こちらでこっそり書いておきますけれど、柴田聡子さんとは13年前の今頃知り合いました。美大生の卒業展が住宅街のどまんなかで開かれていて、そこに行ったらたまたま柴田さんが歌っていて、それで話しかけてしまったので。何度となくライブに参りましたけれど、その中で印象的だった言葉があって、私が「歌詞がとてもシンプルだね」みたいなことを言ったら、「だって、こねくりまわしても、嘘にしかならないから」と返事がありました。あれは青山のspiralの地下での会話でしたっけ。凌霄花の蔦のようにグネグネまがる言葉の使い手としての私には、とても新鮮にその感覚を受け止めました。私の芝居を見に来てくれたこともあったくらいの付き合いだったけれど、いつの間にか会わなくなって、でも暫くしてから新聞や雑誌で柴田さんのお顔を見たりするたびに、ああ元気でやっているんだなと、ネットで見ればいつでも見られるのに、なぜか紙媒体でしか柴田さんを見ないようにして、だから私の中で柴田さんは紙媒体の歌い手なのでした。歌い手というか、本当にちゃんと表現をする人なので、「歌い手」というフレームの外にある人ですけれどね。尊敬しています。
そういう人と、川野芽生さんの対談がもうすぐ紙媒体で読めるというので、私はとても楽しみなのです。