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20230114「ずっと」 

「付き合うことにして、それでずっと一緒にいよう」
「一緒にいて、なにをする?」
「なんでもいい。なにか新しい、大きなこと」
 僕が何か言うたびに、君は笑ったね。まるで途方もないことを言いつのる子供見守ってるみたいに。
「とにかくずっと一緒にいるんだ」
 それだけが大事なこと、みたいに僕はそう繰り返した。
「ずっとって、どれくらい?」
「そうだな、二十年とか」
 あの頃の僕には、二十年っていうのは「一生」っていうのとそう変わらないくらい長い年月に思えた。何しろその時の僕はまだ二十年ちょっとしか生きてなかったんだし。
 そしたら、少しだけ年上の君はまた笑った。
「二十年か、いいね。それで?」
 それで?
 そう問い返されて、僕は返した。
「それで。……そのあとはたぶん、別れる」
 夢物語を語る子供の言葉が急に変わったから、きっと君は驚いたんだろう。
「そう思う?」
「永遠なんてものはないんだ。なんだって同じだよ」
 僕はそんなふうに返し、君をがっかりさせるかと少しだけ心配になった。
 でも君は言ったんだ。
「いつか別れるとしても意味はある?」
 いつか別れるとしても。
 その問いに、僕は一瞬も迷わなかった。
「もちろんだよ」

(パリ、05:59)

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