Spotifyの「再生回数1年間1000回以下は収益化対象外」の問題は、自分が過去音源をリリースする直前には承知していた。だからあらためて告知されてもあまり驚かない。再生数<1000の私には一銭の通知もないし、端から期待していない。ただ、配信する立場になって、不親切なSpotifyへの信頼は皆無になった(前にも書いたが、Spotify for artistの対応はクソだ)。
サブスクリプションという制度じたい、極論すれば文化資本の搾取みたいなものだ。とりわけSpotifyにはその姿勢が顕著だ。<楽曲がノイズコンテンツと判断された場合、再生および販売収益の計算式が変更されます>との酷薄な告知にも、アートと表現者への敬意は微塵も感じられない。ナニサマよって感じがする。
私自身は配信する手段として今後もSpotifyを利用するけれども、一リスナーとしての興味はずいぶん薄れた。聞くだけならApple Musicのほうが(音質を含め)まだましだ。KKBOXでもOTOTOYでもいい。Spotifyだけがサブスクではない。世界一のシェアを誇るからといってあまり驕らないほうがいいと思う。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ee7abd760a2a4715e4f1771738e2cb7b86daafc0
"Spotifyは今月から年間再生数が1,000未満の曲には楽曲利用料を支払わない新ルールを施行した。このルール変更によりSpotifyにアップロードされた1億曲のうち6,200万曲が無報酬となる。2022年、Spotifyで年間1,000再生未満だった曲は全体の62.5%だった。"
なんかこういう、すでに儲けてる奴がさらに儲けるだけみたいな仕組みが加速してるよなー。余裕がないというかケチ臭いというか資本主義というか。
ヤバいファンの話
昔から「大好き!」とつぶやきまくるヤバいファン(とすると、ファンとはなにか?という疑問もある)になりがちだったんだけど、アイドルやヴィジュアル系ファンのときはだいたい周りがヤバいファンなので紛れることができた。だが、ヴィジュアル系以外のバンドはそういうヤバいファンが発生するようなビジネスをしていないので、そのようなヤバいファンは浮きがちだった。だいたい1000人以上キャパくらいになると、バンドマンをアイドル視するファンが増えるので大丈夫な印象。アイドルとヴィジュアル系はそういう”大好き!”という気持ちをぶつけられるビジネスだと思っている。あのnoteの”ヤバいファン”もデカ規模のアイドルを好きになっていれば、ここまで拒絶されることはなかっただろう。他にもたくさんそういう人はいるので。
消費は政治だってのはわかるし、聞こえはいいんだけど、逆に最近「政治は消費だ」という側面が強くなってきており、そこに居心地の悪さを感じてしまう。「私はこれを買う」「このように買う」が政治であり政治力なら、そのような購買行動ができる人、選べる人が、「政治的な正しさ」を購入できる余裕を顕示することで、他者からの卓越を主張する側面が強くなっている。そしてそうした振る舞いがSNSで伝播することで「場所や環境にかかわらず」正しいとされてしまうし、「選べない人」が容易に忘れ去られてしまう。そしてさらに「消費は政治」から「政治は消費」の逆転は、政治の商品化にまで至る。「この本屋さんを買って応援」「このラーメン屋さんで食べて応援」と言えば聞こえはいいが、本来であれば差異のない商品や購買行動に差異を生み出す装置として、つまりは新しい商品を産出しつづける装置として、そこでは「政治」が機能してしまっている。
国民年金月6万円でどうやって生活していくのだろう。厚生年金が足されてもたかが数万円。しかもそこからガス水道電気代、そして毎月の保険代がどんどん差し引かれるとは。
オーストラリアの国民年金は満67歳から年額約220万円。税無料。家を持っているのが前提。だから賃貸の人にはそこに補助が上乗せされる。水道ガス電気代運転免許書き換え車両保険は半額。バス電車運賃は市内と郊外は無料。医療は診察代ゼロから約2000円まで診療施設による。処方箋つきの薬代はいきなり今までの10-20%に。
だから、日本で掃除やスーパーのガードマンなどの仕事がほとんど70歳代以上で占められているのを見ると、胸が締め付けられる。