"Shadow Films" by Ben Peek
オーストラリアの作家のノヴェレット(中短編)。
主人公は秘密の仕事で稼いでいる。事前に受け取ったセリフを、映画のエキストラとして撮影されている間にこっそり唱えるのだ。この“影の俳優”業の意義は当人も知らないが、世の中には“影の俳優”に気づく人たちもいた。中にはエイリアンが人間に混じって暮らしている証拠と陰謀論に結びつける動きも。
注意:死や暴力の描写あり。

lightspeedmagazine.com/fiction

パク・サンヨンの『大都会の愛し方』(オ・ヨンア訳)が素晴らしい。
同性愛者の視点で描かれる現代韓国のスナップショット。

これは映像になっても素晴らしいだろうなあ。

大都会の愛し方 (となりの国のものがたり7) amazon.co.jp/dp/4750516732?ref

マーロウ(プリン屋。フィリップ・マーロウがマスコット……)が正月向けに張り子細工のプリンのマトリョーシカを販売するらしい。
しかもマトリョーシカの最深部には干支のドラゴンが鎮座している。
marlowe.co.jp/news/4097/

この作品の翻訳には思いいれがあるので、ここでだけ語らせてください。この仕事を始めてから修練を重ねてきたエンターテインメント翻訳の技法にくわえ、この10年ほどは中国SFの仕事でも新しい経験を積ませていただきました。さらに個人的に読んできた本の影響や、これまでアイデアはあっても試す機会がなかった実験的な翻訳技法など、まさに全部入りでできたのがこの『鋼鉄紅女』の翻訳です。翻訳業のキャリアのなかでいまだからこそ可能でした。その意味では(めざしてきたわけではないので、まったく結果的にですが)、これを訳すために自分の翻訳者人生はあったのかもしれないとさえ思います。

スレッドを表示

本の雑誌増刊『おすすめ文庫王国2024』で、大森望さんによるSF部門ベストテン1位に、シーラン・ジェイ・ジャオ『鋼鉄紅女』を選んでいただきました。また橋本輝幸さんにも順不同ベスト3の1作に挙げていただいています。国内・海外をあわせたなかでの高評価に感謝します。ありがとうございます。

(もしかしたら……2刷できるかも)

国立民族博物館のミュージアムショップで、博物館のゆるキャラをあしらった、かわいいマカロンを買ったんですよ。すっごく安かったから、味は全く期待せず「絶対干からびたような味の、マズいやつに決まってる」と思って、でもすごくかわいいから賞味期限までのインテリアにしよう、と買った(それくらい安かった)。
で、いざ食べてみたらビックリ、すごい美味しかったんですよ。なんでこんな美味しいのにこの値段…と思ったら、やっぱり作業所のものだった。ものすごくモヤりました。こんな値段で売っちゃダメだと心の底から思った。

助成金を社会の空気で取り消してしまったこの件は本当に禍根を残した。ようやく、助成の見送りが違法という結論になったか。
よかったよかった。

映画「宮本から君へ」助成、不祥事で見送りは違法 最高裁

nikkei.com/article/DGXZQOUE143

国立歴史民俗博物館『陰陽師とは何者か?』
「歴博」ロゴのフォントをみると、毎回、郷愁を感じる。雨にも関わらず人出が多く、陰陽師人気は今でも健在であった。
個人的には第3部の「暦とその文化 ~時間の可視化とその意味」に興味があったので、1部・2部の占い祭りから派生した吉凶を判断するための暦の製作に携わった陰陽師と時期を分けて欲しかった。しかし、充実した展示構成ではありました。
ちょっと笑ってしまったのが、和宮と下向し、慶喜の嘆願書を持って奔走した土御門藤子の兄、土御門晴雄が陰陽頭として江戸城に上がった時出された弁当が粗末だったといって怒っていたところ。そりゃそうだろう。その頃、幕府の天文方はバリバリ機能していて、陰陽師の必要性とか感じでないわけだし。それも含めて、人臭くていいなと思う。

この一年続けてきた反インボイスのデモをはじめとする活動は大きな成果を残しました。

まず、インボイス事業者登録を迫る発注主が減りました。昨年は支払調書に登録が強制であるかのような文書を同封してきた出版社もありましたが、現在は免税事業者が引き続き消費税を請求できるという姿勢を明確にする出版社も増えてきましたし、インボイス番号登録フォームからも強制するニュアンスが減っています。

