Rush, Gary B.(1967) “Status Consistency and Right-Wing Extremism,” American Sociological Review, Vol.32, No.1, pp.86-92.

〈Abstract〉
「極右主義が地位の非一貫性へのあり得る政治的反応である、という仮説が検証される。独立変数ーー地位の非一貫性ーーは、回答者の所得・職業・学歴により測定される。極右主義という従属変数は、右翼グループやそのスポークスマンが表現する政治的・経済的・社会的関心に関連する一連の態度アイテムにより測定される。エラボレーションで、これら2変数の関係は強化される。帰無仮説検定ではp=0.06の統計的有意が得られ、非一貫的な地位と政治的極右主義の間に関係があるという結論に至る」p.86.

「リプセットとベンディクスは、階級の不一致が集団や個人を極端な見方を受け入れるように仕向けるように思われることを観察した。リプセットは別のところで、5つの全国的な右翼運動(マッカーシズム、プジャード主義、イタリアン・ファシズム、ドイツとオーストリアのナチズム)が主として、都市・農村の自営ミドルクラスにアピールしていると記した。リプセットは、これらの階級の人たちが、より大きなコミニティ内でのその地位と影響力が衰退していて、現代社会の主要なトレンドから切り離されていると感じる傾向があると観察している。この観察は、非結晶化した地位の帰結としての社会的孤立に関する観察と完全に一致している」p.87.

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「上昇移動、変化への欲望の表現、現状改革主義(activism)そして政治的リベラリズムが、地位の一環しない人々の一部にに関する状況を再構築しようとするそのような試みから生まれる社会的表現であることが示されてきた。政治的極端主義に関して、著者[ラッシュ]は以前の論文で、米国の二大政党制が、現存の政治的枠組の内部での極端主義の表現の制度化されたチャンネルの発達を妨げており、極右の戦闘的で千年至福説的な側面が、米国政治システムにおけるこの要素が晒されている『正当性の危機』を反映していると、論じてきた。本論文では、極右が、『集産主義』により特徴づけられる社会における『個人主義』の現状改革的な政治哲学を与えていることが示唆される。現状改革主義はまた、地位の非一貫性への第一の反応であるように思われる。…地位の非一貫性に苦しむ人たちは、社会的に『引き離されている』にもかかわらず、特に政治的イシューが関わっているところでは、『現状改革的』であるようだ」p.87.

「この要約に照らせば本研究の想定は、極右主義が、地位の非一貫性から生ずるフラストレーションに対して、単純で高度に構造化された解決を与える政治的表現の一形態であり、そして、地位の非一貫性に苦しむ人は、地位が結晶化している人よりも、この政治イデオロギーを維持しそうだということである。それゆえ、本研究で検証されるべき基本的な仮説は、以下のようになる。
 <地位の非一貫性により特徴づけられる人たちは、地位の一貫性により特徴づけられる人たちよりも、政治的態度において極右になりそうだ>」pp.87-8.

「これら[8つ]のうちの[(a)と(h)を除く]6つにおいて、2つの一貫集団の間の元々の関係と同じくらいか、あるいはそれより大きい予測された方向でのパーセンテージの差が得られる。符号検定は、それらの結果が0.06水準で有意であることを示す」pp.90-1.

「表2は、低い学歴地位が、職業地位や所得地位のいずれよりも緊密に、極右主義と結びついているかもしれないことを示唆する」p.91.

「低い所得と高い学歴の結果としての地位の非一貫傾向は、極右主義の非常に不釣り合いな発生を招かないように思われる。この発見は、レンスキやジャクソンが行なった地位の非一貫性研究の知見と比べると意義深い。これらの研究者はともに、<高い>職業や学歴が低い人種−民族地位と結びつくと、地位の一貫しない回答者を『左翼』あるいはリベラルな政治的反応へと仕向けることを発見した。ある条件下では、高い所得と低い学歴が結びつくと右翼的態度を抱かせるかもしれない一方で、低い所得と高い学歴が結びつくと左翼的態度を抱かせるかもしれないのだ」p.91.

「極左主義と極右主義の<類似性>…現代米国社会には極左は事実上存在しないけれども、レンスキのリベラリズムの指標が、穏健で『リベラル』な左翼と、国民の中の極左の痕跡であったものとを区別していなかったことはあり得る。もしそうなら、そしてレンスキのデトロイト・エリアのデータが非常に多くの労働者階級の回答者を含んでいたかもしれないゆえに、レンスキが『リベラリズム』として測定したものの多くが実際には、リプセットの『労働者階級の権威主義』であるのかもしれない」p.92.

「レンスキとジャクソンはともに、<高い>職業ないし学歴が低い人種−民族的地位と結びつくと、地位が一貫しない人たちを『左翼』ないしリベラルな政治的反応へと仕向けることを発見した。本研究は、<低い>学歴地位が、『右翼』の政治的反応へと仕向ける上での際立った要因かもしれないことを示している」p.92.

「学歴は、<不可逆的>な達成地位と見なされるかもしれない。すなわち、学歴を得ることは可能だが、失うことはできないのだ。教育機会が国民のますます多くの部分に利用可能になるとともに、学歴の上昇移動は職業上の移動よりも、社会変動のより重要な指標になるかもしれない。というのも、前者はしばしば、職業上の上昇変化に先行するからである。それゆえ学歴地位の役割は、地位の非一貫性へのあり得る反応を決定する上で重要なものである」p.92.

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