小田雅久仁さんの『禍』(新潮社)、一足早くプルーフで読ませていただいたのですが、むちゃくちゃ面白かった。とんでもない奇想の数々に呑まれてどこまでいくんだと気が遠くなりつつ読むのが止まらない作品集。7月12日頃発売だそうです。
冒頭の「食書」は、本の頁を食べるなりその内容を現実として体感する話ですが、どの短篇も正に食書のように体感されて、怖気と笑いに掻き回される。
特に好きだったのは、「耳もぐり」「柔らかなところへ帰る」「農場」
KCI(京都服飾文化研究財団)の広報誌『服をめぐる』22号に、「つれあい」という掌編小説を寄稿しています。これはKCIの収蔵品から一品を選び、実際に見せていただいてから書く、という企画で、わたしは鳥の剥製をつけた20世紀初頭の帽子を選びました。楽しかった…。
『SFマガジン6月号』は、話題の〈藤子・F・不二雄のSF短編〉特集。約110作のSF短編コミック総解説企画では「影男」「山寺グラフィティ」の二作を担当しました。「ヒョンヒョロ」や佐藤大☓辻村深月対談も読めますよ。グレッグ・ベア追悼企画もあります。
第43回となる「幻視百景」は、一生追われ続ける話です。
ティリー・ウォルデン著 三辺律子訳『アー・ユー・リスニング』(トゥーヴァージンズ)、家出中の少女ビーと、母を亡くした自動車修理工のルーという、つらい過去を抱えたふたりが出会い、車で旅をするロード・グラフィックノベル。豊かで絶妙な色彩と、絵が動いているような筆致が気持ちいい。猫を拾ったあたりからの不穏な幻想展開に驚く。20日頃発売。
とりしまです。Dempow Torishima 絵と小説をかきます。最新刊は長編『奏で手のヌフレツン』。著書に『皆勤の徒』(英訳版、仏訳版も)『宿借りの星』『オクトローグ』『るん(笑)』、高山羽根子さんと倉田タカシさんとの共著『旅書簡集ゆきあってしあさって』。SFマガジンで「幻視百景」連載中。