今期というか今年のアニメ、個人的には『ネガポジアングラー』がベストだったのでみんなも観てくれよな!(リンクはU-NEXTだけどアマプラやABEMAでも配信してます
「ネガポジアングラー」をU-NEXTで視聴 https://video-share.unext.jp/video/title/SID0157054?utm_source=com.apple.UIKit.activity.CopyToPasteboard&utm_medium=social&utm_campaign=nonad-sns&rid=PM029295384
U-NEXTで近藤亮太『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』短編版を観た。
第二回日本ホラー映画大賞、大賞受賞作。
神隠し+不穏なVHSテープ映像+家ホラー。『リング』とVシネ版『呪怨』を組み合わせたような懐かしさと静謐な恐怖描写が好印象。
主張は控えめながらジワジワと神経に負荷をかけてくる劇伴と電話が切れた直後に聞こえる「お兄ちゃん」の声の不気味さが良い。
霊能力者の友人、生家の二階で物音をたてる「何か」、深い闇を孕んだトンネル、母親の変死、兄がトンネルから持ち帰ったもの。
悍ましくも蠱惑的な細部が心を掴んで離さない。
必要以上に画面を暗くすることに拘りすぎでは? と思わないこともないけど、登場人物たちが粒子の粗い映像に取り込まれていくラストは最高の一言に尽きる。
来年の一月に公開される長編版も楽しみだ。
と、嫌味っぽい感想を書いてみたが、実はそこまで不快な作品でもない。
先述のとおりシャーネレクの音楽に対する根拠レスな信頼に疑問を抱くが、演奏・歌唱パートの撮影は確かに力が入っており一定の感心は覚える。印象的な挿入歌の存在もあり『ミュージック』の題を冠するに相応しい風格はあると言ってもひとまず差し支えないだろう。
刑務所の浴場で入浴用の下駄が高々と掲げられたあとに放り投げられる場面も映画の転換点として記憶に残る。誰がなんのためにそんなことをしたのか一切説明はないが(そもそも脚本レベルでの説明を殆どしない作品だ)、意味の存在しない純粋な「運動」が映画を色付かせる(ゆえにメタレベル・演出レベルでは「意味」がある)瞬間に立ち会うのは喜ばしいことだ。
終盤、まさしく「世界の関節が外れるような事実」を知った主人公がふらついた足取りで警察署から出て行く件も嫌いではない。車のブレーキ音と警官の足元だけで事故を示唆し、とりあえず無傷だった主人公(実は死んでたりするのか?)の抱擁に移行する流れはややあざとさを感じるが鮮烈でもある。ラストの横移動も悪くないのでは(タルコフスキーの『鏡』みたいと指摘してる人がいて若干ウケた)。
アンゲラ・シャーネレク『ミュージック』観た。まず、固定カメラのライブ配信じみた映像の連なりを「映画」と呼ぶことに抵抗したい気持ちが強い。極端なロングショットも演出的な効果をあげてるとは思えず退屈さが募る。
ただでさえ分かりづらい不条理劇のような話をことさら混乱するように語ってどうするのか。「説明を排した」と書けば聞こえはいいが「説明を放棄した」だけとしか思えない場面が多い。演出家の勿体ぶった態度を「神話的」と評する鑑賞者の感性にも疑問。
映像作品における台詞やモノローグの重要性から目を逸らしておきながら音楽には無批判な信頼を寄せる。ほぼ全編に渡って迂遠な演出を誇示しながら泣く・叫ぶなどの感情の発露だけはベタに撮る。演出家の分裂したスタンスが厳しい。いかがなものか。
最序盤から伏線はあったけど、ここ数話で正ヒロイン(正ヒロインではない)のピンク髪がご都合主義的な「超人」ではなく、過去(=弟の死)に悩み傷つく血肉の通った「ただの人間」として描写されてるのがとても良くて好きだ。だからこそどん底状態だった主人公の苦しさに共感して手を差し伸べられたのだろうし、その行動に説得力が生まれる。ピンク髪の優しさはある種の代償行為(明らかに主人公に死んだ弟の面影を重ねてる)で欺瞞に満ちているのだけど、故に「人間としての行い」であり、同じ地平で苦しむ主人公を救い、今よりも少しだけ良い/善い場所(=バ先のコンビニ/釣りコミュニティ)に導く「光」たり得る。『ネガポジアングラー』は徹頭徹尾「人間/釣り人」の物語なんだな、と。
監督は近藤亮太ちゃうんか! となってしまった。
https://x.com/horror2_/status/1866679549519667372
休みの日に映画を観ます。時々、本も読みます。