「大学の山賊たち」をU-NEXTで(旧作邦画祭みたいになってますが、短いからつい選んじゃうの…)。明朗快活元気いっぱい山岳わちゃわちゃアクションコメディで60年代東宝の青春スター揃いでまあかわいい。東宝娯楽映画における「現代の若者たち」なんかすっごい眩しいのね。みんなでよく歌うし、男の子たちも女の子たちもみんなとても元気なので(描写的にはアレなとこも多々あり、そこはうーん、ではあれど)ポジティブバイブスがすごい。そして岡本喜八なのでとにかく語りの機能美ー!って圧縮感(エピソードがやたら多いので超サクサク編集)とミュージカル映画ではないながらもミュージカル心あふれる躍動に終始し、ロマンスに発展させてないのも爽やか。山にそんなのいらんのよな。
しかしこの若者たちに輪をかけたかわゆみ(というかボケ)担当の上原謙と越路吹雪に大笑い、そしてホロリ。コーちゃんのコメディセンスすごいよね
「ひばり・チエミのおしどり千両傘」をU-NEXTで。近年の日本ではついぞ見る機会がなくなったスタア様の映画じゃ…こっち路線の発展が続いたらインド映画の方向に行く可能性もあったんだなあと感じさせる、超絶技巧に支えられた歌と踊りとありがたみ。仰ぎ見るような、はーすごいね。最初の広いセットの移動撮影から喧嘩の大祝祭のカメラワークに再会パートの照明、うおー
お嬢のローマの休日ごっこのカマトトぶりこれ以上ない可愛らしさですよ。チエミもコミカルを通り越して破壊魔みたいな食いしん坊腰元のコント演技に裾からげてのチャチャチャにチャールストンにタンゴと歌い踊って楽しいのは当然なんだけど、私はひばり様の偉大さがよくわかりました…本当に純情でスンスンするお姫様に見えるんだよ…からのラストの啖呵合戦の神がかり、すげえ。薔薇色の雲の上ショーのトンチキ力もやべえ
なんとなく旧作邦画強化週間、短くて適当な映画でこういう凄さを実感…
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U-NEXTの読み放題にスクリーンも入ってるので最近どんな感じなんかな?的に読んでみた。デザインは綺麗なんだけど、確かにこれは総選挙とか出てきちゃう土壌だよなあというか…なんかすごい「惰性」って感じになってるなと思った。
今のSNSで得られる情報の速度と深度、個人(ファン)ごとに雑誌作ってる感じあるじゃん?みんな絵も字も得意だし。そっちのほうが深くなるの当たり前なんで「そんなの知ってる」しか出てこないよなあと。ここにしかない情報(ビジュアルも企画も含め)たぶんほとんどないんよ。
となると、こういう媒体の役割はファンズアイテムに振り切る方向性のほうが良い時代なのかもね…あれだ。やっぱ芳賀書房のシネアルバムの復活だ。美麗写真にひとつひとつの作品においていかにその人の素晴らしいかの論考(考察は愛される時代だ)を添えて。そのほうが失礼もないし。
『別れる決心』を見ました。パク・チャヌクとは相性あんまり良くないので劇場観賞パスしちゃってたんですが、いや見逃さずよかったですね、これは面白かった。これまでの路線からして大映風味なのかしらと思ってたのだが、意外にも大仰なとこを最小限に…というか「そこ?」ってとこに仰々しさを持ってくるのでローテンションの中に謎美学が炸裂することになってて、何これ…が頻発。これまででいちばん気に入る変さでした。
なんでこんな謎に面白い…というかすっとんきょうな撮り方してるんだというのもあって殺人事件の話なのにほとんどスクリューボールコメディ、なのだが今この時代にガチのメロドラマをやろうとしたらこうなるよねという真摯さとも取れる。笑わせにかかってるのか真顔なのか、ギリギリで掴ませない映画としての佇まいがヒロイン像と重なる。
諏訪部先生がノワール文学講義で示しているとおり、ノワールとスクリューボールコメディは繋がってるのだからこうなるの当然なんですよね。鈍感な男は鈍感であるがゆえに、鈍感では生きていけない女は鈍感でないがゆえに、行き着くところまで行くしかない。
