20230115 新刊の書下ろし1
その週末、ブラッドリーはジェイクと、街はずれにある古びたモーテルの一室で落ち合った。
部屋はベッドとシャワーがあるだけの空間で、今にも雨が降り出しそうな天気の肌寒い日だった。
明かりをつけずにいると昼間でも薄暗い部屋の中は、シャワーの蒸気と安っぽいシャンプーの匂いで満ちていた。
そして部屋の真ん中に置かれたベッドは、ふたりが動くたびにきしんだ音を立てた。
「おまえ背中きれいだよな」
ブラッドリーがそうつぶやいた時、ジェイクは言葉の意味を受け止めきれないまま、とっさに浮かんだ疑問符を背後にいる男に向けたつもりだった。
けれども、相手の反応はその意図とまったく違った。
「、今ぴくっとした?」
そう言って、ブラッドリーは掴んだ彼の両手首をしっかりと引き寄せ直した。
とたんに、脚の間に入り込んだ彼の勃起がびくりと震えてかさを増したように思えて、ジェイクはかぶりを振ってそれを否定しようとした、のだけれど。