THE CREATOR よさそう。
https://www.youtube.com/watch?v=C3_k_ElPOG4
『君たちはどう生きるか』を見に行く。隣の人が「こんなに映画館でどきどきするの久しぶり」と話していて、たしかにそうだなぁと。見終わっていろんな気持ちを抱え、帰宅するなり打ち合わせだったので感想を言い合えた。
〝海水は非常に澄み、水底はせわしなく動き……闘い、喰い、生殖する動物たちの姿を見せて、珍奇であった。蟹たちは海藻の葉から葉へと突進した。ひとでたちは鳥貝や笠貝の上に坐り、無数の吸盤を付着させ、緩慢なしんずべからざる力でそららのえものを持ち上げ、ついにはそれらを岩から引きはがす。すると胃が自ら外へ出てきて、そのえさを包み込んでしもうのであった。橙色で、斑があり、堀溝のある裸鰓類は、スペインの踊り子の衣装よろしく、そのスカートをひらひらさせながら、優雅に岩の上を滑っていった。黒い海うなぎは岩の割れ目から頭を出して、えものを待ち受けていた。ぴょんぴょん小エビは音高く爪の引き金を引いた。愛すべき色彩にみちたこの世界は、外から見ると、ガラス越しに見てる感じだった。やどかりたちは興奮した子供みたいに底の砂を駆けた。その一匹が自分の殻から這い出し、一瞬その柔らかい身体を敵に暴露したのち、新しき、よりよき殻に飛び込む。〟
スタインベックの『缶詰横丁』、むちゃくちゃ好きなんですが、復刊しないかな。標本作りの先生、一癖も二癖もある横丁の住人たち、海辺の生態系――を描く筆致がすばらしい。
〝少年と犬が谷間からもがき登ってくる姿にひきつけられた。少年は肝臓を持ち、犬は先端に胃がぶらさがっている長々しい腸をひきずっていた。
この時分の少年たちは礼儀正しかった。「おはようございます、おじさん」
「肝臓持ってどこへ行くのかね?」〟
スタレヴィッチのような気がしていろいろ見てみたが、該当するものはなかった。でもやっぱりすごいなスタレヴィッチ。空気の圧が感じられるモーションブラー。
https://www.youtube.com/watch?v=uOLEVnGy3eU
ニナ・ハーゲン・バンドのこのミュージックビデオに使われているストップモーションアニメがすごくいいのだけど、調べてもなんの映画なのかわからない。
https://www.youtube.com/watch?v=CFgsDWlRfho
小田雅久仁さんの新刊『禍』(新潮社)をお送りいただきました。装丁にも禍々しさが凝集している……。すさまじい短編集です。
QT: https://fedibird.com/@dempow/110364815893912227 [参照]
川野さんの〝文章はもっと途中で分岐したり並走したり合流したりオーケストラみたいになってたりしてほしい。〟というのは私もよく思いました。直線的な小説の書き方では表現できないジレンマから、注釈小説の「棺詰工場のシーラカンス」を書いたのでした。いまも「彼」や「死海文書注解抄」などで同じような手法を使っていますが。
とりしまです。Dempow Torishima 絵と小説をかきます。最新刊は長編『奏で手のヌフレツン』。著書に『皆勤の徒』(英訳版、仏訳版も)『宿借りの星』『オクトローグ』『るん(笑)』、高山羽根子さんと倉田タカシさんとの共著『旅書簡集ゆきあってしあさって』。SFマガジンで「幻視百景」連載中。