また事業者が勝手に消費税を支払わないと決められないことも周知されるようになりました。佐藤秀峰氏の記事のおかげでもありますが、インボイス反対運動がなければここまで拡散されなかったことでしょう。

また、仕入れ税額控除の減免措置が周知されるようになりました。昨年の時点ではその制度かあるにもかかわらずクライアントに伝えない税理士も多くいましたが(わかる、面倒だもんね)、今は請求側がその存在をクライアントに伝えることも増えています。

一年の活動は大きな実績を残しましたよ。

という、かつてTwitter文学賞だった催しの運営を手伝っています。
発起人・若林踏の元ポストはこちら。
x.com/sanaguti/status/17036835

私は今のままでは正直、皆さんが支援したくなるほどの価値が提供できていないと思っていますし、もっと読書や本にまつわる公共性の高い取り組みを立ち上げていくべきだと思っています。
たとえば新刊情報のキャッチや蓄積、検索とか分析情報の提供などです。
日本はかなり個人の新刊情報や収録作品書誌情報の収集に依存している気がするのですよね。
こういうものがあったらいいなという皆さんの夢や希望、よければお聞かせください。

弁護士ついてるだろうに、どうしてこうなるかな。性犯罪者の名前を無料で広告させてくれ、そのお先棒を被害者のタレントに担がせる。救済費用は広告を出す企業に持たせるって話だよ。

ジャニーズ事務所 1年間報酬受け取らず、タレントに全額支払うと発表…「被害者救済委員会」も設置
bengo4.com/c_18/n_16498/

60年ぶりのストライキは、投資会社への売却に伴う職場の消滅を牽制して行われたんですね。
ストライキは正当な権利です。ぜひ交渉を続けてください。

経営が傾いた百貨店を売ってヨドバシ入れるのの何が悪いという声もありますが、それそこ経営者がなんとかしなければならない話です。従業員が責任を感じる必要はありません。まして代案を出す必要もありません。

仮に売却となっても適切な退職パッケージを獲得できるよう頑張ってください。

asahi.com/articles/ASR8033H7R8

『名作歌舞伎全集』が刊行時各巻に付いていた月報まで完璧に揃った状態で図書館のリサイクル本コーナーに放出されていた。
当時、全二十五巻刊行されていたようだが、リサイクル本として残っていたのは六冊のみ。
心中で快哉をあげながら有り難く全てサルベージする。
図書館によって何かしらの基準があっての廃棄なのだろうけど、正直驚いた。図書館にはもうこういった「あまり借り手がないかもしれないが貴重な本」を抱え続ける余裕がないのかと想像すると暗澹たる思いに囚われる。
が、個人的にはお宝ハンターよろしくホクホク顔で帰った。烏亭焉馬が書いていた脚本の謎だった部分が解明されてスッキリ。

万博のパソナ館は造形的だね。
世界にも類を見ない派遣制度を展示するつもりなのかな。

prtimes.jp/main/html/rd/p/0000

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』→
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の順番で観るのがオススメと教わったので重い腰を上げ観に行ってきた。
両作品ともに3時間弱の超大作。
各国で大量の車や電車や橋や家、とにかく大量に爆破してて景気がいい。長丁場の疲労が極まり、ハリウッドって凄いな〜(改めて)、という単純な感想しか思い浮かばなかった。2作続けて観るもんじゃない。
両作品ともに、世界観について全く納得はいかないが、自分の中で「こういうことだろう」と無理やり消化していく話だったので、他の人がどういう風に噛み砕いて消化していったのかが気になる。
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』に関しては、最後まで観てようやく物語のスタート地点が見えた、といった印象。
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の「フィアット500」『タクシー運転手 約束は海を越えて』の「キア・ブリザ」や「ヒュンダイ・ポニー」『天空の城ラピュタ』の「フラップター」など、一見して非力な乗り物が予想外の活躍をすると観客として手に汗ぎり胸が熱くなる。
説明なしで、圧倒的な力に立ち向かってる様が一瞬で可視化できるのは、映像とか絵の特権だなぁ、と実感した。

先日、漫画家の一条ゆかりさんがお若いころ、バーで男性編集者に頭からお酒をかけられ、編集者側は「今日の獲物」の女だった的に武勇伝としてその話をしていた、というエピソードを読んでぐったりしたのを、思い出したりした。

