「19世紀後半以降に子供の数を制限するために避妊を行なうことが驚くほど増加したのは、新しい技術の発展によって彼らにその可能性が与えられたというよりもむしろ、主としてヨーロッパ社会に長いこと知られてきた手段がもっとずっと広い範囲で用いられるようになったということによる」205頁
「産業革命は、ほとんどの人びとのポケットに、はるかにたくさんの貨幣を入れてくれただけでなく、彼らに生活水準の永続的上昇の期待を、したがって、たいていの家族に入手可能な消費財の範囲と質との永続的な改良への期待をも生みだしたのであった。このことは、子供の数が少ないことの有利性に対するはるかにはっきりとした高い評価と子供数の制限方法が広がりうる、ヨリ順応性に富んだ社会的環境との双方を確固たるものにした。この議論はトックヴィルの革命勃発についての古典的分析との間に、ある種の類似性をもっている。父親よりやや富裕であり、さらによくなるという期待に目ざめてきた者は、生活水準が突然に悪くなった場合に、彼らだけがいっそうの進歩の喜びをはっきり認識しているのだから、反逆しがちなのである。同じように、実質所得の増加を経験し、そのもたらす利益を享受したことのある者だけが子供の数を減らすことに伴う有利さに十分敏感で、積極的に子供数を制限しようとするのである…このことは、なぜ最も貧しい者がそれをほとんどやらず、また最後にやるのかということの説明に役だつだろう」206-7頁
「ル・プレは、フランス農民の間にみられた出生率の大減少は、民法典の条項の下では、小土地所有者が子孫に平等に財産権を分けるよう実質的に強制されたために起こったと信じた。彼は農民が彼らの所有地を細分することを嫌って、熱心にその子供を少数にとどめておこうとする気持になったと考えた」206頁