岡田一実第5句集『醒睡』読書会、オンラインで期間限定でアーカイブもご覧いただけます!
日時は2025年1月19日(日)14時~17時!
パネリストは相子智恵さん、福田若之さん、堀田季何さん、若林哲哉さん!
参加費は2,000円。
是非、ご参加ください!
お申し込みは下記リンク
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfmdYT6dg9rfq1bo3OdYEbxqkzmFSW2VmyaNekjEsHshZD5Lw/viewform
西村義樹・野矢茂樹著『言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学』(中央公論新社、2013)、読了。
認知言語学者の西村が哲学者の野矢に認知言語学について講義する対談形式の本。
西村の出す用例も豊かだが、野矢の要約力と批判力が極めてシャープ。
白眉は第4回「『死なれた』のか『死なせた』のか――使役構文の家族的類似性」と第5回「『村上春樹を読んでいる』――メトニミーをどう捉えるか」。
「使役」とは「因果」。「太郎が窓を開けた」は「太郎が窓に働きかけて(原因事象)、その結果窓が開く(結果事象)」こと。
「赤(い)」にあたる語はいろいろな言語にあるが、どの言語でも共通にその語で意味される赤さの範囲があり、それを「焦点色」と呼ぶ。「焦点色」は人間に共通している。
ラネカーによると、人間には「参照点能力」が備わっており、「メトニミー(換喩)」はその能力の現れ。「村上春樹を読んでいる」と言う場合は、村上春樹という人物が「参照点」で、彼の作品が「標的(ターゲット)」。などなど、自然言語の不思議さに立ち会える。
とても面白かったです!
#読書
岡田一実第5句集『醒睡』読書会を開催します!
【日時】
2025年1月19日(日)14時~17時
(オンライン・期間限定でアーカイブ視聴可)
【パネリスト】※敬称略・50音順
相子智恵、福田若之、堀田季何、若林哲哉
【参加費】
2000円(一律)
【参加申し込みフォーム】
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfmdYT6dg9rfq1bo3OdYEbxqkzmFSW2VmyaNekjEsHshZD5Lw/viewform
野矢茂樹『言語哲学がはじまる』(岩波書店、2023)、読了。
フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタインの思考を通して「言語とは何か」という根源的な問を巡っていく。
たとえば「ミケは猫だ」とは、どういう意味なのか。
「新たな意味をもった文を無限に作ることができ、容易に理解することができるのはなぜか」
ジョン・ロックの説く「一般概念説」、言葉の意味を心の中の何かに求める考え方はコミュニケーションを不可能にする。
フレーゲ的枠組では、「文脈原理」と「合成原理」が提唱され、「固有名」、「述語」、文に対しては「指示対象」と「意義」という二つの側面を認める。
ラッセルは「意義」を批判し、「要素主義」を採る。「固有名」は「個体」を指示し、「述語」は「性質」や「関係」を指示する。その指示対象である「個体」「性質」「関係」は世界に存在する。主体はそれらの「個体」「性質」「関係」といった項を判断において関係づけ、「命題」を構成。構成された「命題」が、文の指示対象であり、文の意味。
ウィトゲンシュタインは「世界は事実の総体であり、ものの総体ではない」とラッセルの要素主義を批判。
内容はなかなかハードだが、文体は軽妙だった。描かれている3者の思考は、整理して要約ノートが作れるといいなと思った。
#読書
和泉悠『悪い言語哲学入門』(筑摩書房、2022)読了。
日常に溢れる「悪口」や「悪い言葉」に焦点を当て、それらの言葉が持つ意味や機能を、哲学的な視点から深く掘り下げる。
意味の外在主義においては、ことばの意味――どの語句が何を指示しているか――は公共的で客観的な事実であり、個人がコントロールできる範囲を越えている。よって「差別の意図はなかった」は謝罪になっていない。
「言語使用の第一義的役目は、心のメッセージを相手に伝えることだ」と考えるのは神話的。
権力の序列関係などが発言の評価に決定的な影響を与えるため、広い文脈・背景をしっかり考慮に入れるべき。
著者は「ヘイトスピーチ」に対して、自主的に特定の語彙の使用をやめる、規則として特定の表現を制限するといった制約を、十分に正当化できる場合もあるという。
ユーモアをたっぷり混じえた文体ながら、「意味論」などにも接することのできる本で、学びも多かった。「意味論」はもう少し勉強してみたい。
俳人・岡田一実。俳句とか考えごととか。美味しかった話とか、読んだ本の記録とか、香水(主に量り売り)とか、旅のこととかいろいろ揺らぎつつ。幻聴があり、人生はだいたい徐行。リブ返しはちょっと苦手。体調によっては返せません。
HAIKU,for its own sake. she/they
句集に『境界ーborderー』(2014)、『新装丁版 小鳥』(2015)、『記憶における沼とその他の在処』(2018) 、『光聴』(2021)、『醒睡』(2024)。単著に『篠原梵の百句』(2024)。