また、氷室冴子さんのお母さんが知らないうちにテレビに出て「娘の縁談についての人生相談」をし、娘のペンネームも本名も開示された状態で放送され、占い師さんが、
「娘さんは35歳で才能の限界を悟って結婚を考えます。俳優の竹脇無我のような優しい男性がよい。自力では見つけられないから周りが段取りしてあげましょう」
と占うのが流れた…
というエピソードは、ただ読んでいるだけでライフがゼロに…。
氷室さんは、どれだけ仕事を頑張っても自分の選んだ道を進んでも、結婚をしなければ(家父長制に従わなければ)無価値だと思われていると、大変ショックを受けた、とある。

『文藝」夏号の「松浦理英子が語るミソジニーと苦難の時代」のことも思い出した。

また、倉橋由美子さんが男性の批評家から壮絶に批判され、由美ちゃん呼ばわり(キモい…)されていたことなどをさいきんこの2冊で読んだのも思い出した。

スレッドを表示

氷室冴子さんのコバルト文庫の作品をわたしは中学生のころ夢中で読んでたのですが、この本を読むと、当時の苦労として、
「男性のインタビュアーからやたら年収を聞かれ、『ああいう小説は処女じゃなきゃ書けないんでしょ』と好意的ニュアンスで言われる」「笑顔で耐えて、帰宅後、家中のワインの瓶ぶち割って一晩中泣いた」
とか、
「のちにセクシャルハラスメントという外来語を知り、自分が怒りっぽい変な人なのではなく同じように傷つけられている仲間がいたことに気づく」
とか、
「四十代後半の男性と仕事上の意見が異なったので、話し合いをしようとしたら、向こうは気の強い女の子が我を張って甘えてきてて困っちゃうナという様子で、対等な仕事相手とは思っていないのがわかった」「試しに『別の男性も同じ意見でして』と言ってみたら、相手がギョッとして急に話を聞き始めた」
などから、
「相手に『女というバイアス』が作る不可侵領域がある。これらの経験に近い理論はフェミニズムだと気づいて支持するようになった」
とあった。

時代は違うけれど、自分のいた2000年代のライトノベル界(作家も編集者も男性が多い)も思い出され、なかなか辛い。

スレッドを表示

その上で、『魔界転生』という小説の評価を、局所的なプロットの弱さや、キャラクターの魅力の軽減によって貶めるべきではない。
映画版が優っている理由として氏が挙げている「老中・松平伊豆守を早くも暗殺した上に、ガラシャの色香で将軍・家綱を籠絡。魔界衆は天下を取ってしまう」「炎に包まれる江戸城天守閣で幕府の侍たちを片っ端から斬りまくり」といった部分は、明らかに歴史の改変・捏造がされている箇所である。
その結果、伝奇時代小説のパイオニアである風太郎作品の戒めをあっさりと破壊しつくし、客が喜べば何でもやるといった類の時代を一つ前に巻き戻した作品になってしまった。
個人としては、そこが逆に残念だ。
だが「のらくろ」のレビューに「キャラが弱い」などと本気の感想が書かれない時代に、風太郎作品が古典としてではなく、現役の作品として取り扱われるのは、まだまだ風太郎作品が「オワコン」(終わったコンテンツ)として認識されていない証左だと思う。
だが、改めて言う。
このような作品を、映画版を持ち上げるためだけに貶めるべきではない。

スレッドを表示

「小説丸」にて、春日太一さんが映画『魔界転生』を持ちあげるために、小説『魔界転生』をこき下ろしてるのを読んで驚いた。
氏に指摘されている小説の弱い部分に関しては、当時の読者としても同様の思いを抱いていたので全く異論はない。が、それにしてもだ。 
山田風太郎は伝奇時代小説のパイオニアである。
風太郎さんが今までその類の批判に晒されなかったのは、読者からの絶大なリスペクトがあったからだろう。山田風太郎以前の伝奇時代小説といえば、歴史を題材として扱っていたとしても、虚実ないまぜで、読者が喜べば何でもやるといった風潮があり、楽しいとは思っても、もの足りない部分が多分にあった。
その中で、山田風太郎作品にはそれが無かった。
衝撃的だったし、刺激的で、知的で、教養で遊ぶということはこういうことかと風太郎作品で初めて体験した。
山田風太郎は『風眼抄』の中で伝奇時代小説を書く上での戒として「限度を超えた歴史の勝手な改変や捏造は許されない」と語っている。
エッセイの中の言葉を借りれば、山田風太郎は、一から十まで嘘っぱちで固めるような浅はかな芸当ではなく、命綱なしで一本のロープを渡り切る、根性の据わった「伝奇小説の曲芸」をやってのけた稀代の作家であったのである。

古いものを表示
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。