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コナン・ドイル著『失われた世界』

20世紀初頭、恐竜棲息の真偽を確かめるため、探検隊は南米アマゾン奥地に向かう。SF冒険小説の名作。衛星写真も空撮もない時代ならではの舞台設定。ラストシーンを何となくおぼろげに覚えていたのは、小学生の頃に子ども向きにリライトされた抄訳を読んだことがあるからだろうか。そしてこの作品とセットでヴェルヌの『地底探検』を思い出してしまう。

"漢方薬は一般的に即効性がないものの、根本的な体質改善を促し、長い目で見ると病気の治癒や健康の維持に役立つ。同様に、人文学は人間形成ないし人間性の陶冶に一役買い、実生活を営む上で必須の思考力・判断力・想像力を培うのではないだろうか。"
――安酸敏眞『人文学概論』

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"「神はいる。それを信ずるものの心の中にいる。神というのがおかしければ、摂理とでも運命とでもよべばいい。(...) おれは、生死の境目で何回も《彼》を見たよ」"
――栗本薫『レダ』

このブライ船長のセリフ、ふと思い出して、どこに書いてあったっけ?と探し回ってしまった。3巻でした。

"――それは僕のはじめて持った友人だった、といっていい。僕はたしかに人間を好きでなかったし、人間も僕を好きでなかった。僕の愛しているのは冷徹な論理と偉大な歴史、そしてもう死んでしまった人々の偉大な思想だった。友人のいないことで悩まされたことは一度もなかったが、クラスメートと話すと必ずまずいものを食べたような心地になった。"
――栗本薫『伊集院大介の私生活』

"インフォメーションとは、それがいかに発見されるかにかかわらず、知りうるすべてを指す。これに対し、インテリジェンスとは、政策決定者の需要(ニーズ)として明確にされたものまたはそのような需要と理解されたものに合致するインフォメーションであり、当該需要に応えるため、収集され、処理され、絞り込まれたインフォメーションである。"
――マーク・M・ローエンタール『インテリジェンス』

"(...)日本人は職業を「カタギ」と「ノン・カタギ」に分けるといわれる。そして氏は政治家を「ノン・カタギ」に分類される。確かに、交通違反などで警察につかまったとき「裏からのもみ消し」などは市会議員に頼む。また裏口入学は総理の秘書に頼む。これは「カタギ」の人間に頼めることではない。"
――山本七平『昭和東京ものがたり1』

……これ、真面目なたとえなのかジョークなのか一瞬迷ってしまった。昭和中盤はこれが一般的な認識だったということか。何にせよ、この本、昭和の世界が今とはまるで異なる社会だったことが書かれていて興味深い。

"「人というものは、世の中ですたれそうな芸能を大切に保存して末々までも絶やさぬようにすべきものだ。お前も人がすててかえりみぬようなことに愛情をもち、世のためにそれをのこすよう心がけよ。よいな、人間というものは、そうしたことに自分をささげなければならぬ」"
――『教科書名短篇 人間の情景』より吉村昭『前野良沢』

"日本でも「活字離れ」が問題になっており、電車の中で本を読んでいるインテリに見える学生は「デカンショ」を読んでいないし、「マル・エン全集」も読んでいない。"
――ドナルド・キーン『日本語の美』

そもそもどれも電車の中で読める気がしない。かろうじてショーペンハウエルの随筆は電車内でも読めそうだけど、なんか、著者本人に怒られそう。

"庭づくりは奥が深く、年月を必要とするものです。辛抱強く植物が生長するのを待ち続け、焦らず、弛まず、そして時には楽天的に考えて、大きなダメージに遭い心が打ちひしがれて、焦りを感じても、気持ちを切り換えて心配を払いのけながら、次の手を考えて、希望を忘れずに…。まさに、人生そのもののようでもあります。"
――ケイ山田『庭に生きる』

