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今年のクリスマスらしきものの記録。
祝いというより普段とは違うことをしたいくらいの気持ちだったよなぁ、と今年も改めて思う。しかしこうイベント感のあることをできるというのは、幸運なことなんだよな。

本当に久々にホールケーキを購入。かわいい。さくらんぼかわいい。地元のドイツ菓子店のシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテを。これがキルシュの風味!と納得。そして美味…普段なかなか食べない味は楽しい。自分的には贅沢をした。2日にわたって食べた。

普段食べないものを食べたい作ってみたい洋風のもので、ということで鶏のオリーブ煮を作った。オリーブの味がアクセントでいい仕事をしている。ほどほどのやる気しかなかったので、焼いて煮るだけの簡単なものを。簡単なのは大事。他に市販のサラダ2種(美味しい)と600円と安い白ワイン(ほどよく美味しい)を一緒に。豪華ではないが、満足感は高かった。

『ポトフ 美食家と料理人』観た

1880年代を舞台に、美食家ドダンと料理人ウージェニーの料理と愛の人生。二人(と下働き)がきびきびと動き熱を込めて料理を作る様子がじっくりと描かれるのが良い。手間を惜しまず、素材を贅沢に使い旨みを引き出す料理の数々。美食倶楽部の面々も美味しそうに堪能するので、こちらの胃も刺激される。

観ていくうちに、二人にとって料理を作り食べることは芸術であり思想であり、それこそが生活で人生なのだという事が分かってくる。のだけど、こういう食、料理に情熱があり理解する能力がある人間以外はお呼びでない感じがあり、少し冷めた感じで観てもいた。美しく素敵には思うのだけど。なので下働きのヴィオレッタの気分で観ていたかも。彼女が時折微笑みながら働き、見つめているのに親近感。

それでも、二人の関係を進める決意をしたウージェニー、共に料理を作り上げる関係こそが最上の人生で幸福じゃない?と考えるウージェニーに答えたドダン、彼らの優しさと敬意ある関係は愛おしく素敵だと思えた。かけがえのない彼らだけのパートナーの形。

映像、音、光が大変繊細で美しくて、惜しみない料理への情熱の息づかいを楽しめた。

『帰れない山』観た

イタリアの山間で12歳で出会い繋がった男二人の友情の軌跡。そこに確かに友情はあり寄り添って過ごしたけれども、人間は絶対的に孤独なのだろうと思い知るようで、寂しい映画だったな。良かった…

山の民として生きる者と、山を愛しているが山の民のようには生きれない者。二つの生き方の差というよりも、人生の速度やタイミングがそれぞれであったことによる悲しさを強く感じる。主人公が「共有した時間はなんだったのだろう」と言うが、そんなこと言わないでよ…とものすごく悲しくなった。主人公の居場所の定まらなさの苦しみは手に取るようにわかるが、ブルーノの苦しみは見えにくいんだよね…彼がもっと語る言葉を手に入れていたなら、何かが違ったのだろうか。

大人になってからの友情は淡白に見えるけれど、会わなかった期間があるし、12、13歳の頃の距離の縮まりとお互いを理解してる様子があるので、いい関係だなと見えた。お互いにうっすらとした憧れや嫉妬を持ち続けたんじゃないいかな…なども思う。

登山中人物をカメラが後ろからとらえるが、それが雄大な山々と接しながらも内に内にと内省している、人間の自然との向き合い方を写しているようで良かった。山々の風景が素晴らしくて、自分も山と向き合いたくなる。

『帝国の亡霊、そして殺人』読了

1950年代初頭、インド初の女性警部ペルシスがイギリス人名士の殺人事件に臨む。ミステリとしてはオーソドックスながら舞台設定が興味深く、イギリスからの独立・印パ分離独立の混乱の暗い影、女性蔑視の社会や組織の圧力が絡み合い、事件捜査が展開され面白い。ペルシスが自身の在り方に悩みつつも猪突猛進といった様子で正義の捜査に向かう姿は応援したくなる。開明的ながら頑固でつい減らず口を叩く負けない性格なのが、危なっかしくもありハラハラ。
独立への歩み、印パ分離時の混乱という言葉では簡単すぎるインド社会の重たい動揺の一端が窺い知れる。独立を闘い続ける難しさ。
ペルシスの「いつから真実はどうでもいいものになったんですか」「将来に善を成す機会を残す」といった言葉が鮮やかに感じた。
次作も楽しみだ。

