メディアは一刻も早く「体の性/心の性」という言い方をやめてほしい。「出生時に割り当てられた性別」という言い方を覚えてくれ。
あと「性同一性障害」も「性別不合」に変更されたはずなのに(ICD-11で)、ここにきてこの語がめちゃくちゃ使われてるの違和感しかないんだが、そもそも「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」という法令なので、「性同一性障害」という語が前に出てきてしまうんだろうな。そしてこの特例法のインパクトは確かにすごかった、この特例法ができた2003年ごろの認識でとどまっている人も多いのかな…と思う。
トランス差別言説、とにかく「出生時に割り当てられた性別に絶対に依拠する」というところから頑なに動いてくれず、「トランス女性は(心が女性の/女性的な装いを好む/女性になりたい)男性」という認識なので、どれだけ言葉を尽くしても平行線なんだよな。いや前提が違うんだ、といくら言っても届かない。女であることがめちゃくちゃしんどく、女をやめたいけどどうしようもなく女、というトランス女性もきっといると思うんだけど、こういうことはまったくわかってもらえないだろうという絶望がある。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240710/k10014507081000.html
「リベラルは移民やLGBTQなど少数派のことは気にかけるがマジョリティのことは考えてない」のような指摘がトランプが最初に当選した時以来、(日本の)メディアに溢れた現象について。一見もっともらしいが、これは全体主義を煽る危険な話し方だと思う。何故なら、そもそも多数派は投票で政治の行方を変えられる強者だからだ。マジョリティを気にかけろとは、結局強者に媚を売れと言うに等しい。私が思うに、知識人や文化人、メディアの役割はそれではない。むしろ、それらの役割は少数派の声もきちんとすくって伝えることだと思う。監視すべき権力には政府だけではなく、多数派のそれも含まれるのだ。
実は私も一瞬、「マジョリティを大事に」の声に騙されかけた。しかし、サイードの『知識人とは何か』を授業で扱った時に目が覚めた。多数派は危険な人たちで、自分も含め誰もがその一人になる可能性がある。だから、皆が余裕がない時ほど、少数派は気にかけられなければならないのだ。
学校が爆撃を受けて、子どもが40人も亡くなる。これがもし日本やアメリカなんかで起きていたら世界のトップニュースだろう。ガザで起きても「またか」とスルーされる。つぶやくのはいつも通り、自分の日常のこと推しのこと。私達は虐殺が日常化した世界に生きている。多くの人がスルーし続けた結果。
日常、己事、猫
FtM/Ace HSP