今、柴田さんと川野さんの対談をチラ見しましたけれど…最近下がり気味だった諸々のモチベーションが甦ってまいりました。私は自分の言語能力への不信が根底にあって、それが逆説的に私を言葉へと導くのですけれど、それでは私は「言葉」というものの何を信じているかというと、たぶん意味とか文法とかリズムとかを引っ括めた総体としての言葉の動きを信じているから、それに惹かれてしまう。そのことに、文學界2023年11月号44頁を5秒眺めて、改めて気づいてしまいました(基本的に面倒臭がりで、直観的にざっくり判断しがちなので…)。
これでまた、言葉で何かが出来るな…!と思ったことは間違いがないのですが、どんなことになるやら、私にも分かりません。それは言葉に聞いてみなければ…。今できることは、この対談をちゃんと読むことだけ。
こちらでこっそり書いておきますけれど、柴田聡子さんとは13年前の今頃知り合いました。美大生の卒業展が住宅街のどまんなかで開かれていて、そこに行ったらたまたま柴田さんが歌っていて、それで話しかけてしまったので。何度となくライブに参りましたけれど、その中で印象的だった言葉があって、私が「歌詞がとてもシンプルだね」みたいなことを言ったら、「だって、こねくりまわしても、嘘にしかならないから」と返事がありました。あれは青山のspiralの地下での会話でしたっけ。凌霄花の蔦のようにグネグネまがる言葉の使い手としての私には、とても新鮮にその感覚を受け止めました。私の芝居を見に来てくれたこともあったくらいの付き合いだったけれど、いつの間にか会わなくなって、でも暫くしてから新聞や雑誌で柴田さんのお顔を見たりするたびに、ああ元気でやっているんだなと、ネットで見ればいつでも見られるのに、なぜか紙媒体でしか柴田さんを見ないようにして、だから私の中で柴田さんは紙媒体の歌い手なのでした。歌い手というか、本当にちゃんと表現をする人なので、「歌い手」というフレームの外にある人ですけれどね。尊敬しています。
そういう人と、川野芽生さんの対談がもうすぐ紙媒体で読めるというので、私はとても楽しみなのです。
君がいじめられるのはね、魅力的だからさ。彼らは狭い世界に閉じられているから、そこから遁れられている君が羨ましいんだ。でも、どうやってそれを手に入れたらよいか分からないから、君をいじめてる。愚かだよね。そんなことをしても、何も手に入らないのに。むしろ、自由から遠ざかっていくばかりだ。彼らにも君と同じ翼があって、でもそのことに気づかないまま、つまらない世界の片棒を担いでいつまでも飛べないでいる……。君は今、孤独を感じているかもしれないけれど、いつか分かるよ、君にも仲間がいるってことが。街で、それこそプラタナスのざわめく並木道を歩いていて、君は数人の人とすれ違う。その内のつまらなそうにして、でも口笛を吹いている一人と目が合う。そして、そのまま別れ別れになるけれど、気づくんだ、そいつが君の仲間だって。孤独なのはむしろ、そのことが分からないで、君をいじめている奴らなのさ……。
命を削るように創作をすること自体は苦ではない。けれど、「命を削らなければならない」という強制力が働いている場が本当に嫌で、各々は自らを放つように身を削り火の粉を発していたとしても、創作の「場」は誰しもが息のすることのできる場所であってほしい。かつて息の通り道を塞がれながら、ある団体を去ったことがあったけど、あのときほど辛いことはなかった。理不尽とどう戦っていくか、について、結局じぶんが権力を持って理不尽を撲滅していくというアクロバティックな方法しか思いつかない。しかも、じぶんが死んだあとに、理不尽が再び飛び出さないような仕掛けをしなければ……と思うと、もう私一人では決して出来ない仕事の規模感ですよね……
私は自分の精神状態の読み取りが割合精確にできるタイプなので、精神科に行ったときも「あなたは大丈夫」と言われて、心の中でexactlyと思ったものです。それでも、心の負担がないかというと、人から非常に多くのものを受け取ってしまう癖があるので、日常的に「重い」です。そして、その「重い」ことの解決を先延ばしにするツケが、いつかやってくる。でも、それでいい。
一本の「考える木」としての私は、その樹皮一枚を剥ぎ取れば、川が脈々と流れていて、むしろその川の流れこそがわたしの本体であり、それゆえ世界に翻弄されて心が流離するものと思います。よくもまあ、こんな「生」を暮らしていけるものよ。あななやましの肉体の鞘。私はわたしの創作者向きの性格が、一方では愛おしいのです。氾濫するわたしを止めるのは、その行為のみ。
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オイスターとともに炒められる歌人。