21美、6月下旬全館再開 800枚超のガラス天井撤去 開館20周年展は秋以降|社会|石川のニュース|北國新聞 https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1320673
先だっての大地震のために依然として部分営業にとどまっているらしい金沢21世紀美術館。ガラス天井を全撤去って、意外と被害が大きかったようですね。「21世紀美術館は天井が落ちたらしい」「ジェームズ・タレルの展示室の?」──という現代アート漫才が当方の周囲でもまことしやかに言われてましたが そして2026年度以降に長期休館していろいろメンテナンスを行なうとのこと。
ところでこういった実践が紹介されることで、日本における運動の過去/現在/未来が遂行的に逆照射されていることに注目しなければならないでしょう。日本においては──特に東日本大震災以後、「新しい社会運動」と称されていた諸運動に顕著だったのですが──むしろ圧倒的に不利な状況下における対抗的な運動・実践の当意即妙ぶりこそが抑圧されてしまい、特定の党派性(および彼女/彼らがパターナリスティックに設定したアジェンダ)への従属が全面化していったからです。一般論として2010年代においては日本の社会運動は内向化、一国(平和)主義化が、自民党政権がグローバルな権力ブロックの構成に最適化されていった(ex.安保法制)ことと同時に進行していったのですが、言うまでもなくかかる平和主義とミャンマーにおける民主化運動は構造的に逆立しているわけでして、これは日本、特に東京における社会運動(の一国主義化)が組織的構成的に欠落させてきたことにほかならない。私たちがミャンマーにおける諸実践に接することによって見るべきなのは、かかる視野の欠落であり、それに対する対抗運動としても、これらの運動は再読されなければならないでしょう。明日まで。
京都芸術センターで開催中の「当意即妙 # 芸術文化の抵抗戦略」展。
2021年に軍事クーデターが起こり国軍による圧政が続くミャンマーにおいて、それでもなお続いている民主化運動の中でもとりわけアートという形を取ってなされている諸実践を紹介するというものとなっています。紹介されている運動はMasking / Unmasking Life、3AM Performance Art Collective、WART、Docu Athan、Yangonかるた。
https://www.kac.or.jp/events/34900/
それぞれの運動の詳細については上のリンク先を参照していただきたいのですが、「ミャンマーのクーデターがもたらした暴力やその実態を知ること」「アートをはじめ文化実践(Cultural Practice)を通じて、絶望的な世界や社会的・政治的課題や困難と向き合い、それらを活用・応用したいと思うひとたちとともに。世界と向きあう方法─戦略─を見出していきます」(居原田遥(企画者)氏によるステイトメントより)と掲げられていることもあって、どの運動も軍政を一刻も早く終わらせ、民主化運動の最終的な勝利を希望・展望するものとなっています。
特に個人的に強烈だったのはMasking / Unmasking Lifeでして、軍による老若男女問わない市民への弾圧によって殺された人々のデスマスクを折り紙によって制作し続けているのですが、今回の展覧会ではそのデスマスクたちが展示室内で一堂に会していた。他にもミャンマーにおける宿痾となっている少数民族問題をも視野に入れたパフォーマンスを行なってきたものの現在はメンバーそれぞれがバラバラに散っている(ディアスポラ)3AM Performance Art Collective、イラストやひとコマまんがによって軍政下の実態や国際社会の不正を告発するWART、映像ドキュメントによる告発をプラットフォームとして構築しているDocu Athan( https://youtube.com/@DocuAthan?si=q_bKAeGuFShdI26q )──「Athan」とは現地の言葉で「声」を意味するという──、そもそもミャンマー人とは何者でどういう暮らしをしてきたかを伝達するYangonかるたと、現地における力学的・構造的に圧倒的に不利な状況下における対抗的な運動・実践の当意即妙ぶりが様々に紹介されていたのでした。
第27回TARO賞は岡本太郎賞につん、敏子賞に三角瞳。10組が特別賞 https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/28491
入選22組のうち10組に特別賞って、ここに岡本太郎賞と敏子賞を加えたら入選者の過半がなんらかの賞を受賞したことになるわけで、こうなるとむしろ何も受賞してない入選者の方に将来性がある説すらありそうで──ってそれだと某VOCA展になってしまう
しかしそれにしても、TARO賞は回を重ねるごとに原始画面((C)彦坂尚嘉)・原始オブジェ化が進んでおり、関西人的にはそういうのは国立民族学博物館で間に合っておりますと言いたくもなるところですが、岡本は戦前にフランスでマルセル・モースに師事して人類学を学んでいたから、本卦帰りしてることにはなりますね
「決定版! 女性画家たちの大阪」展(大阪中之島美術館)
レビュー。女性日本画家や美人画の定説を打ち破る展覧会(評:北原恵) https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/women-painters-2023-review-202401
「決定版! 女性画家たちの大阪」展、当方は昨日見てきましたが、北原恵氏による展評記事があったんですね。これはTOKYO ART BEATの中の人がいい仕事しはりました。北原氏は1990年代に(今はなき)インパクション誌で連載していた「アート・アクティヴィズム」によって、欧米において1970年代以後前景化し今でも大きな潮流となっている現代美術+フェミニズム+社会運動という動向を日本に紹介したことで知られていますが、そんな氏の目線から見ても、「女性画家たちの大阪」展はひとつの画期をなしていたようで。
そんな氏の達意ある展評に屋上屋を架すのもアレではあるのですが、個人的にも「女性画家たちの大阪」展は決定版を自称するにふさわしい広がりと深さを持っていたように思われます。1912年に島成園(1892〜1970)が文展(現在の改組 新・日展)に入選したことがきっかけとなって大阪では女性画家が急増し、島と同世代の岡本更園(1895〜?)、木谷千種(1895〜1947)、松本華羊(1893〜?)が「女四人の会」を結成して活発に活動するようになることで単なる一過性のムーブメントにとどまらない独自の流れを得るに至るのですが、かような既存の団体展へのエントリーにとどまらない動きとバックグラウンドが1912年以前から大阪には存在していた──その意味では、江戸時代以来の南画・文人画界隈に女性も多かったことを、全五章中の一章を割いてキッチリと掘り起こしていたことは、近代日本画の(ジェンダー格差を含んだ)制度性にばかりフォーカスされがちな「女性日本画家や美人画の定説」に対するカウンターとして、非常に重要な問題提起となっていたと言えるかもしれません──ことを豊富な実作と資料によって示していたことのインパクトは、非常に大きいと言わなければならないでしょう。25日まで。
ローマ字つづり、改定見通し ヘボン式浸透、新年度以降に:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/DA3S15864587.html
訓令式からヘボン式に改定されるとのことですが、そう言えば昨日御堂筋線で見かけた「箕面」の綴りはそのどちらでもない「Minoh」でしたね。まぁ「Minoo」と綴ったために英語圏の人が「まいぬー」と呼ぶ場面に割とでくわすものですから
大阪中之島美術館 展覧会来場者数 累計100万人を達成いたしました https://nakka-art.jp/news/20240215_1m_ceremony/
ぁだからロビーに人だかりができてたんですね。してみると当方は999,600人目くらい──今日は平日なのにモネ展目当ての来場者がぼちぼち多めでしたし──だったのかもしれない
好事家、インディペンデント鑑賞者。オプリもあるよ♪