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ナイジェリアの作家Pemi Agudaの、2023年のО・ヘンリー賞を受賞した“Hollow”を読む。「憑かれた家」モチーフということではゴシック小説の王道を行っていて、著者の作品の中ではジャンル小説寄りか。ゴシック小説のアンソロジーピースになりうるのではないかというくらい質が高い。現時点では一作も期待を裏切られない。

「サイエンス・フィクションは、ぼくにとってマイノリティの声だ。その声を聴く者もまた、マイノリティだ。マイノリティの、マイノリティによる、マイノリティのた めの文学。そこにこそ、サイエンス・フィクションを読む悦びが生まれる。親の因果か、星のめぐりあわせか、ぬらりひょんのいたずらか、ぼくは、何をどうころんでも、多数派には属せぬからだ。多数派にまぎれこんだとわかったとたん、窮屈にな る。身動きがとれなくなる。息ができなくなる。もがき、あえいで、なんとかして水面から顔を出そうと試みる。
(略) サイエンス・フィクションも『スター・ウォーズ』この方、売上ではメジャーだが、本質的にはマイノリティの声である。サイエンス・フィクションは日常感覚が構築する世界ないし世間に異議を唱えるからだ。その世界ないし世間の「外」に場を設定するからだ。
 サイエンス・フィクションのこの性格はサイエンスから生じている。サイエンスはわからないことをわかろうと活動する。サイエンスは未知と既知の境界の上で綱渡りをしている。その綱渡りにたずさわる人びとは未知を前にするとわくわくする。そういう人はマイノリティだ。」(大島豊)

辻真先『アリスの国の殺人』の簡体字版、《爱丽丝梦境事件》(木海訳、2025年1月刊)翻訳のお手伝いをほんの少しだけいたしました。訳文はいっさい作っておらず、単純に日本語母語話者の視点からの助言です。木海さんが訳者あとがきに私の名前を入れてくださっています!「自由撰稿人」は中国語のフリーライターにあたる語です。

大阪にある海外コミックスのブックカフェ、書肆喫茶moriさんが刊行されている海外マンガ情報誌『漫海』Vol.4(編集は書肆喫茶moriさん&げそにんちゃんさん)に書評を寄稿しました。刊行は先月です。台湾のアーティスト、A ee miのジェンダーSF『Platonic Love』(Paradice System、2023※繁体字からの英訳)について、鈴木賢『台湾同性婚法の誕生 アジアLGBTQ+燈台への歴程』(日本評論社)などと絡めた文章を寄稿しています。『Platonic Love』英語版はブックギャラリーポポタムさんの通販などで購入できます。いまこの時代に、多くの人に読まれてほしい秀作です。
popotame.com/items/64422eb5029

700ページ超の「新版 韓国 朝鮮を知る事典」(平凡社)を読んでいますが滅茶苦茶面白い…!「夫婦別姓」(ちくま新書)で知った本貫のことも書いてあるし、オンドゥルは暖かいほうが日本でいうところの上座(韓国語では下座)とか目からウロコ。

【たまのグチ】十数年ぶりに(基本的に文字のみの)PowerPointの資料を(組織が用意したものでなく)一から自分で作ろうとしているが、三冊とか本を買い込んでもまったく自分がイメージしているものを作れない。びっくりするくらい初歩的な操作もわかっていない……。お金払ってウェブサービス(ココナラあたりか?)などで教えてくれる人を探そうとしていますが、ちょっぴり途方に暮れ中。

「アジアミステリリーグ」のSF版みたいなサイトってないのかな…。

渡邊利道さんが橋本真理の『螺旋と沈黙』(大和書房)の話題をされていてびっくり。渡邉一考さんの文章を通して知った書き手で、批評集という性格上通読はしていませんが、自分の人生で出会った書物のなかで別格の言語の力を感じる一冊です。ある角度からすれば、山尾悠子やブランショより凄絶だと思う。詩集の『幽明婚』(深夜叢書社)も自分の墓場に入れてほしいくらい愛しています。

