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"なぜ自分たちで作り上げた社会のことが私たち自身でもよくわからないのか。ひとつは社会の各部門が専門化していること。次に、無数の専門的なシステムが絡み合っていること。最後に、そのような社会の中身が絶えず変化していること。これらのために、社会は非常に見渡しづらいものになっているのです。"
筒井淳也『社会を知るためには』

"仕事の目的は、仕事の成果を使う人、すなわちユーザーにある。最終的なアウトプットがそれをつくった者以外の者のためのものであるとき、そこで行われたことは遊びではなく仕事である。遊びのチェスもあれば、仕事のチェスもある。"
P.F.ドラッカー『マネジメント』

"アダム・スミスの時代からずっと、経済人は別の人の存在を前提にしていたのだ。献身とケアを担当する人の存在がなければ経済人は成り立たない。経済人が理性と自由を謳歌できるのは、誰かがその反対を引き受けてくれるおかげだ。"
カトリーン・マルサル『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』

"日本人が70パーセント以上のカイチュウ所有率を二十数年間で一挙に0.2パーセントにしてしまったというのは、日本人の特質をよくあらわしている。一斉になんでもやってしまうという特質だ。これは恥ずかしい、それがみっともない、あれはいけないとなると、一斉にこれらを排斥する。"
松岡正剛『理科の教室 千夜千冊エディション』

"いつのころからか、彼は、自分と現実との間に薄い膜が張られているのを見出すようになった。そして、その膜は次第に、そして、ついには、打破り難いまでに厚いものになって行った。彼は、その、寒天質のように視力を屈折させる力をもつ、半透明な膜をとおしてしか、現実を見ることができなくなってしまった。"
中島敦『北方行』

"近代社会というのはすごく簡単にいうと、共同体であったものをバラバラの個人にした。その代わり個人の自由な社会的な自己実現を認める。しかしそれは逆に言えば、共同体から人間を切り離したので、かつて共同体がいろんな形で保証していた社会と個人との関係の意味とか、個人の存在の意味というのも喪失されざるをえない。"
竹田青嗣・西研『哲学の味わい方』

"目覚めるとは、自分が空っぽであることの自覚を意味する。自分はまったくもって機械のようであり、まったくもってなにもできないことを自覚することだ。"
G.I.グルジェフ・郷尚文『グルジェフ講話集 第一編:ロシア~コーカサス~ドイツ』

"わが国民は利害に敏く、理念に暗い。ことのなりゆきに従うを好んで、考えることを好まない。そもそも考えるということ自体を好まないのだ。そのため、天下のもっとも明白な道理であっても、これをおろそかにして何とも思わない。"
中江兆民『一年有半』

"我々はここでみんなそれぞれに純粋な穴を掘り続けているんだ。目的のない行為、進歩のない努力、どこにも辿り着かない歩行、素晴らしいとは思わんかね。誰も傷つかないし、誰も傷つけない。誰も追い越さないし、誰にも追い抜かれない。勝利もなく、敗北もない。"
村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』下巻

"人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。 しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。"
ドラッカー『マネジメント エッセンシャル版』

"仕事というのは、つきつめると、「市民であるかが問われる」ということだ。 仕事というのは、分業なのである。 社会を構成するために、一人ひとりが自分の分担を決めて活動している。ただそれだけのことだ。その分担者の一人が「市民」である。 だから、その分担を理解してきちんとするというのが、仕事の基本になる。"

"社会のなかで自分はどういう役割を果たしているのかという自覚をもつのが市民である。"
finalvent著『考える生き方』

"自分のライフスタイルを築くためには、自分の心の底でかすかに疼く欲求、自分の真の欲求に静かに耳を傾け、それを育てていく勇気が必要である。天才を除けば、この心の底の欲求はかすかなものであろう。しかしこのかすかな声に耳を傾けることを知らない人は、自己実現のなんたるかを知らぬ人である。"
渡部昇一『続 知的生活の方法』

"今も、たとえば、あの納戸にあった花見道具を、テレビの横において、僕はふと考える。長いことかかって少しずつ改良され美しい知恵がいっぱいにもりこまれ今もなおその美しさが胸をうつこの道具を生み出したあの時代と、四、五年たてばガタが来て、そうでなくても毎年新型が出て、古くなっていくテレビを生み出したこの時代と、一体どちらがすぐれているのだろうか、と。"
小松左京『小松左京セレクション1 日本』「御先祖様万歳」

今日は小松左京の誕生日らしいので。

"知り合いの数より、付き合った本のほうが多いなんて、
ぼくのどこかがおかしいか、本がニンゲンより親しみやすいかだ。
本は出し惜しみをしない。本は手持ちを曝してくれる。
ぼくは、本から貰った衣装と道具と言葉遣いとスタイルで
その本に暗示された遊びに熱中すればいいだけだ。"
松岡正剛『本から本へ 千夜千冊エディション』

"山東京伝は「所詮、戯作本は貸本屋を通してお客へ渡るもの、個人の蔵書として書架に置かれることはない。つまりお客は一時の慰みものとして読み捨てる。だから書く方も、自分の慰めにこれを書くべきで、決して本業としてはいけない」とおっしゃって、タバコ入れ屋を開業なすった。"
井上ひさし『戯作者銘々伝』

"(...)印刷機は十六世紀の都市部の発展の原動力になったという。印刷機が導入された都市では、商売の指南をする本がどしどし印刷されて普及し、外国為替で取引する方法だとか、利子率をどう決めるかとか、利益率をどう計算するかといったノウハウが浸透したからだ。その結果、人々はさまざまな取引のスキルを身につけた。"
カール・B・フレイ『テクノロジーの世界経済史』

"地球上の光合成によって1年で合成される糖質をすべて使って角砂糖にすると、30京個にも達する。それらを積み重ねると、地球から冥王星にまで達する。"
『大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学』

"世間ではもの静かに話すひとを思慮があるといい、早口に話すひとを思慮がないというが(...)道理に合わない。早口で話そうがゆっくり話そうが、そのひとのふるまいと前後や首尾が合い、ゆるみのない武功があり、また一言一句に非難の余地がない者こそ思慮ある武士である。"
佐藤正英訳『甲陽軍鑑』

"運命の歩みは空の銀河に似ている。銀河は多くの小さな星の集合もしくは塊である。小さな星は散在していてよく見えないが、いっしょになって光っている。同様に、多くの小さな、ほとんど見分けが付かないよう徳性が、というよりむしろ能力や習慣があって、それらが人々を幸せにするのである。"
フランシス・ベーコン『ベーコン随想集』

今日はベーコンの誕生日らしいので。

"自分は自由であると信じている人間はかえって、不断に自分の思考や行動を点検したり吟味したりすることを怠りがちになるために、実は自分自身のなかに巣食う偏見からもっとも自由でないことがまれではないのです。"
丸山眞男『日本の思想』

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