参考文献リストです。主として以下の6冊を参考にしました。本当は人狼関係の本も揃えていたのですが、結局狼についてだけしか読めませんでした。
クロード=カトリーヌ・ラガッシュ、ジル・ラガッシュ『狼と西洋文明』高橋正男訳、八坂書房、1989年
ジル・ラガッシュ『オオカミと神話・伝承』高橋正男訳、大修館書店、1992年
ダニエル・ベルナール『狼と人間―ヨーロッパ文化の深層』高橋正男訳、平凡社、1991年
ミシェル・パストゥロー『図説 ヨーロッパから見た狼の文化史:古代神話、伝説、図像、寓話』蔵持不三也訳、原書房、2019年
ブレット・ウォーカー『絶滅した日本のオオカミ その歴史と生態学』浜健二訳、北海道大学出版会、2009年
西村三郎『毛皮と人間の歴史』紀伊國屋書店、2003年
QT: https://fedibird.com/@abe_dragonslay/112915078919200226 [参照]
阿部登龍 狼を装う 読了。
前作「龍と〜」でも姉妹間の確執が描かれていたが、今作での昔の恋人同士や母娘間で起こる愛憎相半ばする感情描写の巧さでこれが筆者の強みだと再認識した。こういう感情は誰しもが親兄弟友人恋人に抱くであろう普遍的なもので、そこへの導線がしっかりしているので登場人物たちへするりと感情移入できる。感情のアップダウンは物語のアップダウンにも通じ、続く展開へのバネとしての役割も兼ねており、高い構成力を感じられた。衣狼(ウェアウルフ)やトルソーなどの言葉遊び、言葉選びも実に洒落が効いている。タームがお洒落なのが一番格好いいんだから。今回個人的に印象に残ったのはおとぎ話を比喩的に使っていたところで、真の寓意にはお約束をお約束っぽく感じさせずにお約束させる“力”があるなと思った(どこかでパクりますね)。昼と夜の二重生活、獣のスーツということでなんとなく変身ヒーローもののような読み口を感じていたが、前述の寓意力からジキルとハイドが根底にあるかなと推察、ところがスーツの暴走からの……でやっぱりヒーローものの息吹を感じながらの読了となった。筆者の想定とは異なる読み口かもしれないが、“畳まれる”べきものがきちんときれいに“畳まれた”まとまりある良質な物語であると思った。
おれは動物が好きなので獣医師になり、人間が好きなので作家になったわけですけど、みなさんは何が好きなんですか?
個人的な実感では、「ひたすら直線を引いたり真円を描いたりする単純トレーニング」は、文舵の課題よりもさらに手前にあると思うので(※)、じゃあ何があるかな、と考えていました。
まず、上記のトレーニングについて考えてみると、これらは、実作において線を引くときに、各々の線を意識せずとも正確な線を引けるようになるためのトレーニングなのではないか、と思いました。絵を描くことに注力できるように、線それ自体はある程度無意識に引けるといいですよね。
だとすると、小説で言えば好きな文章/上手いと思う文章の「書き写し」あたりが相当するのではないかと思いました。もっと言えば写さなくても、くり返し読んだり、音読したり、暗記したりでもよい。
他にも、写真や動画、イラストを文章で描写してみる、なども検討してみました。が、これは単純トレーニングというにはなかなか高度で、これを単純トレーニングと呼べるようなら、既にかなりの功夫を積んでいる方ではないかと思います。まして文舵をそう思えるのは達人の域なのではないかと。
※文舵課題は合評会を行うか行わないかで全く質が変わるので、ひとりで課題をやってみるというだけであれば、究極的には、高難易度の三題噺みたいなものであるとは言えるかもしれません。
https://x.com/korumono/status/1825034548322636253
創作講座、おれと大戸さんでやらないんスか〜と言っていた覚えがあるが、やるんだ!(全然気づいていなかった)定員15名のフィードバックありはガチガチのやつだ
https://www.filmart.co.jp/pickup/32558/
作家(阿部登龍)。第14回創元SF短編賞受賞作「竜と沈黙する銀河」(紙魚の手帖vol.12)、「狼を装う」(同vol.18)。SFとファンタジーと百合とドラゴンとメギド72が好き。
お仕事のご依頼は東京創元社までどうぞ。
通販 http://abe-dragonslay.booth.pm