「各々の社会、とくに産業化以降の近代社会では、さまざまな次元での階層化が併存している。しかし一般的にいえば、さまざまな次元は必ずしも整合的ではない。つまり、特定の個人なり集団なりをとったとき、その序列上の地位は次元によってまったくちがうかもしれない。経済力上の有力者が、政治的影響力に乏しく、文化的威信を欠いていたりするかもしれない。しかし、社会システム全体の動きの中に、各種次元での階層化を整合化する働きが含まれている場合も十分ありうるだろう。その場合を、アンソニイ・ギデンスの用語を借りて、階層が『構造化(structurate)』されていると呼ぶことにしよう。構造化には、事実的構造化と評価的構造化の2種類がある。各次元での順序づけが社会システムの働きによって事実として整合化するのが、事実的整合化であり、各次元での優劣が社会的評価として定まっていて、非整合の場合には優位な次元での序列によって順位が定められるのが、評価的整合化である。…ふつう『階級』というのは、事実的構造化の強い場合をさし、『カースト制』はむしろ宗教の力に依存した評価的構造化の例であると思われる」170-1頁
村上泰亮(1984)『新中間大衆の時代』中央公論社
Kelly, K. Dennis and William J. Chambliss. (1966) “Status Consistency and Political Attitudes,” American Sociological Review, Vol.31, No.3, pp.375-82.
「上昇移動、変化への欲望の表現、現状改革主義(activism)そして政治的リベラリズムが、地位の一環しない人々の一部にに関する状況を再構築しようとするそのような試みから生まれる社会的表現であることが示されてきた。政治的極端主義に関して、著者[ラッシュ]は以前の論文で、米国の二大政党制が、現存の政治的枠組の内部での極端主義の表現の制度化されたチャンネルの発達を妨げており、極右の戦闘的で千年至福説的な側面が、米国政治システムにおけるこの要素が晒されている『正当性の危機』を反映していると、論じてきた。本論文では、極右が、『集産主義』により特徴づけられる社会における『個人主義』の現状改革的な政治哲学を与えていることが示唆される。現状改革主義はまた、地位の非一貫性への第一の反応であるように思われる。…地位の非一貫性に苦しむ人たちは、社会的に『引き離されている』にもかかわらず、特に政治的イシューが関わっているところでは、『現状改革的』であるようだ」p.87.
「リプセットとベンディクスは、階級の不一致が集団や個人を極端な見方を受け入れるように仕向けるように思われることを観察した。リプセットは別のところで、5つの全国的な右翼運動(マッカーシズム、プジャード主義、イタリアン・ファシズム、ドイツとオーストリアのナチズム)が主として、都市・農村の自営ミドルクラスにアピールしていると記した。リプセットは、これらの階級の人たちが、より大きなコミニティ内でのその地位と影響力が衰退していて、現代社会の主要なトレンドから切り離されていると感じる傾向があると観察している。この観察は、非結晶化した地位の帰結としての社会的孤立に関する観察と完全に一致している」p.87.
社会学と誤用進化論😅を中心に読書記録をしてをります
(今はストーン『家族・性・結婚の社会史』1977年)
背景写真はボルネオのジャングルで見た野生のメガネザル
https://researchmap.jp/MasatoOnoue/