M-1。Mastodonで、雑につらつら書いてみる。
それなりに演芸が好きなつもりで長年この番組(ライブに通い詰めたりしてない自分のような人間にとっては、M-1はあくまでテレビの特番)観てきたけど、そろそろまた休止した方が良いんじゃないかというのが、一視聴者としての自分の無責任な感想。
M-1決勝戦って、かつての笑い飯にしろ近年のランジャタイにしろ、常に何がしか既存文脈に対する異物=変なものが提示される場として機能しているところがあって(それが、既存文脈のリフレッシュと再強化を生む)。今回は「お笑いや賞レースについて桁違いに勉強・努力している高比良くるま」が一番変だった、ってことかなあと思った。実際、令和ロマンのネタ、面白かったし。ただ、異物性がそういう形でしか生まれなくなってるのだとしたら、単純にもうシーン全体が弾切れなんじゃないだろうか。2010年代半ばぐらいから、M-1含めたメディアがライブシーンからいろんなものを回収し続けて、そろそろ枯渇してきてるんだろうなあと。
で、個人的には、そもそも変なものを観たいから演芸観てる、っていうのがあって。
と同時に、
令和ロマンに感じるある種の「裏笑い性」ってシーンとしても臨界点的なものではとも感じてて、そしてそれって「話芸」の持つ自己矛盾っぽい特性だとも感じています
キャラやシステムではなく純粋な「話術」って笑わせる時にどうしても裏笑い的になるっていうか、なのでM-1というショーは漫才の頂点を謡いながらも、純粋「話術」みたいな芸のタイプが優勝したパターンってそこまで多くない印象があります
自分の個人的な感覚ですが、「話術」をそのまま漫才のフォーマットの中に落とし込んでるチャンピオンって、ますだおかだ、とろサーモン、あとTHEMANZAIだけどウーマンラッシュアワー、そして今回の令和ロマンだけしかいないと思います
そして、
その策略的な面は際立ってゆくと"裏笑い"領域に突入してゆくので、過剰性と共にくどくなったり、切れ味が鋭くなったりすると思うのですが
くるまさんの「M-1好きさ」が、それを上回ってくるから狂気として怖くならないんだと感じています
純粋に何千時間もマリオ64だけやり続けて「ぁ、こんなところにバグがある!ということはここを通れば0.5秒短縮できる〜」って喜んでる変態みたいな
やってる事はハッカーと一緒なんだけど、目的がシステムハックじゃないから危害がないという
井口さんは状況とか境遇があっての
「革命戦士」感があるから、毒を含めた悪態と構造批評的な振る舞いがギリ許されてるというか
くるまさんは、ただただM-1が好き過ぎて狂っちゃってる感じがするから見てる側のマイナスな感情が湧きにくいのかなと思いました
M-12023
令和ロマン優勝 カッコ良かったです
単純にマンパワー的な強さ、勢いを感じました
ロジカルでクレバーでテクニカルなキャラクターだけど、実は一番パワーでどうにかしてるというか(特にくるまさんが)
令和ロマンの漫才って、
くるまさんの喋りの能力の高さで構築されてる話芸によって、「漫才」に無理矢理建築している部分もある気がして
でもそれが凄く爆発力を生んでるのではと思いました
個人的閲覧用「無意味グラフ」まとめ
https://togetter.com/li/2253668
まつもto なかい に出た時のビートたけしが
麻原彰晃とトークしてる時のビートたけしに似てると思った
https://natalie.mu/owarai/news/551452
【新連載】
コメカとパンスの批評ユニット・TVODのウェブ新連載スタート。「負けること」について、ふたりの往復書簡の形で考えていきます。初回はぼくからです。
TVOD 「白旗を抱きしめて 〈敗北〉サブカル考」 第1回 「敗北」について──コメカより | 生きのびるブックス
https://ikinobirubooks.jp/series/tvod/1687/
こちらで記事を書かせていただきました。松本人志監督映画について感じている事について。ぜひお読みいただきたいです。よろしくお願いいたします😊
【視力のお笑いシネマレンズ】第1回 松本人志監督作品の面白さ
https://movietoybox.com/archives/2023/05/31/2047/
こちらで記事を書かせていただきました。北野武『首』公開記者会見を見て思った事を書きました。ぜひお読みいただきたいです。ご感想もお気軽によろしくお願いいたします。
【特集 北野/たけしの映画世界】北野武『首』公開 記者会見を見て
https://movietoybox.com/archives/2023/11/27/3072/
https://youtu.be/UtmNy_WGE7M?si=WVXqpadZt_Ujhu4W
トニー谷さんのリズム芸の上手さと、高飛車でインテリ振る舞いをする毒舌芸は、オリエンタルラジオの中田さんを彷彿とさせると感じています
北野武『首』、とりあえず
北野武『首』。
映画としてどうかは置いといて、「ビートたけしファン」である自分には正直意外な出来、つまりとても良かった……。この数年ファンから幻滅され続けてきたたけしの晩年ムーブがフリになった、嗤いとニヒリズムの強烈なカウンターパンチ。もはや都市伝説と化した「たけしさんが飲み屋のお会計済ませてくれていて……」みたいな「美談」まで含め、残忍なギャグに転化される。芸人というロマンティシズムも映画という「権威」もすべて、「売れてねえくせによ!」という嘲笑で蹴り飛ばされる……のだが、そういう自分自身が最終的にきっちりフレームのなかに収められるという、何重にも冷静なニヒリズム。もうたけしはボケた!と誰もが思っていたのに、まだ振り子が止まってなかったんだ……という……。
しかしまあ過去作やたけし軍団、お笑いウルトラクイズやたけし城、戦メリばりの全画面笑顔などなど、キャリア総まくりの集大成で、大森南朋はそのまんま東に、浅野忠信は谷隼人に、中村獅童は島田紳助に見えてくる(笑)。「戦後日本のテレビ史」を知らない人にはどう観えるんだろう?