主演2人の顔のつかみどころのなさがいい感じにのらくらした語りに繋がってて、特にタン・ウェイの壁の前で上半身揺らしながら話すリズムとか指先の使い方に痺れた。
今日も旧作邦画。「鯨神(くじらがみ)」をU-NEXTで。なんか昨日見た「清作の妻」とうっすら繋がっている気が…というのはおそらく偶然でなくて脚本がこれも新藤兼人(先の戦争になみなみならぬ恨みを持ってる被爆者)。鯨に憑かれみんなが死んでくのに「じーちゃんととーちゃんと兄貴の仇をとれー!立派に死ねー!」モードで突き進んでいく漁村のそれ、ほぼ帝国の旗を振ってたメンタルの根底にあるものと同じでは…というのがなんとなく海洋バトルアクション(終盤だけだけどね)以上のものとして映るのだが。
そう考えると終盤の展開はなんともいえない気持ちになってくるな…アドレナリンとマッチョなヒロイズムは手に負えない…贈答される女…
というのはさておきすごいふんどし映画で、これでもかというほどふんどし男を見た。どしどし。あと現れた瞬間から怪物の勝新が怖すぎる。圧しかない
九州舞台でクリスチャン漁村が舞台というのも興味深く見ました。
「清作の妻」をU-NEXTで。例によって増村なので仰々しくあおりにあおってくる(茶碗ぶん投げて悔しい!悔しい!って暴れる妹を足蹴にする兄とかもうすごいテンションよ)「リミッターがとんでどうかしてしまう」人(しかもというか当然というか、それはもう美しいあやや様)の話なんだけど、これは脚本の新藤兼人の折り目正しさが前に出ている印象で、割と素直に地獄のメロドラマで(いうても地獄の、はつきますが)言ってることは至極まっとうなのだった。そのときその場所では最も間違っている行為が最も正しい。あとオープニングクレジットの入り方が絶妙でこのセンスは題材より演技よりドラマより何よりフレッシュ。
気になるのこれ舞台が中国地方だよね?方言と標準語が混ざった言語になってたけど、なんとなく因習村(の形をしてますが、まあ日本です)を中国地方に置く昭和中期の文化ない?やはり津山イメージ?
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@rucochanman スキャンダル、そうなんですよFOXの実話ベースの話ということの居心地の悪さが前提なのでツイストがきいてて、ビターな話でなかなか良かったんですよ。特にケイト・マッキノンのキャラクターはあまり描かれてこなかった「それな~」な問題をピンポイントで突いていて。機会あればぜひぜひ~。私もバービー見に行くぞ…
そんでスペースのこともありがとうございます、当日に向けて着々と準備進めてますんで、今回もお楽しみにです^^
『オマージュ』がとても良かった。第一に、しっかりした金勘定の感覚がある…
私はこういうスーパーウーマンではない、一見個性的なところがないようにみえる、運動神経の鈍そうな地味な中年女性の話がたくさん見たい。表情の動きが小さい(特にイキイキしてない)モサッとした大学生の息子がいるぽってりした体つきの中年女性の中途半端な監督の話という時点で嬉しい。
彼女がいつも「うん」って言ってるのもよかったし、甘えたーの息子の描写とかおうち服のシワシワや適当に掴んだもの着てる感も好きだし、そのうえでこんなにも映画の亡霊性を優しさで包んだ映画になってることが本当に素晴らしいと思った。エンディングのかっこよさときたら。ゾクゾクした。
主人公はある女性監督の人生を追うのではなく、「映画」を追うんだよ。それがすごくいい。すべては曖昧に繋がれていて、何かが解決したりはしない、なのにあの穴からの光にフィルムをかざす目に薄く浮かんだ涙(泣き顔を見せない映画だ)と同じ涙をあの瞬間の私も浮かべてたと思う。
映画って光と影なんだよ、って基本に忠実だし、近年興味のある聞き書きの重要さについても思うことになった。みんなもういない?いるよ。場所が消え、人が亡くなっても、映画は在るよ。影は今日も、そこにいるよ。ありがとう。
勝手がわからない