『本日公休』を先日観てきました。理髪店を営む女店主の常連客や家族の絆を巡る何気ない日常を映し取った映画で、あらすじ以上の出来事も本当に起きないのですが、「後頭部を見ればどんな髪型が似合うのか一発でわかる」という主人公と常連の間の関係性、「あなた(子ども)が何を考えてるかわからない」という親子の関係の描写を行ったり来たりすることで、一人の人物の「誕生から墓場まで」というライフサイクルを描写する表現と、台中の下町の風景がいい感じに組み合わさって、しみじみ良いなぁと思わされる映画でした。あと店番のキジトラチャンが超かわいい。ルンバ(息子が持ってきたもの)にびっくりやニャルソックといった自然体なネコチャンを見られる映画はきっとこれだけ。
そういや先日の話にはなるんですが、濱口竜介監督の特集上映にて念願の『ハッピーアワー』と『親密さ』を見てきたので、今更ながらの感想を。
『ハッピーアワー』は仲の良い4人の既婚(或いは元)女性の男女・女女の関係を巡る群像劇で、構成と脚本の妙がえげつなく、ワークショップで募られたほぼ新人の俳優陣(‼︎)と5時間弱の上映時間(‼︎)でもあっという間に終わる、すげ〜映画でした。2つのワークショップが基軸となっているのですが、その打ち上げシーンを延々と長回しで撮影して物語が一気に転回する様をまざまざと見せつける、会話劇が得意な濱口監督の真骨頂だな~と思わされましたね…
ラストまでこの4人の女性の行く末はどうなってしまうのかわからない、だけど観た後は不思議と絶望感を感じずすっきりした気持ちになる、納得の傑作です。
『パリ、テキサス』も観てきました。ロードムービーという前知識しか得ておらず、序盤の主人公と弟の会話中にずっと車窓を撮影していたり、バックミラーを撮って運転手の目だけでその車内の雰囲気を描こうとしているところが水…どうでしょうじゃ〜んと嬉しくなっていたのですが、中盤以降の生き別れていた主人公の息子と再会し、どんどん二人が"悪友"のように打ち解けてゆくところにどんどん顔が綻んでゆき、ラストでゲーゲー泣いてしまいました。やっぱりヴィム・ヴェンダースは強いぜ………