死や暴力の話題
わたしが中学〜高校時代を過ごした2000年代は、たぶん1990年代の「鬼畜系ブーム」の名残りがまだあったのだろう、周りの人たちの間ではエログロナンセンスを楽しめるのがクールという風潮が強く、拷問全書とか自殺マニュアルとかを読んでいる人が一定数いて、わたしは耳を塞いで悲鳴を上げて逃げ回っていた。
たしかイラクで日本人が殺害された時、(それはシリアスな話題として)部活の先輩たちが話していて、殺害方法にまで触れたのでわたしが反射的にびくっとしたら、「でもこれが現実だからね、向き合わなきゃいけないんだよ」ということを言われ、先輩たちのことは好きだったが、その時ばかりは「グロを娯楽にできるくらいには暴力や痛みへの感受性が鈍麻しているだけのことを現実に向き合っているかのように偉そうに言わないで」と思った。
ショッキングな写真などを見せて、「目を逸らさないで見てください、これが現実です」と言うようなやり方って啓蒙的な意図でなされていたりするけれど、「直視する」の比喩的な意味と文字通りの意味を混同しすぎではと思う。
けれどいま(ここ十年くらい)のわたしは文字通りの意味だけでなく比喩的な意味でも、直視することができずにいる……。
死や暴力の話題
死や暴力の話を見聞きすることに対してほとんど反射的な拒否感があり、特に写真や映像で目にすることへの強い恐れというか、「見てはならない」という気持ちを持っていて、目に入りそうになるとばっと目を背けてしまう。
ニュースもなかなか読めないしツイートなども目に入りそうになると逃げてしまう。
情勢をリアルタイムで追うことは避けて、余裕のある時にちゃんと学ぼうと思っても、そういう話題を目にするのが怖くない時が来ることはないし、次から次へと悲惨なことが新たに起き続けて、とても追い切れない。
無知なまま目を背けたまま生きていることへの後ろめたさがある。
のだけれど、今日ニュースを読んでいたらその間ずっと息を詰めていた……。
『奇病庭園』『SAPERE ROMNTIKA』W刊行記念トークイベント、やっぱり聴けばよかったな〜逃したな〜と思っている方に朗報なのですが、見逃し配信あります。今から購入できます。
今日です。ご都合あう方はよかったら。合わなくてもアーカイブあるのでご興味あったら。
https://bb231012a.peatix.com/
来週木曜日、詩人・翻訳家の高田怜央さんと、本屋B&Bさんにてトークイベントを行います。
"歌人・小説家、川野芽生さんによる初の長篇小説『奇病庭園』(文藝春秋)が今年8月に上梓されました。川野さんは大学院で比較文学を専攻し、J.R.R. トールキンの作品を中心としたファンタジーや翻訳論などを専門とする研究者でもあります。幻想世界を舞台にした作品を執筆するとき、著者は「架空の言語からの翻訳」として文体を構築していると語ります。
また、詩人、高田怜央さんの第一詩集『SAPERE ROMANTIKA』(paper company)が同月に刊行されました。本作は、英語の原詩と著者自身による日本語訳を併録した「英日バイリンガル詩集」というめずらしい形式です。高田さんは、今年公開の映画『PERFECT DAYS』の翻訳者としても活動しており、二つの言語を行き来する日々を送っています。
翻訳について考えながら、翻訳的な手法を実作に取り入れているという共通点を持つ二人。今回は、「言葉の越境」をテーマに、普段の詩歌や物語のつくり方についてトークします。"
カフェに作業しに行こ〜って時に、巨大なノートとノートパソコンと読みかけの本を鞄に入れてから、わたし計画性がないっていうかたぶん欲張りなんだね……あれもこれもやるぞって思っちゃうんだよね……だから荷物もやたら重いんだよね……って思いました。結局ノートしか使わなかったがだいぶ進捗しました。
大学受験のとき、売ってた中で一番分厚い(ペットボトルが入る幅の)キャリングケース(そういえば最近あんまり持ってる学生見ないな)とA4入ってマチも広いトートバッグいっぱいに教材やノートを詰め込んで毎朝自習室通って、そのうちの一部しか使わずに一日を終えていたことを思い出す。自習室着いてから今日は何やろうかなって考えるので、とりあえず全部持って行ってたんだった。
近刊のお知らせ。
左右社さんのnoteで連載中の「装うこと」についてのエッセイ「かわいいピンクの竜になる」の最終回が更新されました。
https://note.com/sayusha/m/m842139537e32
そして、エッセイの書籍化が決定しました。
ロリィタや少年装、ドレス、メイクや香水など、装うことについての愛や苦しみ、思索や矛盾や怒りや幸福などを綴ったちょっとばかり怒濤の勢いのエッセイです。
note連載では6回分読めます(1回につき1万字!)が、書籍化の際にはそれと同量の書き下ろしが収録されます。
続報をお待ちくださいませ。
来週木曜日、詩人・翻訳家の高田怜央さんと、本屋B&Bさんにてトークイベントを行います。
"歌人・小説家、川野芽生さんによる初の長篇小説『奇病庭園』(文藝春秋)が今年8月に上梓されました。川野さんは大学院で比較文学を専攻し、J.R.R. トールキンの作品を中心としたファンタジーや翻訳論などを専門とする研究者でもあります。幻想世界を舞台にした作品を執筆するとき、著者は「架空の言語からの翻訳」として文体を構築していると語ります。
また、詩人、高田怜央さんの第一詩集『SAPERE ROMANTIKA』(paper company)が同月に刊行されました。本作は、英語の原詩と著者自身による日本語訳を併録した「英日バイリンガル詩集」というめずらしい形式です。高田さんは、今年公開の映画『PERFECT DAYS』の翻訳者としても活動しており、二つの言語を行き来する日々を送っています。
翻訳について考えながら、翻訳的な手法を実作に取り入れているという共通点を持つ二人。今回は、「言葉の越境」をテーマに、普段の詩歌や物語のつくり方についてトークします。"
8/4『奇病庭園』刊行