わからなくても面白いんですよ、ねむねむで見始めたので楽しめるかなあ…と思ってたんだけど、何これ…という騙し絵性を見てるだけで興奮(バーキンがめちゃくちゃ魅力的だし)。バーキンという万華鏡で遊べるのが楽しくてたまらないヴァルダ(彼女自身ももちろんドキュメンタリーにおける「演技」をしてきた人ではあるが、今作でバーキンにラウラ・ベッティとローレル&ハーディごっこまでさせちゃうの、あれホントは一緒にやりたかったのでは、というか本人かと思った)の自由すぎるイマジネーション…とか思ってたら容赦なく厳しいことも言うのでやっぱ謎ー!食えねえ監督!
気づいたら最後まで連れていかれてた。のめり込むのではないんだけど、最後までいけてしまう。こんな素敵な40代のあなたもきっと素敵よプレゼントなんてある?ふたりの「永遠のガール」アイコンが手を繋いでスキップしてかけていくような、しっちゃかめっちゃかワヤワヤなのにグッときちゃう。貴重なショットとモノローグ満載、名画を模しながら彼女の唯一無二の個性たる「まっさらさ」を礼賛。人生や価値観についても一応語られはするけど、そこからのイメージの飛距離ありすぎて???となりまくった。
あなたは何にだってなれる、どこにだっていける、まっさらで特別なキャンバス、これまでもそしてこれからも。
『愛と希望の街』と『ユンボギの日記』をU-NEXTで見た。うすうす感づいてたが、初期の大島渚、別に好きじゃないな?なんかこう、台詞から画面設計から全体的にカチコチしているので肩がこる。なので好きじゃないけど、偉大だと思う。というか「インテリの責任」をこんな太字で大書して引き受ける作風ってやっぱ日本の実写映画の世界では例外中の例外なんじゃないすかね?社会派というのとも違う感じがするな…なんだろうこの感じ。
たとえば『愛と希望の街』での鳩を売る少年がシステムの前になすすべもなく敗北することを描く時、手っ取り早いのはお嬢さんに淡い恋心とか憧憬を見せることだと思うんだけど、そこがゼロ。対等がありえるとすら思っていない相互関係としてまなざしあう。あとお嬢さんの兄、重役を保証されたエリート青年が「セツル(これ、今もうあんまり知られてない単語?)にかかわってた」ことを語る言葉が挟まれるところとかいいんだよな。なくても成立するんだけど、あれがあるだけで全然違う。
『ユンボギの日記』は原作の日記(日本で初邦訳された韓国文学)の引用と監督視点(多分)の詩のような反復される語りを繰り返すんだけど、24分という短編で引用パート限られる中に光復節のところをしっかり使う。
そういう姿勢自体がすごい、と今の私は素直に思う
https://www.geidai.ac.jp/container/column/closeup_015 クローズアップ藝大 | 第十五回 小鍛冶邦隆 音楽学部作曲科教授 | 東京藝術大学
これが流れてきたので読んでみたんだけどすごいな 「やっぱり、音楽は世界共通だとか言いますけど、嘘ですよね。」
『マジック・マイク ラストダンス』あんま周囲の評判よくないけど評判よかった2本目のXXLよりずっといい、というか私は好きよ
面白いかというと微妙だし思ったほどショー場面もよくないけど、あとソダーバーグにしては珍しく編集がすごい野暮ったくて良さあんまり出てないと思うけど(これはあくまでもリード・キャロリンを中心とするクルーの映画なので、というのを踏まえてもダサい、にもかかわらずときどきめちゃくちゃキレッキレを見せる、何これ)
でも前作の困惑がないだけでだいぶ落ち着いて見られたし、格差社会の酷いお金持ちの紋切り型に安住する作品には私も飽き飽きしてたんで「なんか一緒にできることもあるんでね…?セックスとかさ、ダンスとかさ」みたいな感覚が特にノー天気なものではなく真面目に(チャニングだからね)撮られてるのは割と好感。
1作目から10年、1作目の夕暮れ感がどんどん消えていく通常と逆の続編進化をしている謎シリーズ、まあまあよい着地ではと私はおもいますよ。
サルマ・ハエックのキャラクターが筋書きを成立させるための事情でわけがわからない人になっちゃったのとか、まあ、普通に失敗してると思うけど。でも娘ちゃんを使うのはナイスアイデアだったと思う。
『アニエス・Vによるジェーン・b』すごーい、全然わからないけどたのしー!ヴァルダ作品の中でも素材がジェーン・バーキンなのをいいことに特に遊び倒してる感じでもはやドキュメンタリーでもフィクションでもない何か、ジャンルさえ説明できない何か!これでまぎれもなく映画になっちゃうの何なん?すごい。
