【雑感】
松尾潔さんは故ジャニー喜多川氏の性加害問題について最も鋭くかつ冷静に議論している人のひとりだと思う。
この間ジャニー喜多川氏の犯罪行為を批判すると称しつつ、いつの間にかジャニーズ事務所所属タレントの能力やクオリティを問題にするような批判を数多く見てきた。そのような言説には、ジャニーズなどという「偽物」のアイドルを愛好する人たち(主に女性)のことを下に見る、偏見が時に垣間見える。この偏見は、これまでジャニー喜多川氏の性加害をゴシップとして消費し続けてきたメディアと社会が抱えるそれと同根のものだろう。
松尾さんは、自分が共に仕事したジャニタレの能力をしっかりと評価しつつ、というより質の問題と性加害の問題をしっかりと切り分けつつ、被害者のケアと再発防止を含む企業の責任の問題として性加害に向き合うべきだと述べてきた。ジャニーズ事務所がとるべき道は、松尾さんの主張に即した形しかありえない。というか経営者が責任を果たすことでしか所属タレントは守られない。でなければ、所属タレントたちはいつまでも「報道」という看板を得たゴシップにこれまで同様晒されるだろう。
その意味でスマイルカンパニーの選択はジャニーズ事務所をさらに追い詰めるものでしかない。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/325603
「ゆと里スペース
出版記念イベントについて」
https://yutorispace.hatenablog.com/entry/2023/02/22/004952
※すごく重要な指摘がされていると感じたのでシェアします。
「わたしのように様々な余裕のある人間が適当に身銭を切って販売促進に協力して、これまで書いてきたような色々なことがうやむやにされたまま、よくない慣行が放置され、登壇者と参加者の安全が損なわれるような状況が放置される限り、とりわけ差別や人権にまつわる出版の環境はよくはならない。
わたしは気まぐれでこの翻訳を引き受けたわけではない。わたしは、『トランスジェンダー問題』のあとにつづく本のために、この本の翻訳を引き受けた。いま、LGBTやトランスジェンダーにまつわるトピックには、著しい「知の需要」がある。その需要に応えるべき出版社や書店さんたちが、少しでもよいかたちで出版記念イベントを継続できるように、わたしが気づいたことをいくつか書き残した。」
フェイクドキュメンタリーQが更新されていた。今回はエレベーターが異界につながるという古典的(?)なネタだが、編集技術が巧みで不気味さはすごい。考察がまたはかどる。
"- (basement) - BASEMENT"
https://www.youtube.com/watch?v=2Aiv7L34WcQ&feature=youtu.be
仕事は終わらないけど弊社の最終営業日という解放感もあり、夜は映画へ。鶴田法男監督による中国映画『戦慄のリンク』。面白かった。
上映後には鶴田監督と伊藤潤二先生とのトークショーも。生で見る伊藤潤二先生は、リアルに伊藤潤二だった笑
「中国でJホラーを撮ってほしい」と請われて映画を撮ることになったものの、中国では幽霊を肯定的に描くことが禁止されており、しかも事件や謎は警察が解決しなければならない等、あまりにもたくさんの制約があり、そもそもJホラーの撮影が不可能な環境だそう。そこから導き出されたのが、Jホラー的な演出によるサスペンスだったそう。現実と幻想がシームレスに切り替わる映像演出が素晴らしく、特に背景に佇むウェイターの不気味な姿など、不意にヒィッとさせられるようなシーンが多数。「ほん怖」味がたっぷりであった。
しかも、(書籍と同様)映画に関しても脚本段階から映画完成後まで国家による検閲があるそうで、様々なストップがかかったという。このあたりはパンフレットにある監督日誌に詳しく、とても興味深い。
メモ。ポルトガルのお菓子。頂いたイチジクのお菓子が、とても美味しかった。
ドース イスピーガ
東京都千代田区神田小川町3-2-5
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13211554/
1980年生/通名:中山永基/韓国籍の在日朝鮮人3世/2022年4月から雑誌『世界』の編集(単行本→新書→新書と営業の兼任→『世界』)/私用/ここは思いつき、雑感など/仕事の告知はTwitter:@yonggi623/Threadsはくだらない話、趣味など:@yonggi623_2