『原子力神話からの解放 日本を滅ぼす九つの呪縛』高木仁三郎(にんざぶろう) 光文社
読みやすい……!! 「先生」が授業してるって感じの文体で非常にとっつきやすいです。読み始めたばかりだけど、“核エネルギーは実はコスパが悪い” とか、“1mgのウランが燃えただけで大事故” とか、基本的なことがわかっていない自分には大変ありがたい。
『原子力神話からの解放 日本を滅ぼす九つの呪縛』高木仁三郎(にんざぶろう) 光文社
昨日読了。本当に読みやすいので集中したらさくさく最終ページまでたどり着けると思います。原発に関する「神話」、つまり「絶対的なものとして信じられているもの」のような原発メリットを一つずつ説明してくれる本。たとえば「原子力は安い電力を提供する」とか、「原子力はクリーンなエネルギー」だとか……。自分でも疑問を持ちながらも否定できない「神話」に解説をしてもらえた感じです。原発に反対する理由が書かれている、と言ってもよいと思う。『「フクシマ」論』のあとに読んでよかった。こういうのはセットで知りたい。
ただいかんせん出版が2000年であり、いや状況が「よく」なっているということはないと思うんですが、技術的なこと、データ、が多く含まれる本なので、こういうのは新しい年代に出されたものの方が正確だったりするのかしら……このときと何か違う見解に今はなっているのでは……という懸念はあります。
それでも、本の中で原発稼働年数を政府は延長していくだろう、しかし60年など未知の領域だしリスクが高すぎる、30年がいいところ、というようなことが書かれており、昨年政府が原発稼働年数延長の法案を通したことと合わせて「あれ、これ何年の本だっけ……」と慌てることが多々ありました。
並んで、「政府は原発の“老朽化”とは言わない。“高経年化”という謎の単語を使っています」と言及していて、あ〜〜〜〜政府〜〜〜〜〜〜となりました。お前そんなんばっかだな…………。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230531/k10014083551000.html
『原子力神話からの解放 日本を滅ぼす九つの呪縛』高木仁三郎(にんざぶろう) 光文社
「一九五四年の三月二日、これは特別な日です」「突如として、国会に原子力関連の予算案が出されて、それが国会を通過したのです」(p.67)。3月2日に予算案が出され、3月5日に衆議院を通過。ちなみに同年1954年の3月1日からビキニ水爆実験。アメリカは53年頃から「原子力の平和利用」のスローガンを打ち出す……。
中心人物は中曾根康弘。学術会議の学者たちは原子力に否定派が多かったが、中曽根が「政治の力で突破する以外に、日本の原子力問題を解決する方法はないと直感」(p.68)したのだそう。
いやー出だしがめちゃくちゃ政治的なんだな原発って……。「根底に政治的思惑で始まったために技術的基盤が弱かった」(p.72) とあるけど、そういう弱さをこの本で言う「神話」によって補強してた(/る)んだなって思った。