@lumilanoce こんばんはー、はじめまして!Rumiさんお気に入りの映画だったのですねー、私もとても面白く見たので嬉しいです❤️確かに好きという言葉がふさわしいかちょっと迷っちゃうようなところもありますが(マイノリティ表象として危うくない?という意見も見ました)私は「こどもさんに見えている、感じられている」世界の話としてとても気に入ってしまいました、お仲間です✨
全然違う話だけど、なんとなく思い出してたのは『僕のまわりの悪魔』こどもさんはいろんなことをわかってるようなわかってないような https://x.com/vertigonote/status/828250276289146881?s=46&t=B4HmzHKgDeiSFujeLIrJ_g
『イノセンツ』これは劇場で見てよかった!こどもをなめない(純粋無垢でないのは当然なんだが、悪さに関する罪悪感や気分のムラやわかることわからないことのラインの大人にわからなさがすごいうまい脚本)北欧映画の面目躍如、すごくよいホラーだ。
あの特有のモヤっとした薄暗さ、夏なのにひんやりした感覚が無機質な団地空間の異次元感をグッと高めているのがいいのよね。
しかし物語よりサイキック描写より何より、これはこどもたちの背丈、その全身で世界を感じとっているのを見事に映し取った撮影、風の使い方が全部好み。あの裏山、素晴らしい演技ね(山が演技してる気がしたの…本当に…)
冒頭の発話ではなく音としての断続的に響く声から音響もいちいち鋭く、ずっと何かをざわめかせ続けてるのもホラー的にとても心地よい不穏。何かが起きる起きないにかかわらず、そこに何かが蠢いてるのをこどもたちの小さな身体、薄い皮膚、やわらかな産毛だけが感じ取っている。
団地が「世界」になっているこどもたちの話だからこそ小さな世界の巨大さがちゃんと見えるのいいよな…誰も知らない悲愴な覚悟でひと夏を終わらせる厳しさもさすが。今回のエスキル・ヴォクトは変映画ではなく超正統派。
比較的スクリーンサイズあるとこでやってくれた天パラに感謝。なお私は童夢未読。
「ヘンリー」をU-NEXTで。犯罪心理が全然描かれない、本当に表層だけしかなぞらない、ルールを作らないのがルールの人の話なので即物的ー。起きていることがものすごいおぞましいのはわかるんだが怖さよりほぼ天災として出現する自然殺人者…だけの話ではなくなってからの胸糞悪さの方が強い印象ね
ほとんどは「こういうことが起きました」しか見せないアイデアが効いていて、割と面白かった。ビデオテープの不気味さに注目してるの割と80年代からあると思うんだけど、実際そうだったというだけでなく何かあの「遺されるもの」感に新しい映画的興奮を感じた作り手は多かったんではないかなという想像をしてみたり。
音楽で結構なおもしろになっちゃってる感あったけど、音楽なかったらすごい厭さが増してたんでは。どこまで意図的にやったんかな
それにしても80年代から90年代初頭の密着!実在連続殺人鬼!のムードってなんだったんですかね?生の希薄?
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クライムズオブザフューチャーについて、まとまらない思ったことメモ
クリステンがあまりにも気持ち悪いので持っていかれ気味なんだが、レア・セドゥもたいがい気持ち悪く撮られてる気がしたんだよなー、と気になった。
クローネンバーグ先生、割とフェミニストを自認してる人にもファンが多いクリエイターだと思うんだけど、私はなんかうっすら女性嫌悪的なものを感じちゃうんだよなー。
とはいえ私も別に全然苦手な監督ではないのだ。嫌い方が捩れていて良い感じというか、あのメカニック二人組の良さを見ると、女全般でなく自分(ソールにアルターエゴ感ないです?)の身体を直接弄りたくて仕方ない女たちが気持ち悪くてしかしそれが気持ちいいし弄られるのはやぶさかではない、みたいなアンビバレンツな何かも内包してる、感?
ヴィゴさんは身体を投げ打つ貢献の人なのでハマり役というのは当然として、本当にクローネンバーグ好みな顔(似てるし…)よな、と改めて思った。
痛みを克服した世界ということはあんまりピンとこなかったけど、衛生観念がなくなってる世界というのは面白い気がした。どこいってもハエがブンブンいっている。でも汚いものは全然映らない。アテネのロケーションはオリンピック廃墟の再利用っぽくもあり、これもプラスチックイーター的な…とかちょっと思った。
デッドロックがピンとこなすぎて、私は今を生きてないんだなあと思う…
勝手がわからない