おやつにガトーナンテとミルクティー(ウバ)。
地元の映画館のカフェ売店に、地元の別の珈琲とお菓子のお店の焼菓子が販売されていて。試しに買って食べたところなかなか美味しかったので、映画を観に行った時はできるだけ購入している。
今回のガトーナンテは初めて見かけた。説明にラム酒を使用と書いてあったので、酒風味!買わねば!と購入。酒を使ったお菓子に目がないので…
ラム酒もほど良く、アーモンドがたっぷり入っていて、期待を上回る風味だった。フィナンシェの方向だけどまた少し違う。しっとりしたアイシングもいいね。このお菓子を考えた人、フランス人ですかね?流石だね。美味しく作ってくれたお菓子のお店もありがたや。私的には、焼菓子が美味しかった時の満足感というのはじんわり長く続くものなので嬉しいのだ。
映画館での販売は手にとりやすいので、今後も続けて欲しい。まだ他のお菓子も試してみたい。

『マエストロ:その音楽と愛と』観た

バーンスタインの芸術面というよりもその人物像、彼と妻フェリシアの愛情の話であったのだが、恐らく意識的にドラマチックにしない、夫婦愛といっても哀愁が漂う愛ある関係の難しさの視線での話で、個人的には面白かった。バーンスタインになりきったブラッドリー・クーパーも大変良かったし、何しろキャリー・マリガンが素晴らしい。言葉にしない感情の表現が好きですね。二人の会話の親密そうなのが(説明しきらない台詞なのもあるが)、観ていて本当に面白いし心地よかった。
バーンスタインなりきりと言えば、メイク、メイクが凄い。本人の顔はきちんと認識していないが、ブラッドリーであってそうでない具合が見事。皮膚の質感も見事すぎて、初アップ時の老けメイクの自然さにちょっと驚く。メイクはカズ・ヒロさんと後で知って納得だった。
一番面白かったのは、技巧を凝らした映像。色々全然詳しくない自分でも、凝りに凝ってる~!とわかる。ショットや画面サイズに質感、白黒とカラーの切り替えなど、上手いんだろうなぁ。映像については特に、本当に観ていて楽しかった。
音楽も詳しくないですが、全編バーンスタインの音楽鳴りっぱなしで知ってる人は耳が楽しいと思われるし、実際素敵だった。

『永遠に僕のもの』観た

1971年の実際の事件を元に。所謂サイコパスと思われる青年、「世の中の全てのものは自分のもの」と語るように窃盗が"得意"なのだが、しかし得られないものもあったのかもね、という彼なりの孤独や虚しさに視線を向けた作品かな。

主人公はラモン青年とその家族と出会い次々と犯罪を重ねていく。この家族が窃盗稼業をしているのが自然に語られるのでまず驚く。主人公がこの犯罪者達とも明らかに思考回路が異なるというのも自然に見えてくる。迷いなく欲のままに動いているようで、しかし彼自身が明確に認識できずに手を出せないものの周りを漂うような様子に、彼は今何をどう思っているのだろうかと惹きつけられるようだった。思いがけず、ラモンとの距離の揺れが情緒たっぷりで良かった…。

感情や行動が想定の横を行く感じ、また見目の麗しさに無垢を感じ取ってしまうように、危うさにも美がある様に撮られていて、なかなか好きな作品だった。色使いもいいし、音楽がとても好みの感じで、大好きですね。ダンスもとても癖になる感じで、良い。

『ナポレオン』観た

ナポレオンの心を占めたのは、ジョゼフィーヌと戦争。個人的で卑近なものと、他人と欧州の命運を巻き込む重大ごと。この二点を対比させることで、偉大な英雄で皇帝に上り詰めた存在の滑稽さと虚しさを焦点にした作品という印象。普通の伝記スペクタクル作ではない。

ナポレオンとジョゼフィーヌの愛憎のような主導権争いのような、超パーソナルな関係変化のドラマ、私的には好物なので面白かったけれど、期待を越えるまではいかないかな…という感じ。史実ではジョセフィーヌが年上なので、ホアキンとヴェネッサ・カービーだと絵的に違和感はぬぐえないんだけど、ヴァネッサの堂々とした演技と雰囲気、ホアキンの甘えとナイーヴそう性格をみせる演技でかなりカバーしてたと思う。ホアキン、こういう役上手いな。

