小林康治『四季貧窮』、読了。
こちらは「貧窮」がテーマなのだけれど、僅かに諧謔があり、興味深く読めた。跋で石塚友二が〈小林康治の「貧窮」は、作者のロマンチシズムの衣装かも知れないではないか〉と書いていて、「貧窮」というテーマを古語を使って優雅に描いているところもあると感じた。
月や火の色怒濤の如く雪降り来 小林康治
冬浜や暁かけて網干(あぼ)すなり
大寒やぼんのくぼまで老いにけり
欷歔童子まろびて出でぬ別れ霜
父の死の夜の雪と思ふ肩に頭に
父を焼くいま冬空へうす煙
寒の箸がほとぼる骨をはさみあふ
鼻寒し父の骨壺抱き温め
黴畳踏み立ち得なばまろびけり
木の葉髪念力ゆるみては病むか
十薬やつひにひとりの旅の尿(しと)
貧てふ文字鮟鱇のごと吊るしたし
燕旅の蹠のかなしさよ
オンライン署名しました。
「日本の年金による虐殺と民族浄化への投資をやめさせたい!」 https://chng.it/xqkTYtMsL4 @change_jpより
去年くらいはウイスキーにハマっていたのだけど、私的なブームが去ったんですよね……。
ボトルで買うのはやめて、お店で少しだけ良いものを飲むことにした。
まだ、瓶のウイスキーが残っているので、ハレの日に飲もうと思います……。
源河 亨著『「美味しい」とは何か-食からひもとく美学入門 』(中央公論、2022)は記憶に残るとても良い本だった。味覚は本当に「それぞれ」なのか、という難問に真摯に向き合っている。
なのだけれど、酒についてはちょっと粗く、「酔ったら味なんかわかんねーよ」というところに寄っている。でも、本当は、舌及び身体が酔っていくなかでの時間的な味わいがお酒にはある。「酒が”開いてくる”とはどういうことか」みたいなことがあれば、もっと良かったと思う。酒が”開いてくる”のは、酒そのものが空気接触や加水などによって味が変わることのみならず、飲む人間の酔ってくる身体とも連動しているはず……。
日本のウイスキーで好きなのは『余市』ですね……。
樫谷棚田の新米、美味しすぎるな……。ついつい食べ過ぎちゃう……。
#幻聴と闘う晩御飯
日野草城『人生の午後』再読、読了。
闘病記録だとはわかっていたが、あの才気走って洒脱だった草城の晩年はこうだと思うとつらい気持ち……。
あと、私自身は病に伏したら、こんな風に書けるかというと、多分難しい……。
大寒や半天の碧玲瓏と 日野草城
鼠捕り置きたれば闇いきいきと
一歩出てわが影を得し秋日和
疲れたる紙幣(さつ)を共同募金とす
高熱の鶴青空に漂へり
病体を拭いてもらひぬ柚子湯もて
働いて寒い闇より戻りし子
暮春の書に栞(しおり)す宝くじの殻
夏布団ふわりとかかる骨の上
貧涼しコスモスの葉に月さして
初咳といへばめでたくきこえけり
見えぬ眼の方の眼鏡の玉も拭く
ラヂオ体操の曲にて指を屈伸す
コスモスや妻がやさしく子がやさしく
#読書
文フリは東京も大阪も楽しかったのだけど、もう卒業だな、と。
虹だ!
俳人・岡田一実。俳句とか考えごととか。美味しかった話とか、読んだ本の記録とか、香水(主に量り売り)とか、旅のこととかいろいろ揺らぎつつ。幻聴があり、人生はだいたい徐行。リブ返しはちょっと苦手。体調によっては返せません。
HAIKU,for its own sake. she/they
句集に『境界ーborderー』(2014)、『新装丁版 小鳥』(2015)、『記憶における沼とその他の在処』(2018) 、『光聴』(2021)、『醒睡』(2024)。単著に『篠原梵の百句』(2024)。