万葉集に、いわゆる〈題詞〉や〈左注〉以外の、「多少とも独立した作品としての性格をもつ漢文や漢詩」がどれくらい・どんなものがあるのか知りたくて調べていた。角川ソフィア文庫の解説に「収める作は、漢文1、漢詩4、重出歌3を加えて4541」とあり、まずはこれが手掛かり。 https://fedibird.com/web/statuses/112650174558792552
漢詩①:愛河波浪已先滅 苦海煩悩亦無結 従来厭離此穢土 本願託生彼浄刹
(愛河に波浪は已に先に滅び 苦海に煩悩はまた結ぶことなし 従来、この穢土を厭離す 本願、生を彼の浄刹に託けむ)(巻五・794「日本挽歌」の前(新番号797))※読み下し文は岩波文庫から
漢詩②:俗道変化猶撃目 人事経紀如申臂 空与浮雲行大虚 心力共尽無所寄
(俗道の変化は撃目のごとく 人事の経紀は申臂のごとし 空しく浮雲とともに大虚を行く 心力共に尽きて寄る所なし)(巻五・897の前(新番号901))