戦闘場面はさすがのリドスコ監督、壮大でリアリティあって見たいものを見せてもらって大満足です。映像もリッチ。景色のでかさと泥臭さ、本当に良いよねー。主にアウステルリッツとワーテルローの戦いを取り上げ、本当にこの二つは見応えあった。

『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』観た

金に困った三十路女が金持ち夫婦の内気な息子の筆おろしの仕事にありつくラブコメ…とひどい倫理観の設定なのだが、これが案外真っ当な作品で。後半どんどんきちんとしたところに落ち着いていく。いいじゃないのこれ。

マディがパーシーの幼さに一切つけ入らないところ(訴えようとするのは男の部分に。しかし強引すぎるw)、年上の方がひどい目にあうユーモア担当、打算とロマンチックの狭間でてんやわんやするうちに傷を負った者同士の心の交流になっていくのが良いよね。最後はパーシーの気持ちを思って少し辛くなった。久々に人と親密になるのっていいよね…と自然に思った。素敵な作品だよ。

ジェニファー・ローレンスがもうめちゃくちゃ体を張っていて凄い…!乳の振り乱し具合に本気を見た。海は…海でそれやられたらそうなるわな、仕方がない。笑った~

当然演技も良くて。ピアノの場面の感動と喜びと少しの罪悪感と戸惑いの表情(と私は見た)は流石。こちらも感動してウルっときた。重い哀しみもどこか乾いた感じを漂わせるのが上手いし。彼女の人との距離の見せ方が本当に好きだ。

配信スルーで期待してなかったのに、楽しく素敵なところのある作品でなんだか嬉しかったな。

おやつにチョコミントサンドとミルクティー。
前にちょっと話題になってたやつ、チョコミント好きとしては食べてみたかったやつが、身近で販売になった!ので入手!(それでもまだ北の大地限定)
予想よりもミント感が強めで、なかなかいい感じじゃないでしょうか。チョコ具合もきちんとある。清涼感があると普通のホイップよりするする食べてしまうね。
290円なら繰り返し食べてしまうかもね(330円なんだよな〜)

『ワーキング・ガール』観た

仕事と人生を頑張りたいのに、社会からは女だからと、女上司からは秘書だからと侮られ、頭にきたので勝負に出てやる…ってのは良いけど、組織に属していて取引相手もいる中での偽装と出たとこ勝負は、発覚した時のダメージを想像してしまい見ているのが無理…ストレス…他の話が楽しくても気になって駄目だ…!主人公、胃が痛くなるとか言ったけど、全然そんな風じゃないだろが、肝が据わりすぎだよ!

運と”実力"で乗り切るのが良かったね。「仕事」コメディで期待するところが見れて良かった。真面目に仕事熱心なのも描かれているし。あと、主人公がよく気が回るのを描いた上で、自分と同じ立場の者を慮れる場面があるのが素晴らしかった。一番好きな場面だ。

爆発したんかというくらいの髪型とメイク、肩パットがすごいのがとてつもなく80年代!という感じ。でもこんな感じで労働してたのなら、とても自由だなとも思う。それでも通勤風景は労働者で、ちょっと感慨深い。
ハリソン・フォードがオフィス(あのガラス張りの)で着替えて裸体が見えると女性陣の歓声が上がるってのも時代を感じる。そんな訳あるかい。ファンタジーだよねー

本日のおやつにガトーショコラ、紅茶はウバ。
近所に最近出店してきたケーキ屋で初めて買ってみた。ほどよくしっとり、ほどよく甘い。ホイップもいい味。美味ー。これしか食べてみてないけれど、味の傾向が好みっぽいのが嬉しい。近所のお店が好みの味なのは大切なことだな。
それにしても、ケーキのお値段も高くなったよね…つらい…!

