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当日の展示 
1)
2018年発行のclpt/jktm本「Ice Blue Night」から表題作。R18。35,000字くらいある。
「ア●ミック・ブ●ンド」の世界にjktmを放り込み、00Qとクロスオーバーさせている乱暴なAUです。(でもわりと好き)

2)
アイニル「An Ordinary Day」から再録。
本編の「その後」のふたりの話ですが、ニールはカフェの店員という設定なのでゆるプチ参加で。
14,000字ほど。

3)
ルスハン新刊から書き下ろしの一部を展示予定です。(R18)

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ちょっとズルだけど、ここ数日ずっと原稿やってるのでチラ見せ&数日分更新先取り。
毎日書く、はやってるわけですよ否が応でも。(早く脱稿したい…)

20230117 新刊の書下ろし3 

 シャワーを終えてバスルームを出ると、ベッドヘッドに寄り掛かってセルを見てるブラッドリーの姿が目に入った。
「すげーたくさん写真とかビデオが来てる」
 薄暗い部屋の中で、光っている端末の光を受けた顔がぼんやりと浮かび上がっていて、なんだか知らない人みたいに見えた。
 知らない人だなんておかしいけど。
 今日、俺たちは結婚式を挙げたわけだから。
「ほら見ろよ。すごい美人が」
 そう言って差し出された画面には、揃いで誂えたばかりのタキシードを着こんだ俺が映っていた。
「裸で本人が目の前にいるのに、写真のほうがいいって?」
 そう言ったら、彼は笑ってセルを放り出して手を伸ばしてきた。
「まさかだろ」
 
 最初は、式なんかしなくていいと思ってた。正直、ふたりとも。
 でも、ブラッドが退役するとか、いろんな手続きをしていく上で、やっぱり急に態度が変わる人が多いことに気づかされた。
 ブラッドはこれまで「嘘はつかないけど、わざわざ言うことでもない」ってスタンスで過ごしてて、親しい人ほどうすうす気づいてたのかもしれない。
 でも俺はたいてい彼女がいたし、一度は結婚もしてるから、付き合いの長い友人ほど「いったい何が起きたんだ?」って動揺したし、反動は大きかった。

20230116 新刊の書下ろし2 

 シンプソン中将はペンを持ってからふと疑問に思った、みたいな顔をしてピートを振り返って言ったんだけどね。
「私が最初でいいのかな? 大佐、君が最初にサインすべきでは?」
 去年の任務はもちろん、昔のいきさつも一通り知ってる人だから、ピートに気を使ったんだと思う。でも、ピートはちらっと困ったような、それでいてものすごく嬉しいのを隠しきれてない顔で言ったの。
「いえ、中将。その。私は家族の側なので、そこではない場所にもうサイン済みです」
 昨日の食事会のメインイベントは、結婚式の前に、この「家族」の欄にみんなが名前を書く、ってことだった。
 ふたりの結婚を、家族として認め、祝福し、多くの友人たちに証人として列席してもらいましょう。そんな趣旨の食事会だったの。
 ピートはルースターの側の家族の欄の最初に名前を書くときに、ものすごく緊張した顔をしてた。そして書いた後にちょっと涙ぐんでたと思う。
『ピート、本番は明日なのよ?』
 マムがちょっと呆れた顔でそう言ったけど、ピートは頷いて見せながらも言ってた。
『わかってるよ。たぶん僕は明日も泣くと思うから呆れないでほしいけど、これは彼らの結婚に感動してるっていうのもあるけど、今ここに自分がいるってことに感動してるんだ』って。

20230115 新刊の書下ろし1 

 その週末、ブラッドリーはジェイクと、街はずれにある古びたモーテルの一室で落ち合った。
 部屋はベッドとシャワーがあるだけの空間で、今にも雨が降り出しそうな天気の肌寒い日だった。
 明かりをつけずにいると昼間でも薄暗い部屋の中は、シャワーの蒸気と安っぽいシャンプーの匂いで満ちていた。
 そして部屋の真ん中に置かれたベッドは、ふたりが動くたびにきしんだ音を立てた。

「おまえ背中きれいだよな」
 ブラッドリーがそうつぶやいた時、ジェイクは言葉の意味を受け止めきれないまま、とっさに浮かんだ疑問符を背後にいる男に向けたつもりだった。
 けれども、相手の反応はその意図とまったく違った。
「、今ぴくっとした?」
 そう言って、ブラッドリーは掴んだ彼の両手首をしっかりと引き寄せ直した。
 とたんに、脚の間に入り込んだ彼の勃起がびくりと震えてかさを増したように思えて、ジェイクはかぶりを振ってそれを否定しようとした、のだけれど。

1/22のイベントに参加します。そしてこのイベント合わせのTake Your Breath Away 3の受注をフライングで開始してます。
サンプルはこちら↓
pictbland.net/items/detail/196

2月初旬発送予定。表紙は1・2に続き、きやまさん
twitter.com/kanmiyak
が描いてくださいました✨
短編のWeb再録中心(16編)ですが、お初と結婚式とその後あたりが書下ろし(3編)で入ります!

3には、後から書いた1と2の間の話も混じっているので、3をお申込みの方には、1-3の内容を時系列で再編集したシークレットURLをお送りします。Web上でまとめ読みしていただけます。
(といっても640pとかになっちゃうので、誰も読まないかもですけどね…。自己満足で自分の分だけ印刷しようかな、とちょっと思ってる(笑))(欲しい人はこっそり教えてください)

20230114「ずっと」 

「付き合うことにして、それでずっと一緒にいよう」
「一緒にいて、なにをする?」
「なんでもいい。なにか新しい、大きなこと」
 僕が何か言うたびに、君は笑ったね。まるで途方もないことを言いつのる子供見守ってるみたいに。
「とにかくずっと一緒にいるんだ」
 それだけが大事なこと、みたいに僕はそう繰り返した。
「ずっとって、どれくらい?」
「そうだな、二十年とか」
 あの頃の僕には、二十年っていうのは「一生」っていうのとそう変わらないくらい長い年月に思えた。何しろその時の僕はまだ二十年ちょっとしか生きてなかったんだし。
 そしたら、少しだけ年上の君はまた笑った。
「二十年か、いいね。それで?」
 それで?
 そう問い返されて、僕は返した。
「それで。……そのあとはたぶん、別れる」
 夢物語を語る子供の言葉が急に変わったから、きっと君は驚いたんだろう。
「そう思う?」
「永遠なんてものはないんだ。なんだって同じだよ」
 僕はそんなふうに返し、君をがっかりさせるかと少しだけ心配になった。
 でも君は言ったんだ。
「いつか別れるとしても意味はある?」
 いつか別れるとしても。
 その問いに、僕は一瞬も迷わなかった。
「もちろんだよ」

(パリ、05:59)

先週「リプライズ」と「パリ 05:59」を続けて見たんですが。
どちらも明け方にある意味「酔って」外に出て、そのまま走りだず、みたいなシーンがあって、なんだかこういう符号みたいなものに嬉しくなってなにか残したくなる、みたいな癖があるなと改めて自覚した。
まあもうこの年になるとできないので(たぶん)、そこには郷愁みたいなものも加わってまた違う味になるわけだけれども(たぶん)

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