"進歩した文明とは、困難な問題をかかえた文明にほかならない。だからこそ文明は、進歩すればするほど、それだけ危険な状態になるわけだ。"
――オルテガ『大衆の反逆』

日本史の知識が壊滅的なので、『もう一度読む山川日本史』を少しずつ読んでいて、復習がてら、同じ箇所を『もう一度読みとおす山川新日本史』で読んでみると、圧倒的に後者が読みやすい。これは何なんだろう。文章の読みやすさだけではない気がする。後から読んだせいかと思って順番を入れ替えても、やはり『新日本史』の方が読みやすい。単なる新装版かと思ってた。

前者は良くも悪くも教科書的。ただ「昔は"大和朝廷"と読んでたけど朝廷とは違うので今は"ヤマト政権"と呼ばれている」とか「"仁徳天皇陵"は疑義があるので今は"大仙陵古墳"等の名称で呼ばれている」といった補足事項は前者の方が詳しい。

本日買った本。『古代技術』は古代ギリシアを中心とした技術史。『哲学史入門Ⅰ』は豪華な執筆陣に、発刊を楽しみにしていた一冊。

"私は何の予備知識もない人から「法哲学とはどんな学問か?」と質問されたとき「そんなことは一口では言えませんよ」などとはぐらかしたりせず(一口で言えない人は何口かけても言えないことが多い)、とりあえず「法と法学の諸問題を根本的・原理的なレベルにさかのぼって考察する学問です」と答えることにしている。"
――森村進『法哲学講義』

>一口で言えない人は何口かけても言えないことが多い
:t_soudane:

"私にはコンビニの「声」が聞こえて止まらなかった。コンビニがなりたがっている形、お店に必要なこと、それらが私の中に流れ込んでくるのだった。私ではなく、コンビニが喋っているのだった。私はコンビニからの天啓を伝達しているだけなのだった。"
――村田沙耶香『コンビニ人間』

"全く動じる様子のない黒川さんの返事にため息をついてしまうが、私の〈アバター〉は鷹揚に手を差し伸べて話を促した。〈アバター〉ならではの機能、〈感情補正ビヘイビア〉のおかげだ。"
――藤井太洋『Gene Mapper -full build-』

VR空間での無作法な振る舞いやコンプライアンスに反する動作をリアルタイムで補正しアバターの動作を修正してくれる機能拡張、欲しすぎる。こういうのが登場すると、仕事上では生の対人コミュニケーションなんてやってられなくなると思う。

"起きている力をだんだんに失った三人は、一日じゅう寝床の上に横になって、水を取りに行く時だけ這い出して行っては、茶飲み茶碗にわずかに一二杯ずつの水を大事にすすった。その水もやがて尽きる日が来た。"
――野上弥生子『海神丸』

大正時代、実際にあった海難事件をベースにした物語。難破船という極限状態で食糧が尽きたとき、人はどうなるか。

『一度読んだら絶対に忘れない哲学の教科書』ネオ高等遊民著

ネオ高等遊民さん初の単著。哲学入門書にはいろんなアプローチがあるけど、この本はどうかしらね。先入観なしで読んでみます。帯の推薦が読書猿氏・飲茶氏であるあたりにこの本の立ち位置が伺えそう。

"日本における善悪は実のところ、欧米が理解しているようなものとは、天と地ほども異なっていた。価値体系は特異なものであった。仏教でもなければ、儒教でもなかった。それは日本的なものであった。そこに日本の強みも、弱みもあった。"
――ルース・ベネディクト『菊と刀』

"出来がどうあれ、ひとつの作品を完成させたなら――この世に存在する何千何万というフィクションの列に、あなたの作品を加えられたことを「楽しい」と感じられたなら、それが創作を続けるための最大の原動力となるはずです。"
――山本弘『料理を作るように小説を書こう』

訃報を耳にして。2021年発行のこの本が最後の本となってしまった。
tsogen.co.jp/news/2024/04/4985

"格闘家と哲学者、両者は一見まったく正反対の人種に思えるかもしれませんが、実のところ、格闘家が「強さ」に一生をかけた人間たちであるように、哲学者も「強い論(誰もが正しいと認めざるを得ない論)」の追求に人生のすべてを費やした人間たちなのです。"
――飲茶『史上最強の哲学入門』

ここだけ読むとわりと真面目そうな本に見える笑

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