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「『男は仕事、女は家事』という近代家族の規範に沿った家族を形成したくても、それが不可能な人が増えるという現実が出現する。…
 近代家族規範が予定する生活を、経済的に形成・維持できない人々が大量に出現する。これが、社会の構造転換が家族に与える影響の1つの帰結である」656頁

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「家族の消滅論…ベックは、家族をゾンビ・カテゴリーと呼び…ギデンズは貝殻制度…と呼んだ」655頁

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「1970〜80年代日本社会は、『近代家族』の頂点にあったといえよう。(近代化で先行した北西ヨーロッパ、アメリカ社会は、1920〜60年代が近代家族の時代と言うことができる。落合が述べるように、日本の近代家族の時期は『圧縮』されているので、時期は短いにしても、欧米諸国と同等の近代家族が形成されたと考えられる」652頁

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「近代社会の形成とともに欧米で広まったカ家族のあり方を日本では『近代家族』と呼んでいる(欧米ではこちらを『伝統家族』と呼ぶ)。…
 性別役割分業を近代家族の不可欠の特徴とするかは議論の余地がある。…
 …筆者[山田]は、扶養やケアといった生活上の責任と愛情や生き甲斐といった親密性の供給が結合しているところに近代家族の最大の特徴があると判断している(この結合はパーソンズの家族論の中に滑り込んでいたものである」651頁

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「国家と家族が、人々の生活(心理的、経済的)にとって特権的な存在になった…近代社会は、人々が1つの『国家』と『家族』の一員であり、かつその関係が選択不可能、解消困難であることを前提として、さまざまな社会制度が組み立てられている」650頁

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山田昌弘「日本家族のこれから——社会の構造転換が日本家族に与えたインパクト」649-62頁

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「同棲における関係持続性というテーマは実証研究では定番のものとなっている。アメリカでは、同棲経験者がその後結婚した際の離婚率の高さが研究者の関心を集めた…現在のところはセレクション効果であるという見方が有力である。つまり、自由な関係性への志向性の度合いが同じレベルにある人たちを比べた場合、同棲経験それ自体がその後の結婚の解消を促進する、という証拠はない、ということである。
 …L. バンパスとH.-H. ルーによれば、アメリカでも親が同棲関係にある子どもの割合は増えており、かつそのために子どもにとっては家族関係が不安定化していることが実証されている」580頁

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「経験的な証拠はランダムマッチングの普及を示唆していない。多くの国では学歴同類婚がいまだに広範に見られる…
 …趣味行動と恋愛行動は、いずれも『自然で自発的な選好の結果』であると誤認されやすいが、その実好みが構造化されている可能性が高いという点で共通点がある。
 …実証研究の成果からは、排他的関係性における同類結合が減少しているというはっきりとした証拠は出てきていない。アメリカでは、恋愛関係、同棲、結婚という関係性の移行に沿ってパートナーとの同類性が増していくという『選別仮説(winnowing hypothesis)』が検証されている」578-9頁

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「重要になるのは、純粋な関係性の特性のうち、関係がそれ自体から得られる満足のみに基づいて維持されるということと、関係をもつにあたっての態度・規範が外在的要因から自由になっていくということを区別することである。後者はいわゆる恋愛の自己言及的特性…であり、恋愛についてのよりラディカルな特性である」577-8頁

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「こういった国[アメリカやカナダ]での政策の結果、いずれにしても女性の相対的な所得水準が向上したが、それは女性の経済的自立、ひいては単独世帯化を促したというよりも、むしろカップル形成を後押しした…
 …一般に同棲カップルは婚姻カップルよりも出生力が低い傾向が見られ、同棲の増加は全体の出生力を低下させるように作用するが…それでもシングルの出生力よりも高いのであるから、結果として同棲は婚外子出生力の増加に寄与しているといえる。
 …少なくとも先進諸国の夫婦関係、カップル関係を見てみるかぎり、『シングル化』が目立って進行しているという状況を見出すことは難しい」574頁

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筒井淳也「親密性と夫婦関係のゆくえ」572-87頁

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「辻村[みよ子]によれば、リプロダクティブ・ライツの概念には、『リプロダクションの自己決定権』と、『リプロダクティブ・ヘルスケアへの権利』の2つが含まれる…『リプロダクティブ・ヘルスケアの権利』の意味を強めたリプロダクティブ・ライツを表す語として、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという語が用いられることが多い」569頁

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「『性別分業』のハビトゥスからの離脱を意味するセルフコントロール感の強化は、女性の専業主婦選択を肯定することにも通じる…自分自身が選択しているのであれば、『専業主婦志向であろうが、就業継続であろうが、周りからとやかくと言われるべきことではない』という感覚である。この感覚は、若い世代ではもはや『当たり前』に近いほど、強まっていると思われる」566-7頁

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「ジェンダーとは、たんに性別や性差を意味するのではない。また、たんに『生物学的性差』とは異なる『社会的・文化的性別』を、含意するのでもない。むしろ、『生物学的性別』という性別観を利用することで正当化された社会における女性の位置づけ(主流社会科学における女性の位置づけも含む)を批判的に考察する視点を、意味している」565頁

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「フェミニズムの視点に立つならば、『近代家族』の近代性には、大きな疑問が付与されることになる。少なくとも『近代家族』は、家族の最終形態の類型であるどころか、近代社会の基本的価値観が浸透する過程において大きな変動を被らざるをえない類型であると、言いうるだろう」564頁

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「現代フェミニズムの家族に対するもっとも重要な認識は、性別分業の問題以前に、家族を私的領域として他の社会領域から切り離す公私分離規範に対する疑義にこそ求めるべきだとも、言いうるだろう」558頁

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「現代フェミニズムは、女性にとって、(性愛関係を含む)家族生活と職業生活は、そのいずれも手放せないような重要性をもっているということを、共通認識としている。…私生活における家族の重要性を、第1波フェミニズムよりもむしろ強調していると言いうる」557頁

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「リベラル・フェミニズムは、『女性は、家庭生活から解放され社会で活動できるようになるべきだ』と主張したけれども、そこから女性が現実に行ってきた家庭内の仕事(あるいはその一部)をそのあと誰が担っていくべきかについて、主要な主題として論じることはなかった。リベラル・フェミニズムは、私生活に深くは踏み込まなかったのである」555頁

現実には外注(市場化)されて、それも別な女性が担っていくことになり、結果として職域隔離が悪化したわけですね

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「労働者が組合によって守られていたヨーロッパでは、不況は中高年ではなく若い世代を直撃した。この若者の失業が、晩婚化と結婚できない人々の増加につながり、その解決策として共働きによる生計の維持や同棲が選択されたという因果関係も見て取れる」545頁

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