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夕食は納豆パスタ風そうめんでしたが、美味しすぎて驚く。

コウモリオーグはもうちょっとなんとかならなかったのかな…。

大濱普美子『猫の木のある庭』(河出文庫)いやー…すばらしかったです。古い家、異国のアパートメント、銭湯とその二階の部屋、アトリエのある家、など細密画のごとく丹念に描かれる空間性と、人とのさりげないやり取りの積み重ねから立ち現れる幻想――

「フラオ・ローゼンバウムの靴」のふくふくと増していく肉の描写、「浴室稀譚」の部屋とつながる銭湯の構造や人気のない湯船、「たけこのぞう」の気風よく潔い画家の母親、など書ききれないほど印象に残る。独特な比喩の数々も楽しく、付箋がすごいことに。

あ、「こんなに映画館でどきどき――」は、上映直前の話です。

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上映中、隣のひとがスマホを取り出し猛烈に打ちはじめ、いっこうにやめてくれないのでとうとう「眩しいんですけど」と言ってしまった。やめてくれたが、まだ打ちたかったのか、しばらくして外に出ていってまた帰ってきた。

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『君たちはどう生きるか』を見に行く。隣の人が「こんなに映画館でどきどきするの久しぶり」と話していて、たしかにそうだなぁと。見終わっていろんな気持ちを抱え、帰宅するなり打ち合わせだったので感想を言い合えた。

ゲラがひとつ終わったので、百々似でディスプレイを拭いています。

〝海水は非常に澄み、水底はせわしなく動き……闘い、喰い、生殖する動物たちの姿を見せて、珍奇であった。蟹たちは海藻の葉から葉へと突進した。ひとでたちは鳥貝や笠貝の上に坐り、無数の吸盤を付着させ、緩慢なしんずべからざる力でそららのえものを持ち上げ、ついにはそれらを岩から引きはがす。すると胃が自ら外へ出てきて、そのえさを包み込んでしもうのであった。橙色で、斑があり、堀溝のある裸鰓類は、スペインの踊り子の衣装よろしく、そのスカートをひらひらさせながら、優雅に岩の上を滑っていった。黒い海うなぎは岩の割れ目から頭を出して、えものを待ち受けていた。ぴょんぴょん小エビは音高く爪の引き金を引いた。愛すべき色彩にみちたこの世界は、外から見ると、ガラス越しに見てる感じだった。やどかりたちは興奮した子供みたいに底の砂を駆けた。その一匹が自分の殻から這い出し、一瞬その柔らかい身体を敵に暴露したのち、新しき、よりよき殻に飛び込む。〟

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スタインベックの『缶詰横丁』、むちゃくちゃ好きなんですが、復刊しないかな。標本作りの先生、一癖も二癖もある横丁の住人たち、海辺の生態系――を描く筆致がすばらしい。

〝少年と犬が谷間からもがき登ってくる姿にひきつけられた。少年は肝臓を持ち、犬は先端に胃がぶらさがっている長々しい腸をひきずっていた。
 この時分の少年たちは礼儀正しかった。「おはようございます、おじさん」
「肝臓持ってどこへ行くのかね?」〟

スタレヴィッチのような気がしていろいろ見てみたが、該当するものはなかった。でもやっぱりすごいなスタレヴィッチ。空気の圧が感じられるモーションブラー。
youtube.com/watch?v=uOLEVnGy3e

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ニナ・ハーゲン・バンドのこのミュージックビデオに使われているストップモーションアニメがすごくいいのだけど、調べてもなんの映画なのかわからない。
youtube.com/watch?v=CFgsDWlRfh

石黒亜矢子さんの絵の一筆箋すてきだな…。

小田雅久仁さんの新刊『禍』(新潮社)をお送りいただきました。装丁にも禍々しさが凝集している……。すさまじい短編集です。
QT: fedibird.com/@dempow/110364815
[参照]

酉島伝法  
小田雅久仁さんの『禍』(新潮社)、一足早くプルーフで読ませていただいたのですが、むちゃくちゃ面白かった。とんでもない奇想の数々に呑まれてどこまでいくんだと気が遠くなりつつ読むのが止まらない作品集。7月12日頃発売だそうです。 冒頭の「食書」は、本の頁を食べるなりその内容を現実として体感する話で...

川野さんの〝文章はもっと途中で分岐したり並走したり合流したりオーケストラみたいになってたりしてほしい。〟というのは私もよく思いました。直線的な小説の書き方では表現できないジレンマから、注釈小説の「棺詰工場のシーラカンス」を書いたのでした。いまも「彼」や「死海文書注解抄」などで同じような手法を使っていますが。

ケアリーさんとは互いに絵を描いて送り合ったことがあるのですが、『皆勤の徒』の社長を描いてくれて感激しました。もう一枚は『肺都』の挿絵。

私の好きな作家や俳優や生き物がたくさん描かれているのも嬉しい。ピーター・ローレ、ブルーノ・シュルツ、マーヴィン・ピーク、ボフミル・フラバル、ペソア、ゼーバルト、エミリ・ディキンソン――ジョージ・フロイド、ローザ・パークスたちも印象に残る。
マイク・ペンスの顔にとまった蝿…!

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まとめて見るとただただ圧倒されますね。エッセイではコロナ下の体験や思索が綴られているのですが、干潮時のテムズ川の泥からさまざまな時代の遺物を掘り返したり、ティータオルが顔そのものの皺をまとったり、とまさにケアリーさんという内容ですばらしいです。

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