『テノール! 人生はハーモニー』観た

下町育ちのラッパーが偶然オペラに出会い、才能を見いだされ、オペラに惹かれ、歌手の道を駆け上がる。畑違い、社会階層の違いを乗り越える王道展開で安心の楽しさ。

この手の作品って主人公が挫折を乗り越える時に、階層の差を越えた共感とか、家族やメンターの助力など「孤独ではない」ことが取り上げられるのが多いかと思うけれど、この作品は自分の居場所がないと思う主人公に「自分で立て、その場所が居場所だ」と強気回答をするのがちょっと独特で面白かった。「自分の好きを信じて進むこと」に焦点がある作品なんだよね。下町の文化・生き方よりいわゆるハイソな文化に惹かれる、アイデンティティの葛藤。そのドラマが、悪く言えば浅い、良く言えば湿っぽくなく描かれた感じ。

でも、階層差を感じる描写が色々あり面白かった。嫌な男がいい奴で、優しい彼女が自己中パリピな意外性も楽しい。

オペラの歌唱に触れて感動する様子、先生が彼の表情を確かめる様子がしっかり表現されるのがとても良かった。先生の踏み込みすぎない距離感も心地よい。フランスっぽいなー。

お決まりの主人公の隠れた才能が発見される場面、あれが特に鮮やかでねー。観ていてしっかり「おお!」と感じる。冴えた出来だと思った。面白かった。

『ベネデッタ』観た

17世紀ペストの時代、信仰心というか"神がいる状態"を信じるというか、とにかく信じぬく人間の圧倒的強さを見よ!という感じで、ベネデッタのブレない自信と信心で権威を掴みのし上がっていく様に、周囲も観客も震える作品だった。己を生きる事にこうも真っ直ぐだと、そうか行くところまで行ってしまえ!と応援するような、楽しくなってしまうね。

彼女の奇跡は本物か自作自演か?と疑いながら観るわけですが、個人的には途中からキリストの幻視が無くなった辺りから距離が出てきて自作だろうと解釈したけれど(幻視している事すら疑いの余地ある)、ベネデッタの揺ぎなさ、欲すらも信心で包み込んでしまう力強さに、どちらでもいいや…!という気分になるので面白い(そういう作りになってたと思う)。
幻視のキリストがとても俗っぽくて。彼女の願望だよなあ。

教会のビジネス側面、信心なぞない修道院長をシャーロット・ランプリング様が締まった表情で魅せる。一瞥の冷ややかなこと。醒めながら最後にベネデッタの枠に押し込まれていくのが、いやー面白い。
女性の全裸がばばーんと堂々と登場するのも清々しくて良いね。

『レンフィールド』観た

ドラキュラってパワハラ・モラハラじゃね?と気づいた下僕が共依存から自由になるため闘う!その過程で人体も派手に粉砕!血飛沫とびちる!という感じのポップさと真面目さが良い塩梅の映画でした。

共依存からの脱却過程が結構しっかりしていて。自助グループに参加する。共依存関係と自己尊重の気づきからセルフケアへとか。甘言と脅しを使い、恐怖・恥・罪悪感を植え付けるドラキュラのモラハラバリエーションも豊か。

共依存関係の見せ方がやや物足りず、ホルト君の気の毒演技力でカバーしてる感じが惜しいかな…。下僕の能力ももう少し見れると楽しかったな。

・ホルト君の、屈しない警官かっこいい…ほわぁ…なってるのがいい。キュートだね。気の毒青年役が合うよねー
・ニコラス・ケイジの「自分は全能なる存在だ」の台詞中に「ウーッ」って地味に興奮する演技、いい。楽しい。ああいうケレン味本当に上手。もっとやって。
・マフィアの坊のチャラいチンピラ具合がいい。マーク・ゲイティスさんに似てる。
・マフィアの母ちゃんがハスキーで強そうなのがいい。
・冒頭の古い怪奇映画演出の質がいいし、エンドクレジットもこだわり。
・勢いよく人体破壊されていくアクションが軽快でいいね。人体爆発!
・腕ヌンチャクは笑う

催事のスコーンパーティ with TEAに寄り道してきた。
リントンズのミルクティーを飲んでうまうま。ビスケット付きなのが嬉しい。
スコーン3種(ピコ・ティー・エディンバラ)
茶葉50包とショートブレッド缶(リントンズ)
チャイのブレンド茶葉2種(モクシャチャイ)
目移りしてスコーンが控えめになってしまったー。くるみブルーチーズのスコーンが楽しみだ。あとミントが入ったチャイ茶葉もあってこれも期待。
自宅喫茶が捗る!

