『鋼鉄紅女』のネタバレ含む
二足歩行ロボットに興味を持てないので(その設計にメリットってある? と思ってしまう……)、だいじょぶかな~と不安でしたが、ド直球の男尊女卑社会ぶっ壊し小説でしたね。ロボットには最後まで関心を持てませんでしたが、大変爽快でした。男VS女の構図でいくんだろうか……と最初は警戒してたけどもそういうわけでもなかったですね。とはいえ「男子」「女子」の括りが強いような……というのがちょっと気にかかったんだけど、たぶん話の主題としてこうなったのかな。というか著者がノンバイナリーの方だそうで。モノガミー規範も蹴っ飛ばしていくのも楽しかったです。植民地主義にも言及していくようなラストでした。
というかですね、「親を許さない」物語が不足しがちだろという悲しみを容赦なく吹っ飛ばす展開ですごかった。容赦ねえな!!
『鋼鉄紅女』シーラン・ジェイ・ジャオ(Xiran Jay Zhao) 中原尚哉 訳
読了。面白かった~~!! 最初「結構分厚いですね……」と思いましたがするする読んでしまいました。
『ACE アセクシャルから見たセックスと社会のこと』アンジェラ・チェン(Angela Chen)、 羽生 有希 訳
読了。まさか人文系(でいいのかな)の本を読んで泣くことがあるとは思わなかった笑。電車で大変なことになったぜ。
本書には頻繁に「フツー」という単語が出てきます。ただ、ここで語られているのは、「“フツー”に抗え」というよりも、「“フツー”にはまれないひとたちを排除するな」だと感じました。まあ行き着くところは同じかもしれませんが……。ここでいう「フツー」とは、規範であり、常識であり、ステレオタイプであり、そして「理想の在り方」でもあります。規範に抗う世界でも「フツー」は生まれ得る。
訳者あとがきで『トランスジェンダー問題』と併せて読むことをお勧めしています。いやあ、読んでよかった。
『ACE アセクシャルから見たセックスと社会のこと』アンジェラ・チェン(Angela Chen)、 羽生 有希 訳
すごくいい!!!!!!!!!!!
『辺野古入門』熊本博之 (ちくま新書)
読了。米軍基地が普天間から辺野古に移設する経緯といった基本情報から書いてくれているので本当に「入門」として最適だと感じました。読んでよかった。
「辺野古の基地建設に「反対」を投じない住民」に対して、「なぜ??」と無邪気に考えてしまっていたけれど、経緯を知るとものすごく反省した。ことあるごとに意思を確認され、立場を迫ってくるけれど、決定権は決して与えられない。市民に決定権はない。意思を伝えてもそれが反映されることはない。あまりにむなしいし、疲れる。キャンプ・シュワブとの関係性もある。どうせ止められないのなら政府と調整ができる候補者を……という考えが強まっていく。
『辺野古入門』熊本博之 (ちくま新書)
読み始めたばかりですけども読んでよかったなあと思っています。辺野古のひとたちが米軍基地をどう捉えているのか、どういう位置付けなのか、どのように「共にあって」きたのか、という角度を削がずに書いてくれている、と感じます。
『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵 (平凡社新書)
それでも、本の中で原発稼働年数を政府は延長していくだろう、しかし60年など未知の領域だしリスクが高すぎる、30年がいいところ、というようなことが書かれており、昨年政府が原発稼働年数延長の法案を通したことと合わせて「あれ、これ何年の本だっけ……」と慌てることが多々ありました。
並んで、「政府は原発の“老朽化”とは言わない。“高経年化”という謎の単語を使っています」と言及していて、あ〜〜〜〜政府〜〜〜〜〜〜となりました。お前そんなんばっかだな…………。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230531/k10014083551000.html
『原子力神話からの解放 日本を滅ぼす九つの呪縛』高木仁三郎(にんざぶろう) 光文社
昨日読了。本当に読みやすいので集中したらさくさく最終ページまでたどり着けると思います。原発に関する「神話」、つまり「絶対的なものとして信じられているもの」のような原発メリットを一つずつ説明してくれる本。たとえば「原子力は安い電力を提供する」とか、「原子力はクリーンなエネルギー」だとか……。自分でも疑問を持ちながらも否定できない「神話」に解説をしてもらえた感じです。原発に反対する理由が書かれている、と言ってもよいと思う。『「フクシマ」論』のあとに読んでよかった。こういうのはセットで知りたい。
ただいかんせん出版が2000年であり、いや状況が「よく」なっているということはないと思うんですが、技術的なこと、データ、が多く含まれる本なので、こういうのは新しい年代に出されたものの方が正確だったりするのかしら……このときと何か違う見解に今はなっているのでは……という懸念はあります。
『原子力神話からの解放 日本を滅ぼす九つの呪縛』高木仁三郎(にんざぶろう) 光文社
「一九五四年の三月二日、これは特別な日です」「突如として、国会に原子力関連の予算案が出されて、それが国会を通過したのです」(p.67)。3月2日に予算案が出され、3月5日に衆議院を通過。ちなみに同年1954年の3月1日からビキニ水爆実験。アメリカは53年頃から「原子力の平和利用」のスローガンを打ち出す……。
中心人物は中曾根康弘。学術会議の学者たちは原子力に否定派が多かったが、中曽根が「政治の力で突破する以外に、日本の原子力問題を解決する方法はないと直感」(p.68)したのだそう。
いやー出だしがめちゃくちゃ政治的なんだな原発って……。「根底に政治的思惑で始まったために技術的基盤が弱かった」(p.72) とあるけど、そういう弱さをこの本で言う「神話」によって補強してた(/る)んだなって思った。
『原子力神話からの解放 日本を滅ぼす九つの呪縛』高木仁三郎(にんざぶろう) 光文社
読みやすい……!! 「先生」が授業してるって感じの文体で非常にとっつきやすいです。読み始めたばかりだけど、“核エネルギーは実はコスパが悪い” とか、“1mgのウランが燃えただけで大事故” とか、基本的なことがわかっていない自分には大変ありがたい。
『パチンコ(下)』ミン・ジン・リー(Min Jin Lee)著、池田 真紀子 訳 (文春文庫)
読了。上下巻ではあるけれど読み始めたらあっという間、というか物語としての吸引力がすごすぎてなかなか止められない。以前にドラマが無料配信? されたときに見きれなかったんだけど、「あっ原作あったんだ!?」というのを2023年になって初めて知った。Twitterのみんな、原作をもっと紹介してくれたらよかったのに……と責任転嫁してしまう。
読んで、なんて優しい物語なんだろう、と思った。上巻を読んで「面白い!!」と叫んでしまったけど、「面白い」という感想に躊躇いを覚える。ものすごく面白い。ただ、エンタメとして終わらせるには、ここに描かれている「日本」の現実、仕打ちは、あまりにも現在と地続きで、決してフィクションではないのだ、ということを忘れてはならない。「永住権取り消し法案」なんておぞましいものを検討しているのが今の現実なので。
ごった煮アカウント。漫画と文章と食べ物が好きです。2016年のアニメYOIをひたすら噛み締めています。たまに粉を焼く。人種、ルーツ、外見、障がい、ジェンダー、セクシュアリティ、トランス差別に反対。
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