〈Abstract〉
「黒人への態度に関する地位の不一致効果を、ダミー変数の多回帰手続きを通じた地位変数と偏見の関係の付加的モデルを置くことにより、またモデルの予測からの乖離を調べることにより、検証する。地位の不一致仮説によれば、地位の一致しない個人は、付加的回帰モデルで予測されるよりも大きい偏見を示すはずである。2つの問題が考察される。米国の成人白人人口の代表的な全国的標本を用いて、一方は地位変数としての所得と学歴を含み、他方は学歴と配偶者の学歴を含む。双方の問題に対して、付加的モデルの予測は観察されたパターンと緊密に合致しており、地位の不一致それ自体は偏見に何の効果も持たないことを示唆している」p.651.
Treiman, Donald J. (1966) “Status Discrepancy and Prejudice,” American Journal of Sociology, Vol.71, No.6, pp.651-64.
〈Abstract〉
「本論文では、地位の非一貫性が政治的リベラリズムとリンクしているという仮説を検証すべくオーストラリアのデータが用いられる。地位の非一貫性はここでは、2つの異なるやり方で操作的に定義される。すなわち、(1) レンスキのオリジナルな手続きに従ったスコアとして、(2) 地位カテゴリーの特定化された結合として。行動研究にとって地位の非一貫性は、一般化されたスコアよりもむしろ特定の地位カテゴリーの間の交互作用の観点でより良く知覚されるので、代替的な統計モデルの説明力を予測するためにはダミー変数を持つ回帰分析法が用いられる。地位の非一貫性は一般に、投票行動には何ら明白な効果を持たないが、特定のタイプの非一貫性は効果を持つ」p.989.
Broom, Leonard F. and Lancaster Jones.(1970) “Status Consistency and Political Preference: The Australian Case,” American Sociological Review, Vol.35, No.6, pp.989-1001.
「我々の発見を過去の研究と結びつけて、移動および非一貫性効果は、ランク次元の主要効果が厳密にコントロールされる時には常に消滅すると我々は結論する。多次元的な付加的モデルが、今日の米国におけるランク効果を表すには適切に思われる。
これらの結果の最も明白な理論的示唆は、移動と非一貫性それ自身は個人に(ストレスフルに、あるいは他の形で)影響を与えないことだ。このことによりまた、そうした仮説が引き出された仮定のいくつかに疑問が生ずる。例えば、ランク地位が異なると明らかに異なった期待が抱かれる、あるいは、葛藤する期待に従属させられるのは個人にとってストレスフルだといった仮定だ。…
もう1つの可能性は、移動および非一貫性の効果は生ずるものの、ただある条件下やある下位集団でのみ生ずるというものだ。…例えば、移動および非一貫性の効果はたぶん、厳格で目立つ安定的な階級構造においてのみ起きる(Broom & Jones 1970を参照)。米国では移動および非一貫性の率が高いので、様式経験となる。上昇移動のようないくつかの種類のランクの不一致は、価値構造に支えられてもいる。結果としてたぶん、異常に移動するか非一貫的な人のみがストレスを経験する。そうした効果は非常に稀なので、現在の類の研究では突き止められない」p.712.
「移動と非一貫性は概念的には区別された経験であるが(そして大部分の過去の研究はそのどちらか一方を扱ってきた)、いくつかの理由により、両者を同じ全体的な分析で考えるのが適切である。両種類の経験はいずれも、似たような介在メカニズムを通じて個人に影響を与えると考えられてきた。…また移動と非一貫性は、偏見や、社会参加からの撤退のような似た種類の反応を生み出すと考えられてきた。…最後に、両経験は、2つ(ないしそれ以上)の異なるランク位置の所有(継起的にか同時的に所有される)によって必然的に定義される。それゆえ両者は、現職や初職のような初期および後のランクからか、所得や学歴のような別々のランクから構築される。この状況は、根本的な理論的および分析的な問題を作り出す」p.701.
〈Abstract〉
「本研究は、個人の態度と行動に影響を与える際に社会的ランクの諸次元が付加的に結びつくのか、それとも統計的な交互作用が現れるのかを決定しようとするものだ。もし後者であれば、垂直的移動ないし地位の非一貫性効果を支持するであろう。規模がだいたい同じインディアナ州とアリゾナ州のそれぞれ3つのコミュニティにおいて、男性の世帯主にインタビューした。2つの形の移動(キャリア移動と世代間移動)、および6つの形の非一貫性(達成形態 対 帰属形態を含む)が採用された。43の独立変数が用いられ、その大部分は移動ないし非一貫性の帰結として以前から提唱されていたものだった。関係の大部分は付加的であるように思われた。現れなかった交互作用はいかなる独立ないし従属変数に関しても塊をなして(clustered)おらず、通常は都市によって形が異なり、移動ないし非一貫性理論を基に予想されるパターンには似ていなかった。その発見は、多次元的で付加的なモデルが個人への社会階層の効果を適切に表現することを示唆する」p.701.
Jackson, Elton F. and Richard F. Curtis. (1972) “Effects of Vertical Mobility and Status Inconsistency: A Body of Negative Evidence,” American Sociological Review, Vol.37, No.6, pp. 701-13.
社会学と誤用進化論😅を中心に読書記録をしてをります
(今はストーン『家族・性・結婚の社会史』1977年)
背景写真はボルネオのジャングルで見た野生のメガネザル
https://researchmap.jp/MasatoOnoue/