アイヌ文化紹介Youtuberの関根摩耶へのインタビューより。
forbesjapan.com/articles/detai

「例えば、子どもが水をこぼした時、日本語では単に叱ったり、「あらあら」と思うだけでしょうが、アイヌ語だと「そこに水が飲みたい神様がいたんだね」と表現するんです。あらゆる事象を人間ではなく神の意思だと考える価値観が表れています。

狩猟にしても、日本語では「動物を矢で射る」と表現しますが、アイヌ語では「正しい人間には動物側から矢に当たる」と表現します。アイヌの考え方では、神と人間は対等かつ取引関係にあると考えられています。神は神の世界では人間と同じ姿をしていて、人間界に来るときに毛皮などのお土産を持ってやってくる。そして正しい人間のもとに(矢に当たる)ことで行き、そこで盛大にもてなされて人間からもらったプレゼントをもって神の世界に帰る。というような物々交換と考えられています。」

【告知】「SNSなどで参加!ハッシュタグ企画「私の大好きなルビ」チャレンジ」の募集を開始しました。期間は2024年12月22日(日)まで 。奮ってご応募ください(詳細はリンクを参照)。
note.com/jem_site/n/ncccd6e9bf

自分も「冷凍できますよ~!」と送ろうとしていました。ラップにぴっちり包んでからジップロックに入れるとか、少し工夫すると風味が落ちづらいはずです。

昏れゆく市街(まち)に鷹を放たば紅玉の夜の果てまで水脈(みを)たちのぼれ――山尾悠子『角砂糖の日』

誰かいっしょにクリスティン・ブルック=ローズを読みましょう!由良君美がアンソロジーに採って、若島正、巽孝之、西崎憲といった面々が好意的に言及しているイギリスの作家です。長篇だと自分が挫折しそうなので、短篇から行く予定。

突然すみません。草野さんと同じ大学、つまりK大学SF研のOBです。共通の知人が何人かいるかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします…。

今回、寄稿者とべつに取材した方まで含めれば、1935年生まれの方から2000年代生まれの方までと異なる世代の方の協力を賜りました(取材をした、1935年生まれの舘野晳さんが最初に韓国を訪れたのは1968年だそうです)。「雑誌」というからには国境なども気にせず、なるべく色々な方を巻き込むほうが面白い予感がしています。

今回の雑誌で、韓国における日本文学の受容について書いた記事があるのですが、韓国における世界文学全集の状況について言及している箇所があります。そうしたら、ある寄稿者の方が、浅羽通明氏が自身のニューズレター「流行紙」で韓国における世界文学全集について書いた文章の存在(90年代前半、特集「コスモスとしての世界文学全集」)を教えてくれました。まだ発売すらしていないのに、「そういうトピックに関心があるならこの記事(本)は有用かもしれません」といろんな方が教えてくれるのは僥倖というほかありません。

不定期にしかチェックしていませんが、読売新聞の書評、仏文学者の郷原佳以さんの分が楽しみ。シャルル・フーリエ読まねば!

池澤春菜さんの文章、今まで『サンリオSF文庫全解説』の『時は準宝石の螺旋のように』の紹介くらいしか集中して読んだことがなかったのですが、「東京人」に連載されている「東京異国ごはん巡り」は面白いです。11月号はイスラエル生まれのパレスチナ人のオーナーによるアラブ・パレスチナ料理「アルミーナ」のお店の紹介。社会情勢への言及があって、パレスチナ人は東京に12人、日本全体でも82人のみといった(わたしの知らなかった)統計的情報が盛り込まれています。12月号はロシア・ジョージア料理の「カフェロシア」。この記事も歴史的な視点からの記述を含んでいます。どの回も写真がいいですね。

菊地成孔氏、年齢で単純計算すると19歳(前後)のときにリアルタイムで『エロチック街道』読んでいるんですよね。羨ましい。

お待たせいたしました、創刊号の詳細な内容紹介をnoteにアップしました!ぜひ多くの方に手を取ってもらいたいです。
note.com/jem_site/n/nf77b1c528

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