榎本冬一郎『鋳造』、苦手だった
榎本冬一郎『鋳造』、読了。
苦手だった……。というか、はっきりと嫌いだった。この世を「憐れむべきもの」だとしか捉えていないところが傲慢だな、と。そして、「社会性俳句」というジャンル全体が胚胎している要素だとも思う……。
以下、嫌いだった句
金卑しみ且つ執着す秋の暮 榎本冬一郎
耕牛や打たれるたびに胴の音
大旱の飽くまで正気の牛百姓
銀河ふりかぶる晩年まで鉄工
冬日没る駅柵孤児が乗り越える
こらへられぬ馬の発汗桐の花
狂院の地面と同じ旱の道
行水へさし湯農婦にも白きところ
寡婦にとぶ雪虫不幸透くごとし