福岡市立総合図書館シネラでチェチリア・マンジーニ作品集を観た。「都会の名もなき者たち」ローマ郊外の10家族が雑魚寝するアパートの狭い一室から街の中で電車賃もない少年たちがたむろしゴミの山から拾い集め石灰を口に含んで吹き付けて遊びどこからともなくかけてきた群れに溶け込み丘を駆け下り川に飛び込む。「女に言い寄れば一人前の男になれたような気になるのだ」というナレーションのマチスモに対する眼差しと少年たちの尋常ではないエネルギーの躍動を映す眼差し。
「ステンダリ 鐘はまだ鳴っている」ブーリア州の葬式に集う女たちの様式化した嘆きのドキュメンタリーでスカーフを三角に折って両手に持ち棺を囲んで左右に揺らす身振りや踏み鳴らす足、女たちの顔のアップ、背景に止まる男たちの横顔、とダンスみたいにリズミカルに切り替わる。最後棺が男たちの手で家から運び出される時現れる司祭が首のとこでスパッと切られていて棺を囲む女たちとの対比ですごい画面になってた。
「マラーネの歌」あ、あ、あ、あ、と声を上げる少年の顔が顎から見上げるような角度でスクリーンの下から徐々に上にいく冒頭が無茶苦茶かっこいい。そして子供たちのスーパーノヴァみたいなエネルギーの爆発が凄まじい。しかし栄養失調寸前で空腹を小さな川魚やカエルで紛らわす状態でもある。
怖かった…緑の牢獄。転げるように逃げていく後ろ姿と森が緑の牢獄に見えた後のMary Last Seenの一文の容赦なさ。
アイアンクローはショーンダーキンなのでまあ間違いなかろうという安心感があります この短編みたときはこんな怖いのよう撮るな…って震えた https://vimeo.com/87582861
『ザ・キラー』見たわよー。身も蓋もなくて面白かった!ようやくフィンチャーが「キャラクターのドラマ」をやめてファイトクラブみたいなモノローグで引っ張り続ける「世界観」のダークコメディをやることを自分に許した感がある(睡眠薬の効き目の読み上げとかそのままパラニュークやんけ)。
ファスベンダーの撫で肩がきいていて、立ち姿のそこはかとないおかしみがキメキメにならなさを担保してくれる。無感情なわけではなく無感情を言い聞かせてる人間にも機械にもなれない間の身体。その盛り上がらないお片づけタイムに同行する2時間。
で?という話をこれだけ面白くできるんだから素晴らしいわね。せっせせっせと人が動いてるだけでドラマはこれくらい虚無でいいのよ。世界のシステムは虚無で、俺も虚無で、しかし最強の虚無は虚無ゆえに生き延びる、ルーティン、ルーティン、ルーティン。普段と違うことはやらないほうがいいものさ。ルーティン、ルーティン、ルーティン。
なんかソダーバーグ(昔から仲良しで近い存在と目されてたときもあるけど実はかなりタイプが違う監督)にいちばん近づいた(けどやはりそこはソダーバーグよりだいぶわかりやすい)フィンチャーが見られた気がする。微睡ながら細かく震える瞼のごとく、動き続けるただそれだけよ
『November 』強烈に記憶に焼き付いているのに説明ができない...悪魔と疫病と愛する人を欺く人間が生きる、精霊で満ち満ちた世界。
@vertigonote なんかよくわかんないものが映画の隅々まで満ち満ちてた!きれいはきたない!
ライナル・サルネット「November 」をようやくみた。始まって5分で居住まいを正し終止ええっとなりながら終わった。悪魔の登場シーンが見たことないやつだった。クソの混じったパンから美しく悲しい場面への移行がすごい。なんだこれ。カーニバル性と抒情と糞。えらいもんだ。
@kerokerokerota サリーの目が完全に光を失っていてホラーでしたね。抜けるような青空のもとポツンと建っている家で親は完全に判断力がおかしい。恐怖。
@kerokerokerota ありがとうございます。そしてわたくし一話間違えてて5話だと思っていたのは4話でしたわ。でも5話も凄かったです。子供の福祉!公教育!社会から切り離されてどんどん語彙を失っていく親とその教育だけが頼りの子供。恐ろしすぎる。
筏