは省略)。わたしが謝罪してこないといけなくなった。

riyo.or.jp/理容グッズの歴史年表/

東京書籍 ニューサポート高校「国語」vol.42(2024年秋号)
ten.tokyo-shoseki.co.jp/ten_do

福尾匠の文章目当てで読み始めたが、乗代雄介のもたいへんよかった。
教員向けの冊子らしいけど、そのまま教材にしたらいいんじゃないか。

大辞林4にあった「語弊」の例文がどう続くのか知りたい。そこから巻き返しを図れるものだろうか。

そこそこヘビーなアトロクリスナーなんですけど、楽しみにしていた今週月曜(9/9)のピエール瀧ゲスト回をようやく聞いたら、“造本が格好よすぎて買ったけどぜんぜん読めなかった新潮社『ブルーノ・シュルツ全集』を、代わりに読んでと宇多丸&宇垣に進呈する”展開があって笑った。
instagram.com/p/C_uqDMeymTh/?i

このときの無洗米じゃない米10kgを今週ようやく食べきった。しばらく前(高くなる前)に無洗米も買ってある。

さっき晩ごはんの洗い物をしながらぼんやり「このあとあしたの米を研がないとな」と思ってから「イヤもう研がなくていい!」と気づいたときの高揚は相当なものだった。人類の叡智としての無洗米。

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意地になって検索を続け、結局ツイッターのお世話になった。
作者名は「本多真弓」、歌集『猫は踏まずに』。

・あなたたちこんなところでなにをしてゐるのつていふはうの人間

旧かなの可能性を考えていなかった自分を反省した。
そして検索結果を眺めての推測なんだけど、どうも最初は

・あなたたちそんなところでなにをしてゐるのつていふはうの人間

として発表したのを、あとで「こんなところで」に改稿したようにうかがえる。
だとしたら、たしかにぐっとよくなっているのでいっそう感心した(えらそう)。『猫は踏まずに』を探さないといけない。

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先日のNHKラジオ「ほむほむのふむふむ」(ゲスト:石川美南)で紹介されていた短歌のなかで、ホンダマユミという人の歌がとてもよかった。わたしの耳にはこう聞こえた。

・「あなたたち、こんなところで何をしているの?」って言う方の人間

でも実物の文字表記がどうなっているのか(漢字とかな、カギカッコはあるのか)わからない。

nhk.or.jp/radio/ondemand/detai

それで表記をいろいろ変えて検索してみたが、まったくふつうの単語の組み合わせなのでなかなか見つからなかった。
(木下龍也『あなたのための短歌集』がめちゃめちゃヒットする。たしかにあれもいい本だったけど)

・店主はほぼ興味がなく聞いていない
・店主はほぼ興味がなく聞いていないのを高齢男性側もわかっている
のがよかった。

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気になっていた喫茶店にはじめて入ってみたら、カウンターに陣取った常連らしき高齢男性ふたりが大声で「やっぱり、やすきよが面白い」「ローリング・ストーンズはライブがよかった」など話しており、なんというか、演じてない? 無理してない?と気になった。

あ、NDLで読めるのか。

ビオイ=カサーレス 著 ほか『日向で眠れ・豚の戦記』,集英社,1983.7. 国立国会図書館デジタルコレクション dl.ndl.go.jp/pid/12579323 (参照 2024-08-23)

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《なるほどまさにその通りだと思われる観察の結果を得たことを覚えております。「変だなあ!」とわたしは呟きました。「あの犬は二通りの吠え方をするな」と。わたしは外を覗いて見ました。二通りの吠え方も何もあったものではありませんでした。二匹いたのです。》ビオイ=カサーレス『日向で眠れ』(高見英一訳)

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こういう日常にある知覚のバグみたいな体験を集めたい気持がずっとある。
以下は13年前にbrucaniroさんが書いてくれた例。こういうのが好きでツイッターをやっていた。
x.com/brucaniro/status/9937571

わたしの場合、これは「いつもは電車で移動している二点(最寄り駅と隣駅くらいでいい)を自分の足で歩くと、たしかに地続きであることになぜかおどろく。当然なのに、どうしてもおどろく」。

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