『ナポレオン 最後の専制君主、最初の近代政治家』読了

12月の映画に向けて予習で読んだ。ナポレオンを含めてあの時代の欧州の歴史が本当によくわかっていないので…
研究者による研究書よりの伝記という感じでしょうか。各論ではなく、ナポレオンの生涯の一連の流れに沿って書かれているので、全然詳しくない自分にとっては予習に選んで正解だった。王政を革命で倒したはずなのに、帝政になるってどうしてよ?程度のざっくりした疑問(なんかこの辺りの所からわかってないんだよね…)に、おおよその回答をしながら進めてくれる感じが良い。
まさに時代の狭間に生きた人物の複雑さ、挫折した貴族青年から最高権力者、古さ(例えば身分への保守性)と新しさ(私有財産制の獲得・堅持)の二面性が特徴的だという論で、面白かった。

『ベティ・サイズモア』観た

夫の殺害目撃という強ストレスのために妄想の世界に逃避し旅に出た女、その女を妄想しつつ追う殺し屋のロードムービー?な人間ドラマ。ほんわかゆるコメディな空気を切り裂くように勢いのあるバイオレンスに絶句…!この独特の雰囲気がすごい。面白い。

妄想・虚構に逃げる姿がスリリングで痛々しい、のではあるが、妄想・虚構を愛し行動したのは立派な力でもあるからと肯定する素敵さがある。救って救われるのがモーガン・フリーマンだから故の説得力でねじ伏せる感はあったけど。
道中のバーの女性店員が一度きりのローマの旅を語るのがとてもとても良かった。共感とその後のかばいも最高。だから最後にベティが旅に出ているのが嬉しい。逃避の最中でも、人生での変化繋がっているのがね。

ドラマの俳優達との絡みは、病的な妄想だといつ判明するかハラハラして嫌な感じだったな。空気がおかしくなる予感というか。ねぇ…

お!アーロン・エッカートだ~と思ったら最低のどクズだしいきなりエグい暴力に遭うしで困惑w オセージ族の話が出てきて、花殺し月の殺人を観たところで予想外にタイムリー…と思ったらこれだよ。一応差別批判の文脈だったな。
ゆるゆるファニーなのにスリリングでどう纏めるか予想がつかず、不思議に面白かった。

『PIG ピッグ』観た

たしか宣伝では「俺の豚を返せ」「リベンジスリラー」とうたっていたはずだが、実際は愛するものに素直すぎる男の静かな悲哀のドラマじゃないですか。すごい好きだった。
終始ニコラス・ケイジが内に感情を抱えたまま表情硬くうろつくのが流石の演技力。そのロブの過去の事情がじわりと明かされるにつれ、愛する者・ものへのひたむきさとその結果の悲しみが見えてきてね。純粋さがすごいんだ…出会う人々がその姿勢に圧倒されていくので、まるで徘徊する薄汚い伝説の聖人の様で。説明しすぎない想像する余白があるのが、余計に謎めいた感じにもさせるんだよね。いやー悲哀だよ。
で、成り行きでロブの相棒になる軟弱青年アミールを演じるアレックス・ウルフ君が!とても良い!すごい好き。ロブを知るたびに呆然とする感じ、場の圧力や年長者に負けてしまう感じ、心の弱さと優しさが同居してる感じ、本当に良いなー。感化されて自ら料理に向かう、あの場面尊いよね…。
予想外に好きな作品で当たりだった。ほくほく。

『スーパー30 アーナンド先生の教室』観た

「家の子供を教育すれば、家、家族、親、次の世代全ての人生が変わる」が至言。貧困階層の教育の為にまさに命を懸けて私塾を立ち上げた先生と生徒の実話。好きな話に決まってる、のは置いておいても社会派な内容をほど良いエンタメにした作品で面白かった。
主人公アーナンドがいかに信念を曲げずにいたかに焦点が当たっていて、挫折しそうな局面で常に父親の薫陶や自身の経験に奮い立たせられるのが良かった。それらの場面の演出も、リティクさんの演技もしみじみとした様子で好きだ。
その分、具体的な指導内容はエンタメ要素で見せる感じではあったかな。でも精神面の指導はやはり素晴らしくて。貧困階層という気後れが能力を発揮することを妨げる、その心に勇気を持てと言い支える大人がいる事、それが如何に大切か。しみじみ感じるよ。それを経ての突然のホーム・アローン感はとても楽しかった。知識ってのは使えると面白いよねー。知は全てを打倒する!的歌唱も荘厳で闘志が湧きたって良かった。笑
そして世界最難関の一つインド工科大学への受験結果が事実だって言うんだからすごい…。能力を支える精神を持たせてあげる事、本当に大切な教育の本質の一つだよね。よい作品だった。

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