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ある場所に載せて反応がほぼ皆無だった英語の拙文、媒体を変えてポストしたらポーランド、エストニア、アメリカのプロの日本文学・文化翻訳家から反応をもらってしまいました。そういうものか…。

The Best Short Stories 2022: The O. Henry Prize Winnersから、Pemi Aguda “Breastmilk”を読みました。これと、ケイト・ウィルヘルム『杜松の時』は、たとえどんなに字数が短くても、今月かならず感想を書きます。

ひさしぶりにナイジェリアの女性作家、Pemi Agudaを読み中。アフリカSFの年間傑作選に作品が採られながら、国際文芸誌GRANTAにも登場するような新鋭。そのうち字数を費やして紹介したいなあ。

世界文学とか海外文学というとなにやら難しそうなイメージをもつ方もおられるかもしれないけど、ムロージェックの短編とか、サーデグ・ヘダーヤトの「幕屋の人形」とか、もう呆然とするくらいの可笑しい話だったりする。「幕屋の人形」なんて「ええ、な、なんだこれは!イランにも江戸川乱歩とかの近代文学作家とそっくりの発想をするような作家がいるのか!」とはじめて読んだときにさけんでしまったくらい。この作品は、国文学好きの方の感想をきいてみたいです。

「英語圏では全集がないが、日本では出版されている書き手」というのもどのくらいいるのかな。多和田葉子の『エクソフォニー』では「英語のクライスト全集などというものは存在しない」とありますね(ただし、恥ずかしながらこの作家についてはわたしは未読)。

『エリアーデ幻想小説全集1』の沼野充義解説では、著者の幻想小説がこれだけの規模で集成されたものは「私の知る限り、世界でも類例がない」という記述がみられます。

前々から気になっていること。「日本でだけ全集が出版されている書き手」ってどのくらいいるんでしょう。青土社のアンリ・ミショー全集の内容見本(パンフレット)には世界で唯一の全集、本国フランスでも刊行されていないって記されているんですね。もちろん、出版当時の状況なので、その後どこかの国で出た可能性はありますが。

ウィルヘルム、未訳の作品でオススメがあれば教えていただきたいです。韓国における評判をちょっと見ていたら、中篇の領域で抜群の才能を発揮した、と紹介しているサイトが。中村融さんの「SFスキャナー・ダークリー」でも好意的に言及されている中篇がいくつもある気がします。

ケイト・ウィルヘルム『杜松の時』読了。サイト「翻訳作品集成」の作家の項に一言、「『杜松の時』の衝撃感は忘れられない」とあるけど、これからの人生で幾度となく反芻する長編になりそうだ。

air-tale.hateblo.jp/entry/2023

ブログ更新しました。スワヴォミール・ムロージェク「漫画」(未訳)のレビューです。

神保町のナウカというロシア語専門書店でかつてアレクサンドル・グリーンの研究書を買ったら、末尾のほうで「日本では沼野充義という作家が普及に大きく貢献してきました(知人のロシア人による要約)」と書いてあって胸が熱くなったことがあります。

天沢退二郎も推しているマンディアルグ『汚れた歳月』がエディション・イレーヌから刊行。表題作ほかマンディアルグの詩は「思潮」あたりで読んだ記憶あり。レイナルド・アレナスに若き日の今福龍太が「暴力的なまでに美しい」と形容している詩集があって読みたいんだけど、小説家の詩というのも見過ごされやすい分野な気がする。

(続き)「文藝」の文芸時評で山本貴光がこの本に触れたときにデッキの比喩についても言及していたのだけど、この比喩に反応した方と「TCGって何?」と思う方ではあの章の受け取り方がわずかながら変わる気がする。きょうは詳しく書けないのが残念だけど、「バイアスを意識できるからこそ距離を置く」、そこから生まれる豊穣さは期待できる気がしています。

そのうち深めたいトピック。文学研究に画期的なパラダイムシフトをもたらしうる一冊と個人的ににらんでいる秋草俊一郎『世界文学はつくられる』。すごく驚いたのが、文学全集をトレーディングカードゲームのデッキにたとえている箇所で、本当はこの喩えって本の構成としてはなくてもいいはずなんだけど、長く考えるための材料となっている。著者は79年生まれで、このくらい知的な人がどういう風にサブカルチャーに身を浸していたのかもなぜか気にかかってしまう。

ユリイカ「現代語の世界」の中の、暮田真名「川柳のように」を読んで湧いた疑問。この原稿内では兵頭全郎、なかはられいこらの相当に幻惑的な作品が紹介されているのですが、「方法意識の高い川柳」と前衛俳句って質的な境界線は引けるのでしょうか。前衛俳句といっても、自分が読んだのは永田耕衣『耕衣百句』、加藤郁乎『球體感覚』、安井浩司などひどく限られているのですが…。

なんとなく湧いてきた、奇想短篇小説のフェイバリット。あくまで今日の気分なので、一日経つとすべて入れ替わったりします。

ロバート・クーヴァー「ラッキー・ピエール」
アウグスト・モンテロッソ「ミスター・テイラー」
ヴォルテール「ミクロメガス」
レーモン・ルーセル「黒人たちの間で」
パウル・シェーアバルト「セルバンテス」
イタロ・カルヴィーノ「王は聴く」(未訳)
フラン・オブライエン「機関車になった男」
エリック・マコーマック「刈り跡」
イアン・ワトスン「絶壁に暮らす人々」
中井紀夫「山の上の交響楽」
藤枝静男「田紳有楽」

水鏡子がその刊行年のベスト1(!)に挙げている、ケイト・ウィルヘルムのとある長編を読み中(『鳥の歌いまは絶え』ではありません)。20ページ読み進めるごとに、もう一度1ページ目から読み直したくなる。

air-tale.hateblo.jp/entry/2023
ブログ更新しました。『ヴァリス』の装画でも知られる藤野一友には、天使をモチーフとする小説がある?といううわさについて。

小説〈不完全〉方位/〈彼方〉へ向かっていく小説の傑作…ジュリアン・グラック「街道」/〈彼方〉から到来する感覚の傑作…J・G・バラード「時間の庭」/〈落ちていく〉傑作…ミルハウザー「アリスは、落ちながら」、ブッツァーティ「落ちる娘」/垂直方向に射出される感覚の傑作…未定

今月、生まれてはじめてメールマガジンの形式で個人誌を作ってみたものの、人見知り過ぎて8人にしかお送りしていない。分量もかなりあるし、読まれたくて作っているはずなのに、自分の性格が自分でも不可思議……。

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